8月11日
5:40、C1出発。
心配した天気も、前日一瞬だけ聞こえたラジオの予報どおり高曇り。
気温も水温も高いので、安心して函の水に浸かる。
秘密兵器のかっぱ手袋もある。
朝から暗い函の中を泳いだりへつったり…。
7:10、目の前に滝が見える。
でも越え方が分からない。地図を確認すると300m二股だ。
ということは滝ではなく、この隙間に向かうということか!
幅1,5mの水路を行く。長さはおよそ8m。
今回は『泳ぐためのかっぱ』なので、こういうところはトップ通過する。
時間は午前7時過ぎで、すでに何度も水に浸かっているので少し寒い。
しかし、ロープを出して泳ぎ突入。
奥の岩にたどり着き、ザックとセカンドを引く。
足が付かない距離は、ここが一番長い。
320mくらいまでは数回泳ぐ。距離は長くて3m。
泳いでは、細引きでセカンドのUを引っ張る。
9:40、核心のS字渓の入口。
柱状節理の岩峰が見える。
最初のカーブまで何事もなく、そこから滝が始まる。
F1~3の滝が連続。Uが空荷で左岸を5mほど登り、滝の真横のテラスからビレイ。
2人なので、セカンドはロープの途中で結び、端にザックを結ぶ。
Uが、リード時に途中の泥を落としてくれているものの、ザックを背負ったままで登るにはちと手ごわい。
テラスの左上に細い潅木を束ねた残置スリングがあり、そこから懸垂下降。潅木もスリングも、「大丈夫か?」という感じだが、無事F1の上に降り立つ。
ここでトラブル発生。ロープが抜けない。
どうしても抜けないので、Uがこわごわ登り返してもう一度懸垂。今回持っていった8mm50mのロープは絡みやすい。
F3まで突破。
滝と滝の間は狭い。
F4(函奥の滝)
5mくらいの函の奥が滝。函は深い。が、ここまで何度も胸まで浸かっていてもうどうでもよくなっている。
「行ける行ける。」とザックを背負ったまま、5m細引きに2本くらい長めのアルパインヌンチャクをつないで泳ぎだす。足は着かない。
右岸の壁を水流に負けずにへつって滝の下に抜ける。
水流に耐え、滝のちょっと左をレイバックで持ち、右足を高く上げて「えい。」とやると上がることができた。
F6は、右岸を登る。
残置ハーケンで、斜めに懸垂下降。ザックを背負ったまま、なんなく通過。
そこから、0.5m~1.5mくらいの細幅の急なナメ滝が続く。
両足チムニーや全身チムニーをいろいろ工夫し抜ける。こういうのはとても好き。
フリークライミングでは味わえない登り。
F8、ヤカンの滝。
Uが、記録通り左岸のカンテ状をリード。
S字渓は終了。この時12時を過ぎ。地図ではたった3cmの距離を3時間かかった。
情報がなかったらもっとかかっていたでしょう。先人は偉大です。
その後も、高巻きしたり懸垂したりして通過。
びびったのは570m二股を越えたところにあるハングの滝。
滝の両岸は当然登れません。だってハングだもん。
右岸の少し手前にガレガレ水流があって奥は垂壁。垂壁までの間を滝の方にトラバースする。
ここは怖い。薄草つるつる急斜面をトラバースするのだから、怖いに決まっている。
「ここからトラバースか?」と思った地点に、残置のスリング発見。
Uは果敢にもザックを背負ったままロープを出してトラバース。
黒光りするヌメヌメ小スタンスに足を置き、2~5mおきにある直径1㎝の潅木でランニングを取りながら進む。
足滑ったら大変。長いトラバースを終えて何とか滝の上に出た。
短い懸垂をして沢へ戻る。
760mくらいの場所にC2設置。
大滝を越える時間はないということで、またもや無理やり切り開きテン場。
夕食は、沢の定番マーボシリーズ。
ビールは、1人1本ずつ。
この日は疲れて早々に寝てしまう。
なぜか夜は、熱帯夜。
長文読了ありがとうございます。
あと1回で終わります。