なちゅらる Hi !

かっぱの心をうるおす、山・川・岩・海などの小さな自然。主に北海道の話。

好条件が重なった 北の別狩岳726m

2025-03-16 | 雪の山
南と北に低気圧があるので高圧部がもちそうな日。
予報は曇りだが、北に向かえば快適な高曇り、と予想した。

別狩岳は2つある。
南の別狩岳は昨年適当に行ってみて、急な細尾根にびびってやめた。
あの細尾根はいただけない。
行くなら裏から回るのが無難と考え、面倒になった。
こちらの別狩岳北は、短めだし、徒渉以外の難点はなさそうだ。

林道入口に車を置こうと考えていた。
「林内作業中」という旗が立っていて除雪痕があった。
どこまで入れるかと少し進んでみたが、車の腹をこすりそうだ。
入ってすぐの雪除けスペースに停める。
除雪痕は、点線道との分かれ道まで続いた。
こすりそうな轍中央はしっかりしていてスキーで進めた。

春の林道、ウロコ板は速い。
新雪がうっすら積もっていて、白く輝き、美しい。
五番川のせせらぎと鳥の声を聞きながら一人で進むのは気持ちがいい。

橋を渡る。
川幅を見て、少し焦る。
徒渉できるか…。
川は浅いので、はだし作戦も頭をよぎる。

平らな地形が広がり、林道跡がよく分からない。
が、広々している。
そこで、ピーク方面を捉えた。
歩きにくいところはなく、広々した地形でウロコ性能を発揮しすいすい進む。
川が北向きになるとすぐに徒渉点が見つかった。
ここと、少し上の2か所しかつながっていない。
来週だったら渡れなかっただろう。
幸運を喜ぶ。

鹿の足跡が多いと思っていたら、いた。
しばし目が合った。
あちこちに彼らが沢を渡った足跡があった。
徒渉点ブリッジを渡られていたらなくなっていたかもしれない。
彼らは、水に浸かることよりも上がりやすい場所を選んでいるのか…?
はたまた、踏み抜きを恐れて敢えて浸かっているのか…?。

急斜面を横目に進むと登りやすい斜面に出る。
シールを着けて上がっていく。
一人なのでゆったりペース。
滑るのが楽しそうな斜面を眺めながら稜線に出る。
きっちり堅雪の上にうっすら新雪。
この雪とこの傾斜なら、滑るのを楽しめる。
予想通りの高曇りで明るいし、風もない。

回りを見渡すと、素敵な斜面があちこちにある。


キツネがいた。
しばし動きを止めて眺めていると、近づいてきた。
途中で目が合った。
しかしどんどん近づいてきた。
最終的には10mぐらいの距離まで来た。
笑顔で迎えたが、こちらが動き始めるとサッと身をひるがえして去っていった。
若いやつだったので、好奇心が勝ったか…。

なんの苦労もなく快適に628mポコに上がる。
あれが、ピーク。
ピーク左の斜面も、このポコの南西斜面も広く抜けている。
なんて幸せな稜線だろう。

ちょうどいい具合の堅雪だったので、コルからスキーを背負ってツボで上がる。

別狩岳Peak。
増毛の山々が輝く。
南の稜線にも目を向ける。
雪庇の発達は小さく、滑りの危険は少なそうだ。
なんかG3の宣伝みたいになっちゃったけど…。

ピークから628mポコまで登り返しはほとんどなく、よく進む雪を快適に滑る。
そして628mからは、抜けた尾根と疎林の急斜面を400m近くまっすぐ滑る。
快適すぎる…。
太陽が出てないので雪が腐らない。
朝とあまり変わらぬ条件の雪を、適度な気温の中、気持ちよく滑れた。
気象条件、雪質、地形と好条件が重なった。

川べりでせせらぎに耳を傾けながら、ゆっくりランチ。
今度は「紀土」の宣伝か…。
中身は酒ではありませんが、「紀土」は安くてうまい酒ですよ。

帰路ものんびり。
轍中央帯は朝と変わらない堅さで、スキーで進むのに苦労はなかった。
微妙な登り返しは複数個所あるものの、よく進む雪にウロコ板なので何の苦もない。
ここは、奥まで入ってウロウロあちこち滑るのに最高の場所かも知れない。
あちこち滑ってみてもよかったな。

