(原題:在那河畔青草青)台湾の(かつての)名匠・侯孝賢の初期作品で、82年製作。山沿いの小学校に赴任してきた若い先生(ケニー・ビー)と子供たちの触れ合いを中心に、そこに住む人々のさまざまな生き方をスケッチ風に描く。
冒頭、登校する子供たちが汽車とかけっこする場面から、朝礼が始まった校庭に滑り込むシークェンスですでに観客の心を掴んでしまう。これは懐かしい昭和40年代の日本の田舎と同じではないか。自然がふんだんにあって、人々は素朴で、明るい陽光とバックに流れるレトロで楽しい音楽は、ある年代より上の観客にとってはノスタルジアに心がふるえてしまうだろう。
主演のケニー・ビーは当時の人気歌手だ。相手役の若い女先生に扮する江玲も人気タレントであり(二人がデュエットで歌う場面もある)、このウキウキした楽しさはまさに“アイドル映画”(事実、そういう意図で製作されている)。
そして子供たちの描写の見事なこと。何かと先生を悩ませる悪ガキ三人組(検便にまつわる話は爆笑ものだ)をはじめ、意地の悪い学級委員、転校してくる可愛い女の子などなど、多彩な面子が揃っていながら不自然さはゼロ。
そして見物は成績優秀だけど少し元気がない外省人(戦後、大陸から渡ってきた人々)の息子のエピソードである。その子の父親が川で禁じられている電気仕掛けの漁をやっていることから、皆から悪口を言われるようになる。父親は年齢の離れた妻に逃げられ、職場でも差別されて辞めざるを得なくなり、貧しい生活だ。そんな父親を疎ましくなった息子は、幼い妹を連れて家出し母の住む台北へ向かう。当然ハッピーエンドに終わるが、この話は徹底して子供の視点で描かれており、切ない感動を呼ぶ。
とにかくすべてのエピソードがメデタシメデタシで終わる楽天性、美しい映像と優しい感触は、せち辛い毎日を送っている我々にとって一服の清涼剤のようだ。題名通り“青々”とした新鮮な作品である。侯孝賢は近年つまらない映画ばかり作っているが、もう一度本作のような瑞々しい感覚を取り戻して欲しいところである。
冒頭、登校する子供たちが汽車とかけっこする場面から、朝礼が始まった校庭に滑り込むシークェンスですでに観客の心を掴んでしまう。これは懐かしい昭和40年代の日本の田舎と同じではないか。自然がふんだんにあって、人々は素朴で、明るい陽光とバックに流れるレトロで楽しい音楽は、ある年代より上の観客にとってはノスタルジアに心がふるえてしまうだろう。
主演のケニー・ビーは当時の人気歌手だ。相手役の若い女先生に扮する江玲も人気タレントであり(二人がデュエットで歌う場面もある)、このウキウキした楽しさはまさに“アイドル映画”(事実、そういう意図で製作されている)。
そして子供たちの描写の見事なこと。何かと先生を悩ませる悪ガキ三人組(検便にまつわる話は爆笑ものだ)をはじめ、意地の悪い学級委員、転校してくる可愛い女の子などなど、多彩な面子が揃っていながら不自然さはゼロ。
そして見物は成績優秀だけど少し元気がない外省人(戦後、大陸から渡ってきた人々)の息子のエピソードである。その子の父親が川で禁じられている電気仕掛けの漁をやっていることから、皆から悪口を言われるようになる。父親は年齢の離れた妻に逃げられ、職場でも差別されて辞めざるを得なくなり、貧しい生活だ。そんな父親を疎ましくなった息子は、幼い妹を連れて家出し母の住む台北へ向かう。当然ハッピーエンドに終わるが、この話は徹底して子供の視点で描かれており、切ない感動を呼ぶ。
とにかくすべてのエピソードがメデタシメデタシで終わる楽天性、美しい映像と優しい感触は、せち辛い毎日を送っている我々にとって一服の清涼剤のようだ。題名通り“青々”とした新鮮な作品である。侯孝賢は近年つまらない映画ばかり作っているが、もう一度本作のような瑞々しい感覚を取り戻して欲しいところである。
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