花のたより☆山のふみ~青森県立名久井農業高等学校~

農業と環境の研究グループ「チームフローラフォトニクス」と弟分である「ハンターズ」の取組みを紹介します!

海の夢を見る

2021年03月13日 | 研究
2011.3.11の大震災を乗り越えた種差海岸。
翌年、海岸には復活したサクラソウが咲き
フローラの手元には人工受粉によって誕生したサクラソウが残りました。
さてこのサクラソウ、今どうなっていると思いますか?
実は環境班の手元にはもうありません。
もちろん県や関係者によって許可をいただき採種して誕生した貴重な個体。
枯らしたわけではありません。
今、この種差海岸のサクラソウは筑波大学にあります。
というのはサクラソウの保全活動を行う際、素人考えでは危険なので
保全生態学の権威である東京大学の鷲谷先生や同じく専門家である
筑波大学などたくさんの方々からアドバイスを頂きました。
ある日、フローラの女子たちが岩手県のサクラソウ関係者の集まりに招かれ
今までの活動を発表した際、鷲谷先生がわざわざ東京から駆けつけ
具体的にアドバイスを頂いたくらいお世話になりました。
みんなは忘れてしまったようですが、実は彼女たちが高校受験をした際の
国語のヒアリングの問題は、この鷲谷先生を取り上げたものでした。
なんてドラマチックな出会いなんだろうと、こちらは一人で感激していました。
さてフローラの解散が間近に迫った2017年、当事者がいなくなり
管理できなくなれば貴重なDNAが失われると考えたフローラは
八戸市などお世話になった関係者に事情を説明した上で
筑波大学の研究室に管理してもらうことにしました。
当時、フローラのOGが筑波大学でサクラソウの研究をしていたので、
それも移管をスムーズに行う助けになったのはいうまでもありません。
何はともわれ、今も八戸から遠く離れた茨城県で花を咲かせています。
震災から10年、きっと故郷である種差海岸の夢でも見ているはずです。
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サクラソウの花咲く頃に

2021年03月13日 | 研究
ここにあるのは2017年のサクラソウ展のポスターです。
会場はつくば市にある国立科学博物館筑波実験植物園。
毎年4月に開催されるサクラソウ展は人気で、
全国から貴重なサクラソウを見ようと来館者が集まります。
なぜならサクラソウは日本最古の園芸種といわれ、
江戸時代以前から日本人に愛されてきた草花です。
昔は殿様が鷹狩りで出かけた先で見つけた変異したサクラソウを持ち帰り
愛でていたそうですが、江戸時代に入り庶民にも人気が広がり
サクラソウが一大ブームになったといいます。庶民が自分だけの変異種を
軒先に並べて自慢し合う。そんな長閑な江戸の暮らしが見えてきそうです。
そんな江戸時代からずっと生き延びている変異種を一堂に集めて公開するのが
このサクラソウ展。百種類にもなるかと思われる変異種は見応え十分です。
2017年、フローラは博物館からこのサクラソウ展で保全活動を発表してほしいとの
オファーを受けました。もちろんお世話になっている筑波大学の先生のご推薦が
あってのことです。ちょうどその年、フローラは水質浄化システム研究で
農業クラブ県大会の出場を決めていました。さらにメンバーの一人が
サクラソウ保全活動についての意見発表(弁論)に出場することにもなっていました。
そんなことから代表者数名が展示会に参加し、発表することにしました。
めったに行けるものではありません。そこで2011年、サクラソウ救出に立ち上がった
メンバーに一緒に行かないかと声をかけてみました。当時18歳だった彼女たちももう24歳。
当然仕事をしていましたが、懐かしく思ったのでしょう。みなさん集合。
後輩たちの発表とサクラソウを見学するというサクラソウ同窓会の小旅行が行われました。
後輩にとっては当時の思いを先輩から直にきける貴重な機会。先輩が話された内容は
発表原稿にしっかり加えられました。2ヶ月後に開催された農業クラブ県大会では
研究発表とともに意見発表も最優秀。Wで東北大会に出場したものです。
昨年はコロナで中止された展示会。またいつか行ってみたいものです。
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