花のたより☆山のふみ~青森県立名久井農業高等学校~

農業と環境の研究グループ「チームフローラフォトニクス」と弟分である「ハンターズ」の取組みを紹介します!

深イイ話

2021年03月09日 | 園芸科学科
この花は安定した人気を誇るご存知プリムラ。
ポリアンサ、マラコイデスなどいろいろな種類がありますが
おそらくこじんまりと咲く姿からこれはプリムラ・ジュリアンだと思います。
寒さに強い宿根草で、このように鉢植えではなく、直接庭に植えても
毎年きれいな花を咲かせてくれます。ジュリアンは園芸種。
いかにも人の手で作り出されたと思わせる鮮やかな赤や黄色だと思いませんか。
さてこの写真は今から10年前の園芸科学科の草花温室です。
昔はサイネリアだけでなく、このようなプリムラも生産していました。
ハンターズの先代チームフローラフォトニクスは2009年に結成した草花研究班。
したがって研究活動以外の実習では花の管理もよくしていました。
でもフローラの存在が皆さんに知られたのは
東日本大震災で発生した津波によって飲み込まれてしまった
八戸市種差海岸のサクラソウ救出活動。
花を救おうと健気に立ち上がった女子生徒たちが一躍話題となりました。
種差海岸のサクラソウは小ぶりのピンクの花を可憐に咲かせる野生種。
このような派手派手なプリムラとは何の縁もないように思えますが
実はとんでもない深くていい話があるのです。
まもなく震災から10年目の3月11日を迎えるので
何回かに渡って当時をちょっと振り返ってみたいと思います。
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搾汁器

2021年03月09日 | 研究
この器具がなんだかわかりますか?
これは植物を成分を分析するために、潰して水分を取り出す器具。
搾汁器です。果物など水分が多いものは、このような搾汁器など
使わなくても採取できますが、ホウレンソウなど葉菜類はたいへん。
そこで比較的潰しやすい葉柄を挟んでこのような搾汁器で潰しますが
薄い葉身ではなかなか水分が出てきません。
したがって大量のサンプルが必要になります。
これを測定器にかけて糖度やビタミンなどを測定しますが
フローラの2代目が取り組んでいたのは硝酸イオン濃度の測定。
あまり濃度が高いと体に悪影響を与えるからです。
日本ではそんなにうるさくいう人は少ないのですが、
海外、特にEUは厳しい基準を設けておりクリアしないと販売できません。
そこで2010年、フローラのあるメンバーが小松菜を使って
どうすれば抑えられるか研究をしていました。
その結果、当たり前ながら過剰な施肥をしないこと。
吸収されても利用できなかったものが葉や茎に残留するからです。
また天候が悪くて光合成が思うようにできない場合も使いきれず濃度が高くなります。
彼のアプローチは2つ。光を感じやすくなる植物ホルモン「ブラシノステロイド」の
生成阻害剤であるブラシナゾールを散布すること。明らかに減少します。
しかしこの薬剤は農薬登録されていないので現実には使えません。
おそらく今なら同じ効果のあるアミノレブリン酸なら登録されているので使えるでしょう。
もうひとつがLEDの照射。人工光を照射すればヤマセの影響で
春夏、曇りが多くなる南部地方でも光合成が盛んになり濃度を減らすことができました。
フローラがまさにPHOTONICSだった頃の研究です。
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