なちゅらる Hi !

かっぱの心をうるおす、山・川・岩・海などの小さな自然。主に北海道の話。

ヤブが濃くても滑る雪ならそれでよし

2025-01-13 | 雪の山
数年前までは、シーズンに2回くらいは登っていた春香山。
登山口付近で新幹線延伸工事が行われているので、車が停められない。
だから、2021年の年末を最後に行っていなかった。
しかし近年のヤブ山探索と、昨年気付いた「裏から」作戦を考慮すると、別のアプローチがあるのではないかと、ぼんやり考えていた。
完全に裏となると、だらだら尾根や林道を長く歩かなければならない。
それはつまらないので、ほったらかしにしておいたが、かなり前にオーンズスキー場から、「ひよどり越え」と呼ばれた急斜面を登って春香山北斜面から登ったことを思い出した。
これは、90年代初頭に発行された山スキールート図集にも掲載されている。
由緒正しいルートに違いない。
でも、このルートもだらだら尾根が長く、ヤブが多い。
それに下山がスキー場なのは、あまり好みではない。
せっかくだから新ルート開拓と行こうと思い、和宇尻山に直接上がる尾根を登ってみることにする。

札幌近くの林道の終点にはたいてい何らかの施設がある。
オーンズの横の道を詰めたところにも乗馬クラブのような施設があった。
寸詰まりが施設だと車が停められない。
しょうがないので、少し手前の邪魔にならなさそうなところに車を停める。
まっすぐ登ると施設を横切ることになりそうなので、銀嶺沢川を横に見ながら、ヤブの中をトラバース気味に上がっていく。

当然のようにヤブが多い。
でもまあ、ラッセルも薄いし、天気もよいので気分はよい。
ヤブと倒木積雪を避けるのに少々手間取りながら急斜面をほぼまっすぐ登る。
細尾根に出ると、少しヤブが楽になった。

521mの三角点ピークは、両サイドを行き来しながら林道が入っていた。
おかげで、521mには登らずにすみ、しばしヤブから解放された。
その道は、地図にある点線道に合流していた。
そこからまたひどいヤブになったが、最初だけで、後は普通のヤブだった。
そもそも和宇尻山自体がただのヤブ山だ。
丸いヤブ山は、ピークだけ開けていることが多いが、ここはピークも開けない。春香山すら見えない。
でも、まあ天気も良いし、とりあえず一つ目的を達成したので喜ぶ。
和宇尻山は、多分2回目。
大昔、今はなき銀嶺荘に泊まった時に、当時の管理人の竹本さんが案内してくれた。よい小屋と朴訥とした素敵な管理人さんであった。

春香山と和宇尻山の間は、トレースがあった。
そのトレースをたどっていたスノーシューの2人組とスライドする。
挨拶を交わし、しばし行くと眺めが開けてくる。
高い山っぽい開けた斜面を登るとピーク台地に出た。
春香山ピーク。
ピンク看板は健在だ。
普段はたいして人に会うことを望んでいないが、休日の春香山ピークで人に会わないのは寂しい。
新幹線工事の影響で、地元に愛される素朴な山が荒廃していく感がある。

東斜面を滑る。
今日のように気温が高い晴れの日でも、ここの雪はとても滑りやすい。

和宇尻山に登り返し、ほぼトレースをたどって下った。
ひどかったヤブの部分は、尾根の側面の急斜面を滑ってかわした。
広めの尾根は全体に結構滑りやすかった。(多分大方の人は賛同しないと思うが…。)
林道部分は緩い傾斜があり、今日の雪なら止まらず通過できた。
最後の急な尾根は、ヤブを避けるために沢型に突っ込んだ。
時々、倒木積雪にぎりぎりまで気付かず難儀したが、割と普通にターンしながら滑り降りることができた。
ほぼノンストップ。
登りは4時間近くかかったが、下りは1時間かからず下山できた。

なぜか、とても疲れた。
少ないながらも一人でラッセルしたことと、濃いめのヤブのせいか、
はたまた歳のせいか…、
でも、好天無風の中、静寂の森で過ごすのは幸せなことだと思った。

静寂の森でクマゲラに導かれて…

2025-01-02 | 雪の山
豊羽元山近辺の森は、なぜか静寂感が高く感じる。
山鳥峰へ向けて歩き出してすぐに、目の前にクマゲラが現れた。
20mも離れていない。
気付いていないようだから、そーっと近づくが気付かれた。
この距離で見ると、飛び立つときの大きさがでかい。
すぐにまた気に止まり、こちらの様子をうかがっている。
それを数回繰り返すと山鳥峰のピークに到着。
山鳥とはクマゲラのことか!

