南と北に低気圧があるので高圧部がもちそうな日。
予報は曇りだが、北に向かえば快適な高曇り、と予想した。
別狩岳は2つある。
南の別狩岳は昨年適当に行ってみて、急な細尾根にびびってやめた。
あの細尾根はいただけない。
行くなら裏から回るのが無難と考え、面倒になった。
こちらの別狩岳北は、短めだし、徒渉以外の難点はなさそうだ。
林道入口に車を置こうと考えていた。
「林内作業中」という旗が立っていて除雪痕があった。

どこまで入れるかと少し進んでみたが、車の腹をこすりそうだ。
入ってすぐの雪除けスペースに停める。
除雪痕は、点線道との分かれ道まで続いた。
こすりそうな轍中央はしっかりしていてスキーで進めた。
春の林道、ウロコ板は速い。
新雪がうっすら積もっていて、白く輝き、美しい。
五番川のせせらぎと鳥の声を聞きながら一人で進むのは気持ちがいい。
橋を渡る。

川幅を見て、少し焦る。
徒渉できるか…。
川は浅いので、はだし作戦も頭をよぎる。
平らな地形が広がり、林道跡がよく分からない。
が、広々している。
そこで、ピーク方面を捉えた。

歩きにくいところはなく、広々した地形でウロコ性能を発揮しすいすい進む。
川が北向きになるとすぐに徒渉点が見つかった。

ここと、少し上の2か所しかつながっていない。
来週だったら渡れなかっただろう。
幸運を喜ぶ。
鹿の足跡が多いと思っていたら、いた。

しばし目が合った。
あちこちに彼らが沢を渡った足跡があった。
徒渉点ブリッジを渡られていたらなくなっていたかもしれない。
彼らは、水に浸かることよりも上がりやすい場所を選んでいるのか…?
はたまた、踏み抜きを恐れて敢えて浸かっているのか…?。
急斜面を横目に進むと登りやすい斜面に出る。
シールを着けて上がっていく。
一人なのでゆったりペース。
滑るのが楽しそうな斜面を眺めながら稜線に出る。

きっちり堅雪の上にうっすら新雪。
この雪とこの傾斜なら、滑るのを楽しめる。
予想通りの高曇りで明るいし、風もない。
回りを見渡すと、素敵な斜面があちこちにある。

キツネがいた。

しばし動きを止めて眺めていると、近づいてきた。
途中で目が合った。
しかしどんどん近づいてきた。
最終的には10mぐらいの距離まで来た。
笑顔で迎えたが、こちらが動き始めるとサッと身をひるがえして去っていった。
若いやつだったので、好奇心が勝ったか…。
なんの苦労もなく快適に628mポコに上がる。

あれが、ピーク。
ピーク左の斜面も、このポコの南西斜面も広く抜けている。
なんて幸せな稜線だろう。
ちょうどいい具合の堅雪だったので、コルからスキーを背負ってツボで上がる。
別狩岳Peak。

増毛の山々が輝く。
南の稜線にも目を向ける。

雪庇の発達は小さく、滑りの危険は少なそうだ。
なんかG3の宣伝みたいになっちゃったけど…。
ピークから628mポコまで登り返しはほとんどなく、よく進む雪を快適に滑る。
そして628mからは、抜けた尾根と疎林の急斜面を400m近くまっすぐ滑る。

快適すぎる…。
太陽が出てないので雪が腐らない。
朝とあまり変わらぬ条件の雪を、適度な気温の中、気持ちよく滑れた。
気象条件、雪質、地形と好条件が重なった。
川べりでせせらぎに耳を傾けながら、ゆっくりランチ。

今度は「紀土」の宣伝か…。
中身は酒ではありませんが、「紀土」は安くてうまい酒ですよ。
帰路ものんびり。
轍中央帯は朝と変わらない堅さで、スキーで進むのに苦労はなかった。
微妙な登り返しは複数個所あるものの、よく進む雪にウロコ板なので何の苦もない。
ここは、奥まで入ってウロウロあちこち滑るのに最高の場所かも知れない。
あちこち滑ってみてもよかったな。