なちゅらる Hi !

かっぱの心をうるおす、山・川・岩・海などの小さな自然。主に北海道の話。

トップ湖から徳富岳のトップに!

2025-04-05 | 
富士型山を登った時に、改めて徳富岳を考えた。
奥にある上に、アプローチ地点からの地形が複雑で扱いに困る山だ。

あちこちの山に行っているうちに、真冬は除雪していなくても、春先になると除雪が入る道があることをなんとなく感じていた。
「徳富ダムへの道もそろそろ除雪されているのではないか。」と思い、代替え案も用意しつつ行ってみると、当たり。

ダム横まで車が入れた。

午前中は、曇り予報だが天気は保証されている。
喜び勇んで、ダム横の道を進む。
広い沢型地形を歩き、438mへ向かう。
左岸の森は歩きやすかった。
438mに着くと、地図の点線道がなんとなく確認できた。
木はまばらなので、あまり道を気にせず歩きやすいところを歩く。
627m三角点ピークは東側をトラバース。
平らなところに、沢が突きあがる周囲の地形がかっこいい。
その先の細尾根は、ほぼ真上を行くが、何度か左側の急斜面に下りてトラバースを強いられた。
徳富岳南の914から南に伸びる尾根に取り付くために広い平らな地形を進む。
Co500m辺りで徳富岳が見えた。
かっこいいね。

さらに進むと、914から南に伸びる尾根が近づいてくる。
稜線の黒いところが地形図の崖マーク。

急な斜面をシールを付けて上がる。
真冬なら厳しい急斜面もこの時期は登りやすい。
そして稜線。
広々と歩きやすい。

笹藪に押しのけられた雪庇崩れに、春の命と雪の抵抗を感じながら進む。
914mポコにたどり着いた。
徳富岳ピークを臨む。
手前のコルがけっこう深い。
真ん中のポコはトラバースで行けそう、とか、ピーク左の斜面いいね、などと言いながら、歩き出す。

徳富岳ピーク。
ポワンとして。丸くて広い幸せピーク。
街から眺めると、急峻な激しさが目に付くのに印象が全く違っておもしろい。

風があるので、風よけ昼食砦作ってピークランチ。
テーブル&背もたれ付きの快適スペース。
気温は高いので風が当たらなければ幸せそのもの。
1時間近く滞在したか。
眺めが広がるのを待ったが、残念ながら白めの世界が続いた。
しかし雪はよく滑る。


トップ湖を眺めながら、シューと滑った。

ピンネや隈根尻に目をやりながら快適に滑った。


雪庇から下へ降りる斜面は大当たり。
変化の多い標高差400mを楽しめた。

雪がベトつきだす。
ときどき歩きや登りがあるが、ウロウロ板は強い。
薄くなった登りトレースを探したり、楽なラインを見い出したりしながら、最初に上がった沢型に戻った。

1日中徳富ダムをちらちら見ながら過ごした日が終わる。

行きたいけど、奥深く、どうやって行こうか悩む山だった。
チャンスをねらって行けてよかった。

ビレイデバイス雑感

2025-03-30 | 道具
ちょうどいい時間帯の天気が荒れるようで、雪の山に行く気がせず。
クライミング用具の整理でもしようかと思った。
するとビレイ系の器具がいろいろ出てきた。
あまり物は増やしたくない方だが、長年やっているともらいもんなども重なって増える。
だからなんだという感じではあるが、振り返ってみる。

エイト管&シュテヒト環。

最初は沢登り中のロープワークだった。
しかも肩がらみとか腰がらみの時代だったので、簡単な沢では器具は最低限。
垂直以上の懸垂下降が必要な時も、スワミベルトとテープスリングで簡易ハーネス状にして、エイト管で懸垂、という感じだった。
(今やるとネットでたたかれそう…😊。)
そんな時代に青いエイト管はいつもザックに忍ばせておくものだった。
しかしエイト管は、行動中の使用回数が増えると、ロープがどんどんキンクする。
そこで現れた、というか助けられたのが、左のシュテヒト管。
「ブタッ鼻」と呼び重宝した。
バネのないやつもあるが、バネってどこか男心をくすぐるところがあっていい。
後にATCを使うがフリーでなければ、こっちの方が使いやすいことも多い。