このまま、南岳を目指す。
ラッセルは深いが4日前の富士形山よりはずっと軽い。
神様のような木々に見守られながら歩を進める。
この稜線上からは、定山渓天狗岳が真横から見られる。
同行UはⅢ峰、かっぱはⅡ峰が未踏。

少し進むと、今度は白井岳が姿を現わす。
ヒクタ峰からの稜線が分かる。
白井も静かで好きだが、スタートがスキー場になるのが少々煩わしい。
ヒクタ経由で行けば、完全な静寂を味わえるかと夢想する。

2度目の南岳ピーク。
前は沢から登ってきた。
まだ1000mに届かないが、今シーズン最高峰。

天気がよいので、まったりする。
ちょうどいい感じの間隔の木を見付ければ、いい感じに張りやすい。
中はカップ麺のカウンターバー。
とても暖かい。

ラッセルの深さが予想されたので、もともとピストンの予定。
戻りながら、ちょっとした楽しみを見つけては滑る。
雪が深いので、無理矢理ターンをして楽しむ。
下山直前でもちょっといい斜面があり、ふわふわの滑りを楽しんだ。
こういう稜線歩きを含むルートは、ステップソールならではだ。
ウロウロ板はいいですよ。




行き帰りの運転の方が怖い日がシーズンに数回あるものだ

2024-12-29 | 雪の山
28日の冬型天気図から、徐々に緩むと思われた29日。
新十津川辺りは、増毛山塊が西風を防いでくれると期待して、先週に引き続き吉野地区に向かう。
途中の道は、増毛山塊が防いでくれない。
時折前が見えなくなる天気の中、ところどころまだ除雪が入っていない道をゆっくり車を走らせる。
ねらいは富士形山637m。

吉野地区に着くと、青空が感じられた。
徳富岳の雄姿がぼんやり浮かぶ。
期待を込めて出発する。

ラッセルが深い。
そして重い。
進むにつれて積雪が増えるし、樹林に入るとギャップを越える苦労もつきまとう。
天気も結局曇りに積雪。
風がないだけありがたい。
時折続く針葉樹林帯は、雪が積もりにくいので少し楽ができる。
稜線に上がるが、思ったよりヤブ尾根だ。
先週に比べると雪が安定しているが、やはりまだ少ないのか…。

ピーク直前は、開けることが多い。
富士形山Peak。
噂では展望があるらしいが、曇り。
雪が止んだだけありがたい、と話していると、また降ってきた。

ピークから滑る。
雪が重深で、まっすぐしか滑らない。
右の沢型を滑る喜びが頭をよぎるが、まだごそっとはがれそうな感じなので止めておく。

普段なら、シューっと行けそうな斜面が次々現れる。
でも、漕いでいるか、歩くように滑るかのどちらか。
少し浅ければ、素敵なクリーミーパウダーなのだが…。

何度か小沢を渡って、林道のちょうどいい場所に出る。
登りのトレースがある少し上だ。
だからすぐに登りトレースに乗る。
まったく滑らない傾斜が多い。
ウロコ板だからよいが、手強いラッセル後の林道歩きは疲れる。

しんしんと静かに積もりゆく雪の中、たんたんと歩く。
疲労が心地よい。

帰りの運転も怖かった…。

ヤブ山万歳!

