現代児童文学

国内外の現代児童文学史や現代児童文学論についての考察や論文及び作品論や創作や参考文献を、できれば毎日記載します。

児童文学における漢字の取り扱い

2016-11-21 08:56:55 | 考察
 児童文学を書く上で独特な要素として、漢字の取り扱いがあります。
 一般文学では、基本的には当用漢字の範囲で書いて、それ以外はルビやカッコを使って読みを示すのが一般的な方法でしょう。
 児童文学の場合は、漢字の扱いは少々複雑です。
 小学生の場合、六年間で習う教育漢字というものがあり、基本的にはその範囲で書いて、教育漢字にないものはカナにひらくか、ルビをふるのが一般的でしょう。
 さらに、教育漢字には学年別漢字配当表というものがあり、各学年で習う漢字が決まっています。
 一方で、児童文学は、「低学年向け」、「中学年向け」、高学年向け」と、グレードを細分化して出版されることが多いので、厳密にいうと使える漢字の範囲は変わってきます。
 中学生向けの場合は、基本的に一般文学と同じ当用漢字が使えますが、三年間で当用漢字を学ぶので、やや漢字を少なめにして書く場合が多いかもしれません。
 書き手の立場でいえば、最初に原稿を書くときには漢字の制限は気にせずに自分の感覚で書き、推敲の時に対象読者を意識して漢字の使い方を見直せばいいと思います。
 同じ言葉でも、漢字で書いた時とカナの場合とでは印象が変わりますので、迷った時は自分がしっくりする方を選べばいいでしょう。
 こういった漢字の使い方は、きちんとした編集者ならばちゃんとチェックしますし、大きな会社ならば校閲係がダブルチェックします。
 ただ、漢字をカナにひらくよう要請されても、自分の感覚に合わなければ従わなくてOKです。

小学新漢字辞典 (光村の辞典)
クリエーター情報なし
光村教育図書
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チャンピオン

2016-11-21 08:17:33 | キンドル本
 主人公のおとうさんは、電機メーカーで取扱説明書を作るテクニカルライターをしていて、会社へは行かずに家で仕事をしていることが多いです。
 そういうのを、在宅勤務といいます。
 家が狭くて、コンピューターが置いてある自分の部屋を仕事の時に使われてしまうので、主人公は不満に思っていました。
 それに、小柄で地味でさえないおとうさんのことを、主人公は自慢に思えませんでした。
 そんなおとうさんが、家族に秘密にしていた趣味は、ビリヤードでした。
 いつも仕事の息抜きに、駅前のビリヤード店へ通っています。
 そんなおとうさんが、ビリヤードの都大会に出場することになりました。
 地区予選を勝ち抜いたのです。
 主人公は、気が進まないまま、大会の応援に行くことになってしまいました。
 その前に、少しはビリヤードのことを知ろうと、主人公はおとうさんとビリヤード店へ行きます。
 意外なことに、おとうさんはビリヤード仲間では人気者でした。
 ビリヤード店の常連たちが、わざわざ大会の応援に来てくれていました
 そして、おとうさんはみんなの声援を受けながら、トーナメントを勝ち進みます。
 はたして、おとうさんはチャンピオンになれるでしょうか?

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チャンピオン
クリエーター情報なし
平野 厚


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桜木紫乃「ギフト」ホテルローヤル所収

2016-11-21 07:56:45 | 参考文献
 短編集の最後(発表された時期も最後)で時間は一番遡り、ホテルローヤルの誕生譚になります。
 ここまであざとく作り上げられると、やや食傷気味です。
 家族を捨てて、無理な借金でラブホテルを開業して、若い女と一緒になった男を、いくら身内とはいえあまりにも正当化しすぎていないでしょうか。
 児童文学でもご都合主義のひどいエンターテインメントはたくさんありますが、ここまで自己正当化している作品は少ないかもしれません。

ホテルローヤル
クリエーター情報なし
集英社
 
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