青空と疲労感

2025-03-08 | 雪の山
本当は稲倉石山789mまで足を伸ばすつもりだった3週間前
ピークと、その時滑れなかった822m横の広大な斜面への心残り。
それを果たしに行く。

3週前の下山時に周回案を考えた。
樹林ウロウロと稜線歩き、楽しそうな滑り斜面を取り入れた贅沢コース。

車止めからすぐに林間に入る。
少し歩くと地図の池が出てくる。
池の脇を進み、緩やかな沢型から余計なポコを回避してラインを取る。
この時点では強めの風に雪が舞い、不穏な空気を醸す。
だが、時間とともに高気圧の端に覆われるはず。

余市ダムを眼下にチラチラ見ながら支尾根を進む。
聞いていた通り、この尾根の雑木は歩くのに気にならない。
2時間ほどで稲倉石ピークを視界にとらえた。
ほどほどの重さの一人ラッセルが、じわじわ効いてくる。
「このくらいの時間でこんなに疲れていたか。」と考える。
「歳のせいかあ。」と、広がっていく青空を眺めながら疲労苦笑い。
青空が広がると、シジュウカラの歌声とキツツキのドラミングが響く。
静寂に広がる自然の音に幸せを感じる。

主稜線が近づくと余市天狗まで見渡せた。
主稜線は広い。
708mを越えるまで、細めの樺帯だった。
樺枝に湿った雪が着き、それが風で落とされているため、見た目にザクザクした、何ともやりにくい急斜面ラッセルが続く。
そして、稲倉石山直前で木がなくなると、陽に照らされた雪が、シールにベタベタと付きだす。
ここに来てじわじわと体をいじめてくるなんて、もう…。

稲倉石山ピーク。
積丹方面が輝いている。
よい眺めだ。

ピークはそこそこ風が強いので、822mとのコルまで下る。
この下りは楽しめる斜面だった。

コルで昼食。
体が疲れているときは、エネルギー補給が一番。
気を取り直して、822mへの登り。
振り返ると、稲倉石山からの滑り跡が見通せた。


822m峰は存在感がある。
雪庇の発達もかっこいい。

三角点もあるのだから、名があってもよさそうなものだ。
写真の一番高いところが822m峰。
見ての通り、美しい斜面が広がっているので、下降地点を物色する。

よし、ここから。

華麗なターンを連続で続けることは技術的にできないが、標高差300mで、どこもストレスなく滑れそうな急斜面にワクワクする。
もう少し早い時期なら、まっすぐダムからの沢に滑ってもいいかもしれない。

今回は、斜面が緩くなってから林道の末端に向かった。
斜めに移動すると、地図で見るよりは小さな沢型地形が深い。
ウロウロ板なので、下りのギャップは問題ない。

この頃には雪がザクザクになり、重い。
雪が板に乗るのを嫌って、歩くのが嫌になったので、沢沿いに滑ってみた。
だが、3週前より沢が口を開けているのは当然。
途中から、危なっかしい徒渉を繰り返すより、林道の方がいいと考え、林道復帰。
すると、当然照らされた雪を歩くことになり、板自体にも雪が着き出す。
最後の最後まで体を使うことをじわじわ要求された。

おかげで、日常内での達成感としては、満足度が高い1日だった。

どうせガリガリなら、いつもガリガリのところへ

2025-03-02 | 雪の山
札幌街中、うちの近所は12℃まで気温が上がった翌日、
樽前山に向かう。

冬はほとんどスキーで登る。
まだバックカントリーという言葉が周りから聞こえてこない頃からスキーで登っているので、滑る道具という感覚は薄い。
北海道でその辺の山の中で行動するのに最も適した登行用具はスキーだ。
ウロウロステップソール板にしてから、さらにそう思う。
求めるのは滑りではなく、歩きと眺めと変化。
週末の遊びでは重要な要素だと思う。
滑りは変化に含まれる。
何より下りが楽だし…。