2024-12-22 | 雪の山
「冬のヤブ山の魅力は何ですか?」
と聞かれたら、
①アイディア次第でどこでも行ける。
②ヤブのおかげで変化が多くあきない。
③未知の世界をウロウロしている感覚。
の3つを挙げる。
そして、③のウロウロ感覚を助けるツールが、ウロウロ太板(ステップソールスキー)だ。
まだ、シーズン序盤戦。
ほどよい疲労感を求めて、鷲峻山(しすん山)と小鷲峻山をつないだ。


出だしは林道。

思ったより天気がよくて喜ぶ。
細い灌木帯を抜けると、針葉樹林帯。
この尾根はさほど歩きにくくない。
co280に上がると、先に小鷲峻山を目指す。
奥のボワンと丸いのが小鷲峻山だ。
Peakが右にあるので、途中から沢型に入り登る。
なんてことない387mのPeak。
少し下りを楽しみ、コルまで戻る。

次は、鷲峻山だ。
ヤブ山の細尾根は厄介なことが多い。
ここも例にもれず多少厄介。
滑る気にはならない。
方角上、Peak台地の東の肩に乗った。
ここからが、今回一番の厄介な細尾根だった。
ヤブヤブ細尾根からPeakに迫ったので、は期待できないかと思ったその時、
展望が広がった。
徳富岳の荒々しい山容の後ろに、南暑寒の白い山なみが続く。
そして、Peakは広々している。
残念ながら暑寒方向は少し下りないと雑木ですっきりしないが、
それ以外の展望はよい。
奥は神威やピンネシリ。

登ってきたヤブヤブ細尾根方向の展望も悪くない。
広いPeakと眺めに満足はするものの、来た尾根を下るのは嫌だった。
そこで、沢型をまっすぐ下ることにする。
もう少し楽しめるかと思ったが、雪が地形を隠しきれてなく今ひとつ。

尾根に乗って少し下ると、作業道らしき地形に出た。
これに乗って行ってもなんとかなるんじゃない、とか、
どうせなら、車のところに出たいよね、
などと、浮かれて下っていくと、
厄介な地形にはばまれた。
3度、面倒な徒渉をこなし、無理矢理下る。
ウロウロ板のなせる技ではあるが、最後はシールをつけないとうまく対処できない徒渉を強いられた。
やはり、急がば回れ、である。

シーズン2回目ながら、6時間越えの行動。
おかげでだいぶ体が慣れてきた。

シーズン開始は空知の山へ

2024-12-15 | 雪の山
札幌近郊のヤブ山で始まることが多い。
だが、今年は空知の雪が多いようだ。
足ならしにちょうどよさそうな山を探すと、御料山621mに目が行った。
雪の相棒Uに連絡し、上砂川へ向かう。

30年前に泊まったことがあるパンケの湯は健在。
そのすぐ前の、運行をやめて久しい上砂川国際スキー場跡から出発。
一歩踏みしめると、半年振りと思えない雪と板の感覚に感動する。
今年の雪なしシーズンはちっとも歩いていない。
岩場の歩きだけだったつけで、すぐに息があがる。

まだ雪が定着しきっていない。
だから、時々ストックがズサっとはまる。
それもまた楽しい。

リフト下り場跡を過ぎるとヤブが濃いが、そもそもヤブ山うろうろスキーヤーなので、なんてことはない。
2時間ほどでPeak。
上に小さな看板がありますね。

Peak直下はゲレンデ跡ではないが、それなりに開けている。
このまま沢型にはまっていこうかとも思った。
が、沢に埋まっていない場所があると困る。
避けるために急斜面トラバースなんてことになると、雪が全てはがれてしまう。
まだ、冒険はいいよね、ということで、おとなしく来た道を戻る。

リフト下り場跡の脇に「サミットロッジ」なる小屋がある。
扉は開いていて、中に入れた。
ありがたく休憩と昼食に使わせていただく。

この後は、ゲレンデ跡地。
こんなヤブはなんともないさ~。
雪は軽くよく走る。
定着していないから、地形がはっきり感じられ、むしろ板が浮いて楽しい。
幸せに滑り降りて、そのまま「パンケの湯」。

載せるほどではないが、一応記録として地図。
吹雪いてもなんとか行けると思ったが、山中は平和な天気だった。

さて、珍しく山後談。
岩見沢で30年前の山の仲間がカフェをやっている。
その名も「キビタキヒュッテ」
趣のある外観と、かっぱには縁遠いオシャレ感の内装。
マスターK氏が、3年かけてこさえたという内装に感動しつつ、
うまいコーヒーとしっとりプリンに舌鼓。
ゴジュウカラが餌をついばむ姿を眺めながら、昔話や近況話に花が咲いた。

ところで、「ヒュッテ」と「ロッジ」って、言語が違うだけ…?