なちゅらる Hi !

かっぱの心をうるおす、山・川・岩・海などの小さな自然。主に北海道の話。

セバチバナの使い方

2024-09-01 | 
今夏は、日本語と英語が標準語と化したセバチバナ。

国際的なばかりではなく、クライミング素養を高めるのに重要な要素を多々含んでいることが明らかになりつつある。
その秘密を、隠された名ルートとともに紹介していく。

「ビックママ」11b。
ガバをつなぎカンテ沿いを右上していく好ルート。
傾斜の強いガバ地帯で、パワーを出し尽くさないための小さなムーブの工夫を試される。
攻略のカギは持久力向上なのか、ガバの捉え方なのか、足運びなのか…。
きっと、あなたの課題を明らかにしてくれるはず!

「トビー」11c。
この岩場では11cにしないと辻褄が合わないので、敢えてきっぱり。
「ビックママ」とスタートを共通にするものの、まったく違うムーブセンスと力の保持を試される一品。
自力でムーブを解決できるあなたには、ムーブセンスとランナウト耐久力が、既に次のステップに進んでいる、という自信を与えてくれるはず!

閑話休題。
夏に快適なこの場所は、好事家クライマーと西洋の大らかさに包まれて、フリーな雰囲気を醸している。
誰も聞いていないセッションを楽しみ、(誰も聞いていないので、だれもうるさいとは言わない…)
飯を炊いて、眺めのよいランチを楽しむことが可能だ。

話をルートに戻そう。
見栄えがいいラインと言えば、このルート。
「Knockin' on heaven's door」12a。
眺めもホールドも素直で気持ちがいい痛快ライン。
ランナウトを感じる垂壁を効きのいいカチでこなし、ハング帯で明確な核心をダイナミックに処理して越えるこのラインは、見る者を惹きつける。


最後は、「陽水3部作」から「ありがとう」12a。
第一部は、傾斜はあるが、ダイナミックにはなかなか処理しにくいパート。
第二部は、垂壁をランナウトに耐えつつ「次のカチは止まるはず。」と信じて越えるパート。
第三部は、「陽水3部作」共通の最終核心。
深いハングからガバを強気で攻め、上部に乗り込んでから恐る恐る最終クリップホールドへ進んでいく玄人向けのパート。
多彩な内容はチャレンジャーの力を確実に高めるはず!

どれもこれも楽にこなすためには、巧みな足さばきが要求される。
加えてセバチ特有のぬめり、じゃりじゃり、すなすな、ボロボロなどの要素が、自然のスポーツであることを再認識させてくれる。

持久力や足さばき、そしてハートを鍛えるため、夏の暑さを少しでも逃れるため、英語やスペイン語を使ってみたい…などなど、多様な使い方が考えられるセバチバナ。

夏はセバチが待っています!

今夏はセバチに通いすぎ…⁉

2024-08-25 | 
暑さが納まらないとセバチ以外の岩場に行く気にならない。
そもそも沢に登っているはずの時期なのに、沢に行けていない。
ちょうどセバチのルートに懸ける方や、初めてのセバチ体験の方などが続き、みな気持ちよくRPを重ねていくため、こちらまで楽しくなってしまう。
というわけで、またセバチ。
本日のリビングですが、赤丸は忘れ物です。
小さい方はヌンチャクで既に3週間経過。
どなたか持ち主を知っていれば知らせてあげてください。

人が増える前に土木作業。

「ビックママ」や「トビー」をビレイしていると、クライマーが上の方でフォールした時、前に滑りそうになる。だから平ら面を整備。

1段階めの整備が大体終わる頃、人が増えてきた。
自然とクライマーが織りなす、暑さを忘れる素晴らしい眺め。

セバチで焼き鳥「かっぱ亭」を開店。
試験営業のため、御代はいただいておりません。

とうきびを焼いていると、それをバネに「トビー」トライをするKG氏。
このトライで見事、RP。

J長さんも、2便目で「トビー」をRP。
焼き鳥ととうきびの即効性が証明されたか…。

かっぱは、先週から「ありがとう」という普段誰もやらないルートをやっていた。

強めの傾斜の中、珍しい形のホールドの使い方を考えてムーブをつくるパートから、垂壁を微妙なホールドでバランシーに立ち込むパート、最後はダイナミックにガバを使ってかぶりを越えて垂壁に立ち、どれを選んでもあまり変わらない縦及び水平カチで終える、味わい深いライン。

後から来たカノマーも整備がてらにトライしてくれたので、話ができた。
ほー、最初の核心はやはりそのムーブね。
でもその前がきついんだよねえ…、とか話していると、同じく後から来たFくんもやってくれた。
赤いロープがきれいにラインを示す1枚。
下りてきた後、ホールド形状やその苦しさが話せるのはとても楽しい。
そんな幸せに浸りながら、周囲の方々のトライを応援する。
青空の下、ぶら下がるのも風が当たって気持ちいいものです。

