74年東映作品。同年1月に公開されたパート4の前作「頂上作戦」で、本来このシリーズは終わるはずだった。事実「頂上作戦」のラストは幕切れに相応しい処理だし、それまで脚本を担当していた笠原和夫もこれで打ち止めにする予定だったという。しかし一度掴んだドル箱シリーズを映画会社が容易に手放すはずもなく、この第五作の製作に至った。ただし笠原は降板し、代わりに高田宏治がシナリオを執筆している。
前作で描かれた県警の“頂上作戦”によって幹部は軒並み逮捕され、広島ヤクザ抗争は沈静化したかに見えたが、服役していた組長たちが出所する時期を迎えて事態は緊迫化する。そのため複数の組が大同団結して政治結社“天政会”を発足させ、警察の目を欺こうとしていた。しかし昭和41年に呉の市岡組が天政会幹部に反旗を翻し、会の参与を謀殺したのを切っ掛けに、内紛が勃発する。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0a/f7/6ca1b197c267c0e4dcca362b47a926de.jpg)
天政会の二代目会長の武田明は腹心の若頭である松村保を三代目候補に推薦して事を収めようとするが、この処遇を快く思わない勢力は激しく反発。そんな中、網走刑務所に服役していた広能昌三に、市岡組の組長は天政会の現状を伝えると共に広島の覇権奪取を持ち掛ける。
実質的には前回で幕を下ろす話だっただけに、本作には蛇足感が拭い切れない。果てしない内ゲバの連鎖も、今までの繰り返しだ。新味といえば天政会の存在だろうが、登場人物たちが政治結社という表看板を掲げればどうして当局側の目をごまかせると思ったのか、そこがハッキリしない。これではイケナイと思ったのか、後半には広能を表舞台に復帰させようという作戦に出るが、何を今さらという感じだ。彼と松村との関係性もしっくりこないし、若い世代の台頭に広能たちが“引き際”を意識するようになるのも型通りである。
だが、濃い面構えがスクリーン狭しと並び、それぞれが狼藉をはたらく様子はやっぱり見応えがあるのだ。深作欣二の演出は相変わらずパワフルで、求心力には欠ける話を無理矢理最後まで引っ張ってゆく。菅原文太をはじめ伊吹吾郎、松方弘樹、小林旭、北大路欣也、山城新伍、田中邦衛、川谷拓三、八名信夫といった御歴々は余裕の仕事ぶりだし、桜木健一の起用は意外性があり、大友組の組長に扮する宍戸錠は第二作での千葉真一よりも俗っぽさが出ていて捨てがたい。
なお、この映画は東映の目論見通り客の入りは良好で、シリーズ最大のヒットを記録している。本当の意味での実録物は文字通りこれで“完結”したはずだが、このあと直ちに純然たるフィクションによる「新仁義なき戦い」シリーズがスタートしたのだから恐れ入る。この頃の邦画界は野性味に満ちていたようだ。
前作で描かれた県警の“頂上作戦”によって幹部は軒並み逮捕され、広島ヤクザ抗争は沈静化したかに見えたが、服役していた組長たちが出所する時期を迎えて事態は緊迫化する。そのため複数の組が大同団結して政治結社“天政会”を発足させ、警察の目を欺こうとしていた。しかし昭和41年に呉の市岡組が天政会幹部に反旗を翻し、会の参与を謀殺したのを切っ掛けに、内紛が勃発する。
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天政会の二代目会長の武田明は腹心の若頭である松村保を三代目候補に推薦して事を収めようとするが、この処遇を快く思わない勢力は激しく反発。そんな中、網走刑務所に服役していた広能昌三に、市岡組の組長は天政会の現状を伝えると共に広島の覇権奪取を持ち掛ける。
実質的には前回で幕を下ろす話だっただけに、本作には蛇足感が拭い切れない。果てしない内ゲバの連鎖も、今までの繰り返しだ。新味といえば天政会の存在だろうが、登場人物たちが政治結社という表看板を掲げればどうして当局側の目をごまかせると思ったのか、そこがハッキリしない。これではイケナイと思ったのか、後半には広能を表舞台に復帰させようという作戦に出るが、何を今さらという感じだ。彼と松村との関係性もしっくりこないし、若い世代の台頭に広能たちが“引き際”を意識するようになるのも型通りである。
だが、濃い面構えがスクリーン狭しと並び、それぞれが狼藉をはたらく様子はやっぱり見応えがあるのだ。深作欣二の演出は相変わらずパワフルで、求心力には欠ける話を無理矢理最後まで引っ張ってゆく。菅原文太をはじめ伊吹吾郎、松方弘樹、小林旭、北大路欣也、山城新伍、田中邦衛、川谷拓三、八名信夫といった御歴々は余裕の仕事ぶりだし、桜木健一の起用は意外性があり、大友組の組長に扮する宍戸錠は第二作での千葉真一よりも俗っぽさが出ていて捨てがたい。
なお、この映画は東映の目論見通り客の入りは良好で、シリーズ最大のヒットを記録している。本当の意味での実録物は文字通りこれで“完結”したはずだが、このあと直ちに純然たるフィクションによる「新仁義なき戦い」シリーズがスタートしたのだから恐れ入る。この頃の邦画界は野性味に満ちていたようだ。