元・副会長のCinema Days

映画の感想文を中心に、好き勝手なことを語っていきます。

スピーカーケーブルを交換したが・・・・。

2006-11-05 08:14:51 | プア・オーディオへの招待
 とうとうスピーカーケーブルを交換してしまった。このスピーカーケーブルってやつは、数あるオーディオアクセサリーの中で一番音色を左右するくせに、たいていの場合試聴が出来ない点で、選択が実にやっかいなシロモノである。しかも、各ユーザーの環境によって長さがまちまちだから、気に入らなかったといって他人に簡単に譲れない。まさに買うときは一種のバクチみたいなものだ。

 どうせバクチを打つのならと、店頭で扱われておらずインプレ記事も少ない“未知の商品”をネット通販であえて入手することにした。ただし失敗してもダメージが少なくて済むように安価なものにターゲットを絞った(どうせサブ・システムだし ^^;)。検討の結果、今回導入したのは、英国Chord社CARNIVAL Classicという製品だ。



 Chord(同名のアンプ製造メーカーがあるが、それとは別物である)は、多くのヨーロッパのオーディオメーカーが製造拠点を中国など海外に移しているのに対し、設計から製造までイギリス国内でこなしている数少ない会社である。使っているスピーカーが同じく英国ブランドなので相性が良いのではないかと勝手に判断した次第だ。

 さっそく繋げて音を出してみたら・・・・思わず“ウーム”と唸ってしまった。今まで聴いたことのない傾向のサウンドである。こういうのを“美音系”と呼ぶのだろうか。よく聴けば情報量は水準以上でレンジも狭くないのだが、こちらにグッと迫ってくるようなところがなく、高音の抜けもほとんど感じられない。ただ、非常にまろやかだ。いくら聴いても全然疲れない。特に室内楽や女性ヴォーカルなどに真価を発揮。聴かせどころをマイルドにまとめてくる。

 そして特筆すべきは、音に品があること。ただ大人しいだけのケーブルは他にもあるが、ノーブルな雰囲気を漂わせているあたりは独自の個性である。言い忘れたが、価格は1メートル当たり735円である。本国での店頭プライスは600円強なので、相場としては妥当な金額だが、この低価格で“品格”まで感じさせる音造りは要注目である。たぶん同ブランドの上級機種はさらに芳醇な、匂い立つようなサウンドを出してくるのだろう。

 しかし、音のキレや解像度をメインにした方向ではないから、不満を抱くオーディオファンも少なくないはず。かく言う私も、あまりのリラックス路線に物足りなさを感じる。もっとスカッとした展開が欲しいところだ。それに情報量が増えたわりには音場の見通しは良くない。もちろん粗悪なケーブルを使ったときのような“埃がたちこめる音場”ではないが、たとえて言えば“おしろいの粉が浮遊する音場”である(当然、その白粉は欧州製 ^^;)。

 結論付ければ、この“バクチ”には勝ったとは言えない。実を言えば試したいスピーカーケーブルがあと2,3機種あり、順次トライしていく予定だ。ただしこのChordのケーブルも決して悪い音ではないのでとりあえず数週間は使う予定。ひょっとしたらエージングで別の面も見せてくれるかもしれないし、新しいケーブルを買っても“予備機”として手元に置くつもりである。



 なお、今回初めてバイワイヤリング接続を試みた。バイワイヤリングとは、低音部と高音部のターミナルを別個にして、ケーブルをそれぞれに繋げる方法で、音を濁らせる逆起電力を駆逐する効果があるらしい。使用しているアンプはスピーカー端子が一系統しかなく、ひとつの端子に芯線を2本ねじ込まないといけないわけだが、これがそのままでは入らない。仕方なくYラグフルテック製)を利用して繋げた。このバイワイヤリングというやつは、誰が考えたか知らないが、あまりスマートな規格ではない。各ユニットの干渉がどうのこうのと言うなら、バイアンプ及びユニットごとのマルチ駆動まで持って行かないと意味がないと思われる。バイワイヤリングみたいな中途半端な方法を広範囲な価格帯のスピーカーに採用するのは、ユーザーに倍の長さのスピーカーケーブルを買わせようという業界の陰謀ではないかと勘ぐってしまった(爆)。
コメント (2)
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