相手の顔を見ただけで本名を知ることが出来る“第二のキラ”の攻撃から身を守るため、甘党の名探偵L(松山ケンイチ)がひょっとこのお面をかぶって大学のキャンパスを歩くシーンで吹き出してしてしまった。同時に“これはお笑い映画なのだ”と合点した。
テンポが良く飽きさせないドラマ運びは前回と一緒だが、気になった御都合主義の展開と突っ込みどころ満載のプロットの積み重ねは、今回“おちゃらけだっ!”と割り切ることによって随分と気にならなくなった。作者のこの方向修正は成功だ(爆)。
それに加え、金子修介監督の趣味が前面に押し出されている点も嬉しい。その“趣味”とは言うまでもなく、彼がデビュー当時から得意にしていた“女の子を可愛く撮ること”である。ヒロイン役の戸田恵梨香にミニスカートをはかせて、なめるようなショットで迫るのをはじめ、ニュースキャスター役の片瀬那奈のスラリとした足を(ちなみに、ここは意味なく下着姿 ^^;)しつこいカメラワークで捉えているあたりを見ると“おー、やっとるわい”とニヤリとしてしまった。しかも、こういう“萌え萌えシーン”を多数挿入することにより、青少年層の鑑賞満足度(笑)を高め、観客動員に一役買おうとしているあたりも天晴れだ。
キャスト陣では藤原竜也の悪役ぶりが楽しく、当面はこの路線を突き詰めて欲しい。新たな死神の声を担当する池畑慎之介も中性的で、以前からの中村獅童と好対照だ。
それにしても、本作に社会的な素材があるとすれば、それは悪人を片っ端から始末してゆくキラに対する、一般市民の無節操な賛同であろう。この“駆逐される良識派と、のさばる愚民”という構図は、現在我々が直面する問題を端的にあらわしているモチーフだが、そういうネタがこの作品のような“若者向けのお手軽映画”でしか出せないというあたりが、最近の日本映画の物足りなさを如実に示している。