海岸は爽やか

2024-08-24 | 
先日の積丹ツアーで、小樽の海岸が恋しくなった。

オタモイ方面を背にしながら、ガレ横エリアに向かう。
2016年頃ウロウロし始めた、赤岩海岸と山中海岸の中間地点にある場所だ。

山中海岸を進むと、チャラセナイの滝がある。
ここはいつも水量が多い。
小樽の海岸伝いは水が枯れない。
積丹と違い山の深さを物語る。

ガレ横エリア。

左がイクパスイ岩、中央が石斧岩、右が腰掛岩。
左の岩に「イクパスイ」という結構満足しているラインを引いた。

石斧岩と腰掛岩のハングが深くなっていた。

しかも、右の腰掛岩を覗き込むと、なんと下が向こうまで抜けていた。
ハングに取り付いていたら、こっちに倒れてくるんじゃないかと心配になり、1周してみた。
まあ、人間一人くらいの体重では倒れませんよね。
どちらの岩もガバガバなのでたいしたラインは引けません。でも、ハングが深くなっているので、アップ的に遊びにはいいですよ。

魚を釣って焼いて食おうかと思ったが、釣れなかった。
適当な釣りだから仕方ない。
つまらないから泳いだ。
キラキラした小魚がたくさんいた。
水中カメラを持って行かなかったのでお見せできないが、とてもきれいだった。

イクパスイからの巨岩地帯を抜けて赤岩を遠望しに行く。
右が赤黄のガレで、左上が西壁・西奥だ。
きっと知人が登っている。

このそばに冷泉が沸いている。
何もないところから水がこんこんと湧いている。
気にしなければ真水かと思うが、なめると温泉味。
湯の華っぽい部分もある。
流木はあるので、ドラム缶が落ちていれば温泉ができる。

赤岩側を遠望。

青い岩塔までは近い。
窓岩も確認できる。

祝津から塩谷くらいまで漕いでみたい気持ちが強くなった。
赤岩周辺は岩も海も素晴らしい。

輝く海 そして近づく秋

2024-08-18 | 
朝、コオロギの鳴き声が聞こえてくる季節になった。
ふと見ると、アカネトンボも見える。
それでもまだ夏のセバチ期間が続く。

今日のセバチは最高の天気。
新緑の季節以来の澄んだブルーに輝く海。
6月と違うのはセミの声。

Eさん、KGさん、ママさんと集う。
3人はトビーをやっている。
先日やって、おもしろさを再実感したので、マスター便で1本。



三者三様の登りがおもしろい。

函館勢もやってきた。
今年の函館勢はセバチ当たりがよい。
前回もほどよい岩の状態で、今回は最高級のセバチを味わっている。
そう、今日のセバチは天気だけでなく、岩もとてもよい状態。

家を出る時はあまりやる気がなかったので、楽しみ方をいろいろ考えた。
その一つがカレーライス作り。

米から炊いて、蒸らし時間でレトルトを温める。
予想通りにできて大満足。
メスティン、アルスト炊きの研究を終えた。

ご飯の前後で、手を付けていなかった「ありがとう」を始める。
「海へ来なさい」同様、傾斜部分で持久的に耐えた後にスラブ面が出てくる。
6ピン目、5ピンから遠くて何度も直上に躊躇するが、2便目は決死の覚悟で突っ込んだ。
割といい2㎝程のマッチから、遠くの1㎝幅縦ホールドを取りに行くムーブには痺れた。何とかトップアウト。
これからゆっくり楽しもう。

国際色豊かなこの岩場。
きょうも西欧系のみなさんもたくさん来ていた。

海とカレーで大満足の1日。
帰宅時の月が美しいこと…。

開拓のお手伝い

2024-08-17 | 
岩場に新しいラインを拓くことを「開拓」と表現する。
Dzさんが午後から人を探しているようだったので立候補。
赤岩祝津寄りの岩で、試登とボルト打ちビレイ。
お昼を小樽の眺めのよいところで食べようかと思い、早めに出発。
すると、今日も天気を深く考える現象に出会った。
札幌から出発し、銭函を越えると雨。
張碓~小樽築港間は土砂降りと言っても過言ではなかった。
ところが、小樽の街に入ると、ほぼ降雨なし。
祝津なんて完全に乾いていて降った形跡すらない。
赤岩峠の方は降ったらしいから、興味深い。

さて、午後1時に合流。
藪を分け入り、50m弱の懸垂で取り付きへ。

懸垂中の眺め。

下の浜、いいとこですね。

取り付きは、落ち着かない感じなので、落ち着く場所にしたい気持ちが働く。

ここにDzさんが3本のラインを引こうとしている。
1本は完成していて「シサム」というとのこと。

赤いラインがそうで、登らせてもらった。

左隣に2本のラインができつつある。

ラインの完成度を上げるための活動を手伝い、TRで試登させてもらった。
ムーブを固めていく過程は楽しいに違いない。

試登中だから、いろんなものが落ちてくる。
自分が登っている時も、欠けたり取れたりした。
「そうだよなあ。開拓ってそういうことだよなあ。」と思う。
赤岩全体が開かれていく時代、どれだけ落石が起きたり起こしたりしたのだろう。
つまり、先人の偉大さと時代の大らかさを改めて深く感じ入った、ということ。
中身の濃い半日。