だんだん、フリーや岩稜での活動が増えてバケツ型に手を出す。
かなり後までATC(青)一択だった。
だが、ロープが細くなりセカンドビレイの安全面を考慮するようになって、ゴースト(緑)を手に入れた。
これは、今でも時々使う。
簡単なアルパインとか、沢登りなら使いやすいと思う。
セカンドの解除も楽。
ちなみにこの時代の王道は、ぺツルの「ルベルソ」。
ひねくれ者だから王道を避けたがる傾向がある。

だから、グリグリもずっと使っていなかった。

でも、ある日左の初期型をリサイクルショップで格安で発見。
その後、新しいのをもらったのでときどき使う。

今のメインはこれ。
右のクリックアップ+は、とてもお気に入り。
使いやすいし、応用範囲が広い。
メガジュルは、とても軽いから忍ばせておくにはいい。
懸垂下降中のロック機能もありがたい。

グリグリはともかく、自分に大事なのは軽さと応用範囲の広さ。
クリックアップは少し重いけど、かっこいいからいいのだ。

ビレイ器具ではないけど、おまけ。
もう、使わないな、多分。
普通の岩場では今さら使えないし…。

という感じで家で過ごしていると、外は見事な荒れ模様。
雪の山歩きたかったけどなあ…。

本俱登山と笹岳をつないでみた

2025-03-23 | 雪の山
本俱登山1009mは過去3回登っている。
2回は普通に登ったが、3回目は赤井川村青井川脇の「天狗岩」探査が目的だったので、美比内稜線から続く稜線に上がり、幸せ稜線を半分歩いた。
その時、京極ダム西の稜線と本倶登山稜線がつながっていることに気付いた。
素敵な回廊に見えたので、それをつなぎたいと思った。

双葉ダムへ向かう道のゲート脇に車を停める。
この道はゲートで閉じられているが、除雪されている。
あまりアスファルトを歩きたくないので、無理矢理取り付く。
雪が硬いのに、ツボだとそこそこ埋まる。

だだっ広い樹林を稜線壁までスキーで進む。
この傾斜だと、ウロウロ板にシールはいらない。
稜線が見えてきた。

さて、稜線に上がる急斜面。
雪が硬いのでシールをつけても直登できない。
ツボだといちいちけっこう埋まる。
なので、尾根の末端近くまでトラバースして、傾斜の緩んだところを上がった。

稜線に出ると、反対側のヌップリ寒別川に下りていく。
沢はほぼ埋まっていて、冬にしか見られない広い回廊ができている。
この回廊を歩きたい気持ちにとらわれる。
でも稜線上も歩きたいので、902m三角点Pを目指し上がる。

ここも開けていてとても歩きやすい尾根だ。

完全にぶら下がっているもののけ。
冬の終わりと同時に消えていくもののけを写真に収めてしまった…。

902mは点名が「本倶登」となっている。
ぽこんと飛び出た上に立ち、特になんてことはないので通過する。
ちなみに本俱登山の三角点名は「本俱登山」。

振り返ると半羊蹄があった。
今日登っている人は、ガスか吹雪の中ですね。

本俱登山稜線が近づいてきた。
900越えの台地が広い。
好きな場所だ。

到着。
天気は回復傾向だと考えていたのに、だんだん曇りが重々しくなってきた。

ここまでの稜線や、ヌップリ寒別川の回廊も楽しみだったが、いよいよここからの笹岳までが、この日のメインディッシュ。
広々稜線から、大きな針葉樹帯に入る雰囲気のよい場所だ。

満足感により浸るために針葉樹のお宿を探し、昼食にする。
一抱えの太いエゾ松があり、幹と垂れた枝の間に潜り込んだ。
2人分でちょうどいい隙間。
雪が降ってきたのでよい休憩所となった。

