(原題:AD VITAM)2025年1月よりNetflixから配信されたフランス製のアクションスリラー。かなり楽しめた。前半こそ冗長な展開は目立つが、中盤以降は怒濤の盛り上がりを見せ、クライマックスでは驚くべきシーンの釣瓶打ち。映像面でも見るべきものが多く、鑑賞後の満足度は決して低くはない。
パリの下町に住むフランク・ラザレフは、ビル壁面清掃の高所作業を担当する中年男。妻のレオは出産を控えている。ある日、覆面をした一団がフランクの家に押し入り、レオを誘拐する。妻を返して欲しければ“ある物”を探して持って来いというのだ。実はこの夫婦は元公安の特殊部隊員で、その“ある物”とはフランクがそのチームから去る切っ掛けになった事件に関係していた。窮地に追いやられたフランクは、元同僚のベンの助力を得て、必死の反撃を試みる。
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映画は冒頭の誘拐劇のあと、10年前の主人公が特殊部隊に加入した頃に時制が移る。そこで彼はレオと知り合うのだが、このあたりのパートは起伏が少なく退屈である。もちろん、特殊部隊の役割について詳説しなければ後半の筋書きが分かりにくくなるのだが、それでも一工夫欲しかった。それから時制は、フランクがトラブルの首謀者とされる事件が起きる1年前に飛ぶ。この一件から短い期間で彼が隊を追われて別の職に就くというのは、ちょっと駆け足過ぎるのではないか。その分、事件の背景についてじっくり言及して欲しかった。
しかしながら、レオが誘拐されてからフランクの猪突猛進的な活躍が始まると、細かいところは気にならなくなってくる。屋根から屋根に飛び移って追っ手を逃れるところから始まり、車やバイクでのチェイス、果てはパラグライダーまで繰り出して派手な立ち回りを演じる。ついにはパリ市内の“世界的な観光名所”の中での大暴れが展開し、まさに息もつかせない。ロドルフ・ローガの演出は、アクションの見せ方に非凡なものを感じさせる。
主演のギョーム・カネは二枚目ではないのだが、味のある好演だ。レオ役のステファニー・カイヤールは見た目も身体のキレも及第点で、ナシム・リエスにジタ・アンロ、アレクシ・マナンティといった脇のキャストも万全だ。また、バンサン・マチアスのカメラによる映像は美しい(特にパリ郊外の丘陵地帯の風景)。なお、題名の“アドヴィタム”とは“人生へ”という意味で、劇中の小道具に関係したフレーズだ。
パリの下町に住むフランク・ラザレフは、ビル壁面清掃の高所作業を担当する中年男。妻のレオは出産を控えている。ある日、覆面をした一団がフランクの家に押し入り、レオを誘拐する。妻を返して欲しければ“ある物”を探して持って来いというのだ。実はこの夫婦は元公安の特殊部隊員で、その“ある物”とはフランクがそのチームから去る切っ掛けになった事件に関係していた。窮地に追いやられたフランクは、元同僚のベンの助力を得て、必死の反撃を試みる。
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映画は冒頭の誘拐劇のあと、10年前の主人公が特殊部隊に加入した頃に時制が移る。そこで彼はレオと知り合うのだが、このあたりのパートは起伏が少なく退屈である。もちろん、特殊部隊の役割について詳説しなければ後半の筋書きが分かりにくくなるのだが、それでも一工夫欲しかった。それから時制は、フランクがトラブルの首謀者とされる事件が起きる1年前に飛ぶ。この一件から短い期間で彼が隊を追われて別の職に就くというのは、ちょっと駆け足過ぎるのではないか。その分、事件の背景についてじっくり言及して欲しかった。
しかしながら、レオが誘拐されてからフランクの猪突猛進的な活躍が始まると、細かいところは気にならなくなってくる。屋根から屋根に飛び移って追っ手を逃れるところから始まり、車やバイクでのチェイス、果てはパラグライダーまで繰り出して派手な立ち回りを演じる。ついにはパリ市内の“世界的な観光名所”の中での大暴れが展開し、まさに息もつかせない。ロドルフ・ローガの演出は、アクションの見せ方に非凡なものを感じさせる。
主演のギョーム・カネは二枚目ではないのだが、味のある好演だ。レオ役のステファニー・カイヤールは見た目も身体のキレも及第点で、ナシム・リエスにジタ・アンロ、アレクシ・マナンティといった脇のキャストも万全だ。また、バンサン・マチアスのカメラによる映像は美しい(特にパリ郊外の丘陵地帯の風景)。なお、題名の“アドヴィタム”とは“人生へ”という意味で、劇中の小道具に関係したフレーズだ。