なちゅらる Hi !

かっぱの心をうるおす、山・川・岩・海などの小さな自然。主に北海道の話。

重たい雪に負けました

2025-02-16 | 雪の山
「天気図の割に予報はいいなあ。」
と、のん気に考えていたら、朝になって予報が変わっていた。
でもまあ低山だしいいか、と余市へ向かう。
目指したのは稲倉石山789m。
以前余市天狗岳に登ったときと同じ余市ダムからのアプローチ。

ダムを越えて続く林道を行く。
ガス気味の天気で、気温が高い。
そして雪が重い。
林道はトレースがあったが、トレース後のラッセルが思いやられる。
ありがたいトレースは、林道を行かずに沢沿いを進んでいた。
あるから乗ったが、なかなか渋いライン取り。
危なっかしいトラバースと徒渉を数回こなして、822m三角点から東に伸びる尾根に取り付く。
薄いトレースは途中でなくなり、雪の重さが身に染みる。
これまでの思いラッセルがムニュ~だとすると、ウンニュ~という感じの重沈みラッセル。
ため息が出る。
「当然滑りも楽しみきれないよね。」という会話と、標高とともに濃くなるガスにあきらめムードがただよう。

標高500mぐらいで、再度トレースが出てきた。
開始時の計画では、途中で尾根から外れて、稲倉石山へ向かう沢型か、コルへ向かう尾根に移るつもりでいたが、重雪ラッセルとガスにやられたおじさん2人は、トレースに乗って822m峰に上がる道を選ぶ。
ピークが近づくと、ますますガスが濃くなる。

さて、ピークだ、と思ったとき上を見ると、大きな雪庇。
この雪でこの雪庇はやばい。
ガスの中、慎重に雪崩気配心アンテナを強く作動させながら、雪庇を越える弱点探し。
雪庇をかき分け、板を上に投げ何とか乗り込む。
視界が利いていれば、ここからは上がっていない。

822m峰ピーク。
ここは、稲倉石山よりも標高が高い。
それには若干満足感がある。
そして、ここまでの斜面はいい斜面だった。
ガスは濃いし、稜線上はそれなりに風が強い、などなど、ここから折り返すための言い訳を語り合う。
ガス待ちカップ麺を食べてね。
少し視界が利くようになると、822m北側にとてもいい斜面が見えた。
本来は、稲倉石山を登って晴れた稜線を幸せに歩いて、その斜面を下るはずだった。
しかし、安全第一、折り返し幸せ滑走に切り替える。
ピーク直下は本当にいい斜面だった。
滑りやすい雪とは言えないが、この斜面なら大満足。
天気と雪がいいときに滑りたいものだ。
下り始めると明るくなるのは世の常。
明るくなるといい気なもんで、「適当に滑っても、もとの沢型に出るよね。」などと言いながら自由に滑る。

沢沿いを下る頃には、青空が広がり、気温が上がる。

下りの緩斜面を汗をかきかき滑り、
さらに汗をかきかき林道の半歩き滑走。

往復4時間程度のお気楽な往復山行となった。
今シーズンは敗退気分が多い。

やっぱり天気悪いよね

2025-02-09 | 雪の山
単独だし、冬型が決まっているし、遠出する意義はない。
こういう時は近場で、未探索の場所を歩くのがよい。

ふと、星置山を思い出した。
最初に聞いたときは、三角点もない稜線上に通称がつく時代になったのだと感心したものの、たいして興味はなかった。
普段小樽方面に向かう時、国道337を利用する。
新川から離れて、直線部に入ると手稲山稜線上にちらっと輝く広い沢型見える。
かなり前だが、ある時それが星置山だと気付いた。
パチンコ尾根から奥手稲山という往年の名(迷)ルートをたどっていれば、知らずのうちに踏んでいるはずのピークだが、そのラインで奥手稲には行っていない。
手稲西峰は既登で、大昔に発寒川~星置川縦走をしたので、星置山を含むほんの2㎞ほどが全くの稜線部ということになる。

金山から歩く。
新幹線のトンネル工事でスタートがややこしいことになっている。
その先の林道も除雪されていて、ぐんぐん進む。
林道わきに雪がないところがあった。
地熱? 温泉?
やがて、なにやら怪しい「斜坑」と名のある豪華なトビラ付き洞窟にたどり着く。「立入禁止」がどの位置を指しているか分からず、少し立ち入ってしまった。
少し、戻り尾根に取りつく。
林道からは這い上がるとすぐに、電線刈り分け道に出た。
しばらくここを歩くのもよいかと思ったが、ヤブはたいして濃くないので素直に尾根伝いに高度を上げていく。
天気は晴れたり吹雪いたりを繰り返している。

上空はずっとゴーゴーなっていて、この時点で稜線を歩くのはやめておこうと考えていた。
尾根の傾斜はきついが、ヤブは優しいし、シールがよく効くので歩きやすい。
スタートから2時間半で713m。
広々としてよい場所だったが、風が強い。

