卒業の季節になった。
この時期になると
自分の卒業から年月が経てば絶つ程
鮮明に懐かしく頭に浮かんでくるのは
何でだろう。
過去を思い出す事で
本能的にボケを防止しているとしか
考えられない。
私が五島列島の地元の高校を卒業したのが
32年も前で、当時は3月初めに卒業式を終えると
卒業生の殆どが就職と進学で島から離れます。
今はどうだか知りませんが、
当時は卒業式を終えたその日から
島を離れるのが早い順番に
どこかの家で「送別会」が毎日繰り広げられていました。
「送別会」と言っても
仲良しが集まって、お菓子とジュースで「さよなら」
と言う可愛い物ではありません。
昔は兄弟が多くて近所つき合いも
都会と比べたら濃厚なので、
卒業生の親も“島の伝統”の送別会という物が
どういう物か良くわかっていました。
携帯電話なんて無い時代ですから
明日はあいつの家で送別会を
やるらしいと言う口コミ情報だけで
卒業生30~40名位がそいつの家に集合します。
まず玄関に入ると瓶ビールやら焼酎などが積んであって、
座敷に入ると大人の宴会顔負けの田舎料理が、ずらーっと、
並んでいます。
その家のお母さんが朝から気合いを入れて作った
田舎料理が手抜きすることなく、てんこ盛りに並んでいました。
漁師のお宅なんかその日取れたての新鮮な
刺身なんかズラーと並んであったり。
まずビールで乾杯して1時間もすると
焼酎の一升瓶を握りしめ
「もう飲みきらん、もうダメ」と真っ赤な顔した奴の
胸ぐらを掴んで「飲めーッ」と言いながら絡んでる奴。
何故か泣く奴。それを慰める奴。
左手に酒のコップを持って、右手でタバコを吸いながら
「俺は都会に行ってビッグになるぞ」と・・・のたまう奴。
家の近くの牛小屋付近で吐いてる奴。
大声で流行歌を歌うグループ。
そのお家の両親は別の部屋でみかんを食べながら
テレビを見ていたりして・・・。
宴会も2~3時間過ぎた頃にはみんな
思い思いに家に帰って
明日島を離れる奴の見送りと
また何処かの送別会のため眠りにつきます。
不良じゃないんです。
中には軽い不良もいるけど、
普通に良い奴ばかりでした。
島と本土を結ぶ交通機関は
フェリーしか有りませんでしたので、
卒業式の翌日から2週間位の間に
毎日同級生が船に乗って離れて行くのを
残った奴が見送ります。
私の17歳の卒業はそんな感じでした。