で、変化を求めて多峰古峰山登山口から樽前を目指す。
多峰古峰方向に向かわず、地図の点線を詰める。
支笏湖周辺の針葉樹林は深くていい。

道なりに行くと苔の洞門に出た。
なにやらゲートがある。
多分昔、苔の洞門が観光コースだった頃、通っているのに覚えていない。
そのまま苔の洞門内を進む。
時々、倒木があったりするが、積雪がしっかりあり歩きやすい。
さらに進むと古い標識があって、バス停かと思いびっくりした。
バス停を越えて、洞門から外れる。
目指すは725mの尾根。
少し上がると、溶岩ドームが見えた。
ふり返ると青空の下、支笏湖が輝きだす。


下からはわかりにくかったが、顕著な尾根だ。
700mを越えると、傾斜が増すとともに樹林がなくなる。
ガリガリの急斜面。
踏めば少し沈むので、ぎりぎりシール登行ができた。
同行Uは、後半シートラ。
板の違いか、シールの違いか…。
急斜面に入ったころから暴風。
幸い気温は低くないので、大きな岩の陰にブロックを積んで、
ドームを眺めながら昼食タイム。
雪がついたドームが美しい。
今日もカップラーメンとおにぎりです。

近いのは西のピークだが、今シーズンはあまり1000m越えていないので越えたい。
だから本峰を目指す。
写真は幸せそうに見えるけど、それなりに暴風。

ピーク。
羊蹄が遠望できるまで晴れた。

ガリガリ斜面を目指して戻る。
滑ってはいるが、向かい暴風なのでスピードが出ない。
眺めはよいので、ゆっくり堪能。風不死岳はかっこいいね。
ただ、ぼーっと眺めていると足元に出た小石で板をこする。
最近、どんどんウロコと関係なく凸凹になっていく。

ドーム台地のふちから、800mぐらいまではアイゼンシートラで下った。
ガリガリ急傾斜は怖い。
その後も堅雪でボーゲン下り。
苔の洞門の横は、見通しがよい緩斜面。
踏んだら沈むからいちいち転びそうになるので、やっぱりボーゲン。
やがて樹林に突入する。
緩斜面だが堅雪なので一応滑る。
登りは4時間越えで、下りは1時間半くらい。
滑りはまったく期待できないルートだと思うが、変化の多い眺めと地形を歩き回れて、楽しい山スキーコースでした。

だいたい天気がいいらしいのに、なぜか曇りの地域を選んだ日

2025-02-24 | 雪の山
察来山と当別丸山をつなげて稜線歩きを楽しみたいと、前から考えていた。
結果的には、それぞれバラバラに登ることになった。
さて、その訳は?

まずは、察来山に登る。
針葉樹の間の林道が気持ちいい。
うすらトレースがあり、雪も軽くすいすい進む。

林道が尾根に上がると、察来山南東面が見えた。
よだれが出るが、あの斜面は危ない。

林道を離れ、急斜面をまっすぐピークに向かう。
ピーク手前の台地に出たので、ピークに向き合う。

ピークはポコっと出ていて、その周囲のみ雪付きが悪い。
少しだけ板を外してツボで乗り越えた。

ピーク。
徳富岳を眺めるのを楽しみにしていたのに、見えない。

さて、ここからどう行くかと考えながら、ポケットに手を入れると、車のキーがない。
困ったときの笑顔で、しばし探すが、ない。
考えてみると、車から外した記憶がない。
しかたない。
つけっぱなしの開けっぱなしという希望をもとに、下山を開始する。

どきどきしながら、林道ジェットコースターであっという間に下山。
車を見ると…、
希望通り、鍵付き開けっぱなしの車だった。
今シーズンは何かスムーズな登行をはばむ力が働くらしい。