雪もバラバラと音を立てて体に当たる。
回復は望めそうにないので下山する。

下り始める場所を探すうちに町が見渡せる瞬間があった。

そこそこ広い斜面もあり、雪も滑りやすくよい。
11時には下山。
いろいろわかった。
・このルートでも星置山まで4時間程度で行けそう。でも除雪されているから、3月半ば以降は道上の雪が融けてスキーは厳しいかも…。
・どの尾根もハイシーズンならさほどヤブは濃くない。
 (ウロウロヤブヤブスキーヤー感覚です。)
・星置山の見えている沢型も滑って大丈夫な感じ。
帰りに手稲方面で買い物をしているうちに町まで吹雪いてきた。
いい時間に下山した。

厳冬期が終わってしまった…

2025-01-26 | 雪の山
1月だというのに、高い気温の日々が続いている。
不満を言ってもしょうがないが、心配だ。
でも天気はいい。
まともな斜面を滑りたいのでニセコ連峰へ向かう。
2023年の4月に岩内側から目訓内に行った。
その時に「白樺山にも行きたいものだ。」と話していた。
という訳で、老古美ゲートからのアプローチ。
少し道路を歩き、まっすぐ白樺山に上がる尾根に取りつく。
樹林だが最近の登山のようなヤブではなく幸せ。
途中で道路を横切りひたすら稜線に向かう。

ピークが2つ並んだ西側が白樺山だ。
雪の白樺ピークは多分33年振りぐらい。
うれしい。

滑りを楽しむためとウロウロ稜線歩きの幸せを感じるために長沼へ向かう。
振り返ると、ニセコ連峰らしい広い稜線に白樺ピークが輝きだした。
ピークでは若干の強風にあおられたが、天気が回復だ。
向かう方向にはシャクナゲ岳の山の塊そびえ、少しずつ青空が広がり始める。
うーん、ドラマチック!

トラバースしながら、長沼へ向かう斜面を吟味。
人気の斜面なのでトラックがある。
よさげな斜面でノートラック面を見定め、長沼に落ちていく。
写真の感じほどヤブはない。
よい斜面なのだが、雪は固め。
ウロウロスキーヤーにはちと荷が重い。

幸せ長沼ランチ。
チセを眺めながらゆったり食事。
あちこちに数名の人がいたが、スライドはしなかった。
欧米人らしき一団の素晴らしい滑りも眺めることができた。

肩まで登り返し、また稜線へ。
この頃には完全に快晴無風。
うれしいがこれは3月の陽気。

稜線緩斜面で並行トラック遊び。
雪山ウロウロ徘徊初老ズには、面ツル緩斜面がヒャッホー斜面だ。

白樺山まで戻り、ピークの間の沢型を滑るつもりだったが、最初のコルがよさげに見えたのでそこを滑る。
時々広がる開けた場所をねらって快適に滑る。
陽光が当たり始める直前だったせいか、ここの雪はとてもよかった。

一度道に出る。
しばしウロウロステップソール板の性能をいかんなく発揮。
登りのトレースに合流。
だんだん雪が悪くなるが、木をぬって滑るのは楽しい。
ゲートに続く道に合流、積丹方面の山々を眺めながらゴール。

このまま暖かさが続くと3月にはどうなっているのか。
不安はあるが、幸せな1日。



そろそろちゃんと滑りたいのに…

2025-01-18 | 雪の山
The dayと言えそうな今日、またもやヤブ山を彷徨ってしまった。
一人の時用に誰も行きたがらなさそうな場所をいくつか選定してある。
点名「薄別」854mもその一つ。
天気よさそうだからちゃんと滑れる羊蹄とか、喜茂別山とか漁岳とかも頭をよぎったが、未知の場所が一度頭に浮かぶと離れない。
「薄別」だけでつまらなかったら困るので、丹沢山からつなぐといいかな、と考えてしまった。

スタート地点から点名「庚申草」を臨む。
あいつの薄別川向きの斜面も探索してみたい。

林道をたどる。
この傾斜の林道ならいつものウロウロ板でシールがいらない。
詰めていけば、薄別に向かう稜線を通るので、都合がよい。
予想に反して積雪が薄く、最初は安心してラッセルをこなしていた。
ところが、足を進めた後、荷重するたびに「ムニュ」と2段階で沈むラッセルが、じわじわ体力を奪っていく。
800mを越えると、「ムニュ」が、「ムニュ~」に変わる。
そのムニュ~に嫌気がさして来た頃、林道が荒れてきた。
「なんか辛いなあ。」と嘆きながら進むと、
林道崩壊地点に出て、ドキドキする。

雪が崩れ落ちてもいいように、立ち木を掴みながら5mを越えた。
立ち木がなかったら、かなり上を回っただろう。
振り返ると札幌岳が美しく輝いていて、ホッとする。

「ムニュ~」に体力を奪われるので、ペースを上げれない。
疲れ果て始めた頃に、よい場所に出たので大休止。
1月の無意根山をチラチラ眺めながら、カップ麺タイム。
丹沢山まで600mほどの場所だったので、空荷でアタックしてくる。
ここは2度目。
前は中岳に行く途中に通過しただけで、その時は名前を知らなかった。
ピークとも思っていなかった。
でも、これで今シーズン初の1000m越え。
そろそろ、ヤブにも飽きてきた。

