浜婦美で一夜。
21時過ぎに寝ただろうか。
夜中に雨音と波音。
目覚めるほどではないが、ぼんやり聞こえる。
起きてみると、周囲はぐっしょり。
ザーザー降りというほどではないが、雨具は欲しい降り方だ。
「タープ張っておいてよかったね。」とのん気な会話。
「波高いなあ。」というのも、のん気な会話。
なぜなら回復傾向だとまだ信じているから…。
2人ともそこそこじじいなので、4時には起きていた。
コーヒーを飲んで、朝飯をゆっくり食べた。
流木集め以外は、ほぼタープの下で過ごす。
6時を過ぎても、7時を過ぎても雨は止まない。
波の高さは変わらない。
岸近くは白波を立てている。
「廃屋の探検でもするか…。」と動き出す。
近くで見ると、ほんとに迫力がある。
中はボロボロだったが、茶箪笥にコップや皿、お銚子などが並んでいて、飲み交わす漁師の声が聞こえるようだった。
8時を過ぎると雨は前日と同じ霧雨になった。
そして、海の奥に明るい場所が見える。
波は変わらないが、待つのも飽きたので「岸近くの波を抜けられれば大丈夫。」と判断し、9時前から出発準備。
9時半に出発。ゴールの茶津に向かう。
白波地帯を抜け出すと、波というよりうねりが高い。
岸近くからは、ザッパーンという分かりやすい波の音が聞こえ、白い飛沫が見える。
しかし、沖の波は、うねりなので白波は立たない。
これぐらいなら、よほど油断しなければ、カヤックは大きくゆ~らゆ~らと揺られるだけ。
ちなみに風はほぼ無風です。
迫力のある眺めを遠目で見ながら進む。
白波が激しいので、岸に寄る気にならない。
海蝕洞窟がたくさん見える。
のぞきたい気持ちを抑えて、地図に記録を残す。
岸に寄らないから、おやつも船の上。
パクパク食べて横を見ると、波間で時々Uが見えなくなる。
大きなうねりは、ゆったりと来る。
沖でのどんな状態が波を産んでいるのだろう?
宝島が見えてきた。
向かいは、ピヤノ岬。
ピヤノ岬周辺ものぞきたいところがたくさんあるが、次の晴天の機会を願おう。
休まず浮かび、波もどちらかというと進む方に味方したので、のんびり船でも
3時間かからず、茶津に到着。
車を回収するのに入舸に戻ると、入舸の海は凪。
普段のイメージと逆だ。
前日のことを考えると、マッカ岬辺りに波の変わり目があるのだろう。
帰宅後天気図を確認。
出発前は北向きに進むと思っていた日本海の熱低が南西に進んでいる。
周辺の低気圧も高気圧もそんなに強さが変わらないから、結果、ほぼ無風で、低く雲がたまる場所ができ、山や谷の地形に合わせて雨が降るのはわかる。
だけど、波は難しい。
それから、29年物の船。
さすがに安心して漕ぐのは、もう限界かな…。