一登りで点名:笹岳ピーク。
ここも900m越えの台地が広い。

雪が硬いので、稜線上ぐらいの傾斜でちょうどいい。
板がよく走る。
送電線を越えて、登りであまり気に留めていなかった三角点「樺森台」を確認する。
この日4つ目の三角点だが、稜線の途中で、ポコとすら呼んでいいのか…?
こんな三角点もあるんだな。

稜線を離れる。
登りから気にしていた緊張の瞬間。
雪がちょっとよければ、最高に幸せな斜面だが、今日は硬い。
吹っ飛んでいきそうで怖いので、慎重に下りる。

最後は、平らで豊かな森を行くだけ。
よく進む雪でとても楽だ。
最後はアスファルトを歩きたくないが故に、予定より寄り過ぎて、車の真上にドンピシャで出た。

とても満足なウロウロ感の1日だった。

好条件が重なった 北の別狩岳726m

2025-03-16 | 雪の山
南と北に低気圧があるので高圧部がもちそうな日。
予報は曇りだが、北に向かえば快適な高曇り、と予想した。

別狩岳は2つある。
南の別狩岳は昨年適当に行ってみて、急な細尾根にびびってやめた。
あの細尾根はいただけない。
行くなら裏から回るのが無難と考え、面倒になった。
こちらの別狩岳北は、短めだし、徒渉以外の難点はなさそうだ。

林道入口に車を置こうと考えていた。
「林内作業中」という旗が立っていて除雪痕があった。
どこまで入れるかと少し進んでみたが、車の腹をこすりそうだ。
入ってすぐの雪除けスペースに停める。
除雪痕は、点線道との分かれ道まで続いた。
こすりそうな轍中央はしっかりしていてスキーで進めた。

春の林道、ウロコ板は速い。
新雪がうっすら積もっていて、白く輝き、美しい。
五番川のせせらぎと鳥の声を聞きながら一人で進むのは気持ちがいい。

橋を渡る。
川幅を見て、少し焦る。
徒渉できるか…。
川は浅いので、はだし作戦も頭をよぎる。

平らな地形が広がり、林道跡がよく分からない。
が、広々している。
そこで、ピーク方面を捉えた。
歩きにくいところはなく、広々した地形でウロコ性能を発揮しすいすい進む。
川が北向きになるとすぐに徒渉点が見つかった。
ここと、少し上の2か所しかつながっていない。
来週だったら渡れなかっただろう。
幸運を喜ぶ。

鹿の足跡が多いと思っていたら、いた。
しばし目が合った。
あちこちに彼らが沢を渡った足跡があった。
徒渉点ブリッジを渡られていたらなくなっていたかもしれない。
彼らは、水に浸かることよりも上がりやすい場所を選んでいるのか…?
はたまた、踏み抜きを恐れて敢えて浸かっているのか…?。

急斜面を横目に進むと登りやすい斜面に出る。
シールを着けて上がっていく。
一人なのでゆったりペース。
滑るのが楽しそうな斜面を眺めながら稜線に出る。
きっちり堅雪の上にうっすら新雪。
この雪とこの傾斜なら、滑るのを楽しめる。
予想通りの高曇りで明るいし、風もない。

回りを見渡すと、素敵な斜面があちこちにある。


キツネがいた。
しばし動きを止めて眺めていると、近づいてきた。
途中で目が合った。
しかしどんどん近づいてきた。
最終的には10mぐらいの距離まで来た。
笑顔で迎えたが、こちらが動き始めるとサッと身をひるがえして去っていった。
若いやつだったので、好奇心が勝ったか…。

なんの苦労もなく快適に628mポコに上がる。
あれが、ピーク。
ピーク左の斜面も、このポコの南西斜面も広く抜けている。
なんて幸せな稜線だろう。

ちょうどいい具合の堅雪だったので、コルからスキーを背負ってツボで上がる。

別狩岳Peak。
増毛の山々が輝く。
南の稜線にも目を向ける。
雪庇の発達は小さく、滑りの危険は少なそうだ。
なんかG3の宣伝みたいになっちゃったけど…。

ピークから628mポコまで登り返しはほとんどなく、よく進む雪を快適に滑る。
そして628mからは、抜けた尾根と疎林の急斜面を400m近くまっすぐ滑る。
快適すぎる…。
太陽が出てないので雪が腐らない。
朝とあまり変わらぬ条件の雪を、適度な気温の中、気持ちよく滑れた。
気象条件、雪質、地形と好条件が重なった。