登りできれいな地形を見付けておいたので、そこを楽しむ。
がんばって3ターンで終わり。
今日の快適斜面はここだけ。

ここから薄別までの稜線は、ただのヤブ。
ムニュ~は続いているし深くなっている。
眺めもないのでちっとも楽しくない。
ピークもヤブ。
看板には驚きました。
ここにいるかねえ。

あとは、適当に下るだけ。
方向を見定めて、できるだけゴール近くに出たいと思った。
ぴったりでしたね。
いいとこに出た。

ペースが上がらず、ムニュ~ラッセルのせいでだいぶ疲れた。
行動時間も7時間を少し越えた。
天気が悪ければやめていたと思う。
でも、未知の探索はしなければ気が済まないので、はっきりと、もう行かないと思えるのはよかった。
静寂の森の中で、1日中鳥の声を聞きながら過ごせたのもよかった。

ヤブが濃くても滑る雪ならそれでよし

2025-01-13 | 雪の山
数年前までは、シーズンに2回くらいは登っていた春香山。
登山口付近で新幹線延伸工事が行われているので、車が停められない。
だから、2021年の年末を最後に行っていなかった。
しかし近年のヤブ山探索と、昨年気付いた「裏から」作戦を考慮すると、別のアプローチがあるのではないかと、ぼんやり考えていた。
完全に裏となると、だらだら尾根や林道を長く歩かなければならない。
それはつまらないので、ほったらかしにしておいたが、かなり前にオーンズスキー場から、「ひよどり越え」と呼ばれた急斜面を登って春香山北斜面から登ったことを思い出した。
これは、90年代初頭に発行された山スキールート図集にも掲載されている。
由緒正しいルートに違いない。
でも、このルートもだらだら尾根が長く、ヤブが多い。
それに下山がスキー場なのは、あまり好みではない。
せっかくだから新ルート開拓と行こうと思い、和宇尻山に直接上がる尾根を登ってみることにする。

札幌近くの林道の終点にはたいてい何らかの施設がある。
オーンズの横の道を詰めたところにも乗馬クラブのような施設があった。
寸詰まりが施設だと車が停められない。
しょうがないので、少し手前の邪魔にならなさそうなところに車を停める。
まっすぐ登ると施設を横切ることになりそうなので、銀嶺沢川を横に見ながら、ヤブの中をトラバース気味に上がっていく。

当然のようにヤブが多い。
でもまあ、ラッセルも薄いし、天気もよいので気分はよい。
ヤブと倒木積雪を避けるのに少々手間取りながら急斜面をほぼまっすぐ登る。
細尾根に出ると、少しヤブが楽になった。

521mの三角点ピークは、両サイドを行き来しながら林道が入っていた。
おかげで、521mには登らずにすみ、しばしヤブから解放された。
その道は、地図にある点線道に合流していた。
そこからまたひどいヤブになったが、最初だけで、後は普通のヤブだった。
そもそも和宇尻山自体がただのヤブ山だ。
丸いヤブ山は、ピークだけ開けていることが多いが、ここはピークも開けない。春香山すら見えない。
でも、まあ天気も良いし、とりあえず一つ目的を達成したので喜ぶ。
和宇尻山は、多分2回目。
大昔、今はなき銀嶺荘に泊まった時に、当時の管理人の竹本さんが案内してくれた。よい小屋と朴訥とした素敵な管理人さんであった。

春香山と和宇尻山の間は、トレースがあった。
そのトレースをたどっていたスノーシューの2人組とスライドする。
挨拶を交わし、しばし行くと眺めが開けてくる。
高い山っぽい開けた斜面を登るとピーク台地に出た。
春香山ピーク。
ピンク看板は健在だ。
普段はたいして人に会うことを望んでいないが、休日の春香山ピークで人に会わないのは寂しい。
新幹線工事の影響で、地元に愛される素朴な山が荒廃していく感がある。

東斜面を滑る。
今日のように気温が高い晴れの日でも、ここの雪はとても滑りやすい。

和宇尻山に登り返し、ほぼトレースをたどって下った。
ひどかったヤブの部分は、尾根の側面の急斜面を滑ってかわした。
広めの尾根は全体に結構滑りやすかった。(多分大方の人は賛同しないと思うが…。)
林道部分は緩い傾斜があり、今日の雪なら止まらず通過できた。
最後の急な尾根は、ヤブを避けるために沢型に突っ込んだ。
時々、倒木積雪にぎりぎりまで気付かず難儀したが、割と普通にターンしながら滑り降りることができた。
ほぼノンストップ。
登りは4時間近くかかったが、下りは1時間かからず下山できた。

なぜか、とても疲れた。
少ないながらも一人でラッセルしたことと、濃いめのヤブのせいか、
はたまた歳のせいか…、
でも、好天無風の中、静寂の森で過ごすのは幸せなことだと思った。