91年作品。90年代前半は日本映画界が絶不調に陥った時期である。人材がいなかったことに加え、おかしな企画が罷り通るような風潮もあった。本作もその典型・・・・とはいっても純粋な邦画ではなく、外国人監督2人を加えたパリ、東京、ニューヨークを舞台とした3話オムニバスのラブ・ストーリーである。
まず第一話「ライブラリー・ラブ」。監督はアレハンドロ・アグレスティ。舞台はパリで、図書館でいつも一緒になる女に恋をする若い作家の物語だ。よくあるボーイ・ミーツ・ガールものといえるが、この二人はお互い相手を理想のタイプと思い込むことによって自分たちの行き詰まった現状をなんとか打破しようとしているところが、ちょっとひねった部分であろう。しかし、どうにもエキセントリックで偏執的なこの二人の描写は、観る者の感情移入を拒絶する。気取った映像もシラけるばかりで、インテリ監督の自己満足的作品の域を出ない。
第二話「月の人」。監督は「二十世紀少年読本」「ジパング」などの林海象。舞台は東京で、少女と月世界から来た男との出会いを描いている・・・・ようなのだが、これがまたハッキリ言って最低! うわべだけキレイな映像をごたいそうな音楽に乗せて何の考えもなく垂れ流した駄作で、ここには映画的興奮のかけらさえ見つからない。林監督はデビュー作「夢みるように眠りたい」(85年)でその才能に目を見張ったが、その後の仕事を見ると、結局第一作だけの監督だったかという感が強く、この映画で完全にミソをつけたと言ってもいい。
第三話「キープ・イット・ユアセルフ」。監督は「ショコラ」などで知られるフランスの女流クレール・ドニ。舞台はニューヨークで、アメリカに住んでいる恋人に会いに来たフランスの女の子が、ひょんなことから別の素敵な恋を見つけるというストーリー。画質の荒いモノクロの画面、アメリカにやってきた異邦人という主人公の設定、淡々とした展開などはジム・ジャームッシュ監督の「ストレンジャー・ザン・パラダイス」と似た点が多い。しかし、クールでストイックなジャームッシュ作品と違い、この映画はしゃれたラブ・ストーリーとしての楽しさをしっかりと確保しているところが好ましい。エスプリの効いた小粋な佳品といった感じで、3つの作品の中では最も楽しめた。
結局1勝2敗で、このオムバスは不発に終わったようだ。この映画のタイトルの意味が観る前は全然わからなかったが、観終わってやっとわかった。製作に日産自動車が参加しており、これは日産が発売していた小型車「フィガロ」のPR映画なのだ。3つのエピソードすべてにフィガロが出てきたのには笑ってしまった。それにしてもパリやニューヨークを舞台にしているにもかかわらずフィガロはすべて右ハンドルというのが、どうにも不自然。左ハンドル仕様はなかったのだろうか。
まず第一話「ライブラリー・ラブ」。監督はアレハンドロ・アグレスティ。舞台はパリで、図書館でいつも一緒になる女に恋をする若い作家の物語だ。よくあるボーイ・ミーツ・ガールものといえるが、この二人はお互い相手を理想のタイプと思い込むことによって自分たちの行き詰まった現状をなんとか打破しようとしているところが、ちょっとひねった部分であろう。しかし、どうにもエキセントリックで偏執的なこの二人の描写は、観る者の感情移入を拒絶する。気取った映像もシラけるばかりで、インテリ監督の自己満足的作品の域を出ない。
第二話「月の人」。監督は「二十世紀少年読本」「ジパング」などの林海象。舞台は東京で、少女と月世界から来た男との出会いを描いている・・・・ようなのだが、これがまたハッキリ言って最低! うわべだけキレイな映像をごたいそうな音楽に乗せて何の考えもなく垂れ流した駄作で、ここには映画的興奮のかけらさえ見つからない。林監督はデビュー作「夢みるように眠りたい」(85年)でその才能に目を見張ったが、その後の仕事を見ると、結局第一作だけの監督だったかという感が強く、この映画で完全にミソをつけたと言ってもいい。
第三話「キープ・イット・ユアセルフ」。監督は「ショコラ」などで知られるフランスの女流クレール・ドニ。舞台はニューヨークで、アメリカに住んでいる恋人に会いに来たフランスの女の子が、ひょんなことから別の素敵な恋を見つけるというストーリー。画質の荒いモノクロの画面、アメリカにやってきた異邦人という主人公の設定、淡々とした展開などはジム・ジャームッシュ監督の「ストレンジャー・ザン・パラダイス」と似た点が多い。しかし、クールでストイックなジャームッシュ作品と違い、この映画はしゃれたラブ・ストーリーとしての楽しさをしっかりと確保しているところが好ましい。エスプリの効いた小粋な佳品といった感じで、3つの作品の中では最も楽しめた。
結局1勝2敗で、このオムバスは不発に終わったようだ。この映画のタイトルの意味が観る前は全然わからなかったが、観終わってやっとわかった。製作に日産自動車が参加しており、これは日産が発売していた小型車「フィガロ」のPR映画なのだ。3つのエピソードすべてにフィガロが出てきたのには笑ってしまった。それにしてもパリやニューヨークを舞台にしているにもかかわらずフィガロはすべて右ハンドルというのが、どうにも不自然。左ハンドル仕様はなかったのだろうか。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/kaeru_shock2.gif)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/cars_red.gif)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/down.gif)