川べりでせせらぎに耳を傾けながら、ゆっくりランチ。
今度は「紀土」の宣伝か…。
中身は酒ではありませんが、「紀土」は安くてうまい酒ですよ。

帰路ものんびり。
轍中央帯は朝と変わらない堅さで、スキーで進むのに苦労はなかった。
微妙な登り返しは複数個所あるものの、よく進む雪にウロコ板なので何の苦もない。
ここは、奥まで入ってウロウロあちこち滑るのに最高の場所かも知れない。
あちこち滑ってみてもよかったな。

青空と疲労感

2025-03-08 | 雪の山
本当は稲倉石山789mまで足を伸ばすつもりだった3週間前
ピークと、その時滑れなかった822m横の広大な斜面への心残り。
それを果たしに行く。

3週前の下山時に周回案を考えた。
樹林ウロウロと稜線歩き、楽しそうな滑り斜面を取り入れた贅沢コース。

車止めからすぐに林間に入る。
少し歩くと地図の池が出てくる。
池の脇を進み、緩やかな沢型から余計なポコを回避してラインを取る。
この時点では強めの風に雪が舞い、不穏な空気を醸す。
だが、時間とともに高気圧の端に覆われるはず。

余市ダムを眼下にチラチラ見ながら支尾根を進む。
聞いていた通り、この尾根の雑木は歩くのに気にならない。
2時間ほどで稲倉石ピークを視界にとらえた。
ほどほどの重さの一人ラッセルが、じわじわ効いてくる。
「このくらいの時間でこんなに疲れていたか。」と考える。
「歳のせいかあ。」と、広がっていく青空を眺めながら疲労苦笑い。
青空が広がると、シジュウカラの歌声とキツツキのドラミングが響く。
静寂に広がる自然の音に幸せを感じる。

主稜線が近づくと余市天狗まで見渡せた。
主稜線は広い。
708mを越えるまで、細めの樺帯だった。
樺枝に湿った雪が着き、それが風で落とされているため、見た目にザクザクした、何ともやりにくい急斜面ラッセルが続く。
そして、稲倉石山直前で木がなくなると、陽に照らされた雪が、シールにベタベタと付きだす。
ここに来てじわじわと体をいじめてくるなんて、もう…。

稲倉石山ピーク。
積丹方面が輝いている。
よい眺めだ。

ピークはそこそこ風が強いので、822mとのコルまで下る。
この下りは楽しめる斜面だった。

コルで昼食。
体が疲れているときは、エネルギー補給が一番。
気を取り直して、822mへの登り。
振り返ると、稲倉石山からの滑り跡が見通せた。


822m峰は存在感がある。
雪庇の発達もかっこいい。

三角点もあるのだから、名があってもよさそうなものだ。
写真の一番高いところが822m峰。
見ての通り、美しい斜面が広がっているので、下降地点を物色する。

よし、ここから。

華麗なターンを連続で続けることは技術的にできないが、標高差300mで、どこもストレスなく滑れそうな急斜面にワクワクする。
もう少し早い時期なら、まっすぐダムからの沢に滑ってもいいかもしれない。

今回は、斜面が緩くなってから林道の末端に向かった。
斜めに移動すると、地図で見るよりは小さな沢型地形が深い。
ウロウロ板なので、下りのギャップは問題ない。

この頃には雪がザクザクになり、重い。
雪が板に乗るのを嫌って、歩くのが嫌になったので、沢沿いに滑ってみた。
だが、3週前より沢が口を開けているのは当然。
途中から、危なっかしい徒渉を繰り返すより、林道の方がいいと考え、林道復帰。
すると、当然照らされた雪を歩くことになり、板自体にも雪が着き出す。
最後の最後まで体を使うことをじわじわ要求された。

おかげで、日常内での達成感としては、満足度が高い1日だった。