花のたより☆山のふみ~青森県立名久井農業高等学校~

農業と環境の研究グループ「チームフローラフォトニクス」と弟分である「ハンターズ」の取組みを紹介します!

忘れられない記憶

2021年03月11日 | 学校
緑豊かな海辺の街が、一瞬で瓦礫の山と化した東日本震災から10年前。
この写真は震災からまもなくした岩手県山田町の風景です。
青森県も津波被害を受けましたが、テレビから流れてくる
岩手や宮城の被災地の映像はそれ以上。恐ろしいと思ったものです。
その頃の研究班フローラは津波に飲まれた種差海岸のサクラソウを救出しようと
4月から海岸と県庁に頻繁に足を運び、やっと県知事から許可というか救出指令が出て
連休明けに人工受粉を行ったばかり。とんでもなく大忙しだったのを覚えています。
しかしそれから1週間後、フローラはなんとこの山田町の被災地に立っていました。
理由は山田町にある県立山田高校に花を植えるため。名農のある南部町と山田町は
古くから交流があるようで、町と連携して名農が育てた花を植え
元気になってもらおうという南部町と農業クラブの企画でした。
そこに一緒に行かないかとフローラに声がかかったのです。
なぜなら当時のフローラはマイクロバブルという目に見えない微細な気泡で
海水を被った土壌を洗い流すと、なぜか塩分を洗い流せることに気付いていたから。
フローラがなんだか不思議なことをしているという噂を農業クラブが聞きつけ
その実証試験をしないかと誘ってくれたのです。
何時間も町のバスで揺られてついた山田町。目に入ってきた風景に唖然としました。
360°この世界。建物などほぼありません。フローラメンバーとも
テレビとはまったく違う荒凉な景色に圧倒されたものです。
昨年こそコロナで山田高校との花植え交流活動は中止になりましたが
数年前までフローラもときどき参加させていただきました。
今はだいぶ復興されましたが、今もテレビで山田町と耳にすると
この風景が蘇ってきます。今日は3月11日。震災から10年経ちました。
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理由なんかわからない

2021年03月11日 | 研究
ここは東日本大震災から2ヶ月後の岩手県山田町。
フローラの3年生はマイクロバブルによる除塩の実証試験をするため訪れました。
バス1台でやってきた他の名農生は高台の山田高校で花植え、そして交流会。
しかしフローラだけは少し離れた海岸沿いの大きな花壇で除塩活動。
まずは土壌のサンプルをその場で採取してECの測定。
数値はやはり高く、このまま植えても塩害に弱い花は育たないのを確認しました。
その後はトラックで持ち込んだ耕運機を女子ながらたくましく操り耕運。
そして同じく持ち込んだ大量の水と発電機でマイクロバブル発生装置を動かし
除塩と花植えを繰り返したのを覚えています。
すると不思議に思ったのが、道ゆく岩手県のマスコミの方々。
新聞やテレビ局の方が車を止めては何をしているのか尋ねてきます。
青森県の女子高生が花を植えるためやってきた?説明するたびびっくりされます。
最後にやってきたNHK岩手の方は「まだここにいますよね。
テレビカメラ持ってきます」というと立ち去り
その数十分後には、このような取材を受ける羽目になりました。
一番困ったのはなぜ除塩効率が良いのかという質問。
当時のフローラには除塩できるという現象こそ確認できていますが
理由がよくわからなかったのです。仕組みがわからないのに実証試験を
行うとはなんと大胆。今話題のワクチン開発だったら叱られてしまいます。
しかし被災地に花を咲かせ、早く元気になってもらいたいという
気持ちだけで走っていました。この様子は広く東北地方のニュースで紹介されたそうです。
また後日、山田高校生の調査によると除塩しなかった場所は枯れてしまったけれど
マイクロバブル除塩の花壇は花を咲かせてくれたとのこと。ひと安心でした。
でも問題だったのは取材対応に時間がかかったこと。南部町まで何時間もかかります。
花壇脇に止めている大型バスからは、早く帰らないと夜になるからと急かされる有様。
朝6時頃学校を出ても数時間だけの滞在。休まず活動した名農生は
あっという間に眠りについていました。
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