気を取り直して、車を回し、当別丸山を登りに行く。
登り口は近いので、あっという間に移動。
すぐ登り始める。
林道を30分もたどると、すぐに取り付き尾根。
これまた、針葉樹から始まる登りやすい尾根。
おまけにトレースがある。

せきたてられるようにグイグイ登り、疲れる。

ピーク台地に出た。
周囲は雑木に囲まれ、眺めはないが、広々していてよい。
南西面は全て快適そうな斜面で、どこから滑るかワクワクする。

ピーク。

別狩岳方面が見えているが、いまいちすっきりしない。
風は少しあるが、12時を過ぎてお腹がすいたのでピークタイム。
ピカピカ天気に当たらない日々が続いている。

さて、下りのお楽しみタイム。
こんなオープンバーンが選び放題。
踏み込むと若干のモナカ入り雪だったが、変化の多い長めの距離を堪能した。

ふりかえると、察来山の西斜面の雪はとてもよかった。
しっとりふわふわのクリーミーパウダー。
標高も向きも微妙な違いなのに、ここまで差が出るものかと感心した。
オープンゆえの日射の違いなのか…。
山も雪も奥深い…。

重たい雪に負けました

2025-02-16 | 雪の山
「天気図の割に予報はいいなあ。」
と、のん気に考えていたら、朝になって予報が変わっていた。
でもまあ低山だしいいか、と余市へ向かう。
目指したのは稲倉石山789m。
以前余市天狗岳に登ったときと同じ余市ダムからのアプローチ。

ダムを越えて続く林道を行く。
ガス気味の天気で、気温が高い。
そして雪が重い。
林道はトレースがあったが、トレース後のラッセルが思いやられる。
ありがたいトレースは、林道を行かずに沢沿いを進んでいた。
あるから乗ったが、なかなか渋いライン取り。
危なっかしいトラバースと徒渉を数回こなして、822m三角点から東に伸びる尾根に取り付く。
薄いトレースは途中でなくなり、雪の重さが身に染みる。
これまでの思いラッセルがムニュ~だとすると、ウンニュ~という感じの重沈みラッセル。
ため息が出る。
「当然滑りも楽しみきれないよね。」という会話と、標高とともに濃くなるガスにあきらめムードがただよう。

標高500mぐらいで、再度トレースが出てきた。
開始時の計画では、途中で尾根から外れて、稲倉石山へ向かう沢型か、コルへ向かう尾根に移るつもりでいたが、重雪ラッセルとガスにやられたおじさん2人は、トレースに乗って822m峰に上がる道を選ぶ。
ピークが近づくと、ますますガスが濃くなる。

さて、ピークだ、と思ったとき上を見ると、大きな雪庇。
この雪でこの雪庇はやばい。
ガスの中、慎重に雪崩気配心アンテナを強く作動させながら、雪庇を越える弱点探し。
雪庇をかき分け、板を上に投げ何とか乗り込む。
視界が利いていれば、ここからは上がっていない。

822m峰ピーク。
ここは、稲倉石山よりも標高が高い。
それには若干満足感がある。
そして、ここまでの斜面はいい斜面だった。
ガスは濃いし、稜線上はそれなりに風が強い、などなど、ここから折り返すための言い訳を語り合う。
ガス待ちカップ麺を食べてね。
少し視界が利くようになると、822m北側にとてもいい斜面が見えた。
本来は、稲倉石山を登って晴れた稜線を幸せに歩いて、その斜面を下るはずだった。
しかし、安全第一、折り返し幸せ滑走に切り替える。
ピーク直下は本当にいい斜面だった。
滑りやすい雪とは言えないが、この斜面なら大満足。
天気と雪がいいときに滑りたいものだ。
下り始めると明るくなるのは世の常。
明るくなるといい気なもんで、「適当に滑っても、もとの沢型に出るよね。」などと言いながら自由に滑る。

沢沿いを下る頃には、青空が広がり、気温が上がる。

下りの緩斜面を汗をかきかき滑り、
さらに汗をかきかき林道の半歩き滑走。

往復4時間程度のお気楽な往復山行となった。
今シーズンは敗退気分が多い。