猫のひたい

杏子の映画日記
☆基本ネタバレはしません☆

かごの中の瞳

2021-04-03 22:12:32 | 日記
2016年のアメリカ映画「かごの中の瞳」。

ジーナ(ブレイク・ライヴリー)は子供の頃の交通事故が原因で失明していたが、
夫のジェームズ(ジェイソン・クラーク)の献身的な支えにより、夫の赴任先の
バンコクで幸せな結婚生活を送っていた。ある時、医師の勧めで受けた角膜移
植により片目の視力を取り戻した彼女は、心から喜ぶ一方で、初めて目にした
夫の姿が夢想していた素敵な夫ではなく、地味で冴えない中年男だったという
現実に直面する。そしてこれまで眠っていた好奇心や冒険心が目覚め、流行り
のファッションで着飾り、外の世界へと飛び出していくジーナ。そんな妻にジ
ェームズは疑念と嫉妬を感じるようになる。

マーク・フォースター監督によるラブ・サスペンス。子供の頃に事故で視力を
失ったジーナだったが、夫ジェームズはジーナを献身的に支え、夫婦関係はと
ても良好だった。2人は子供を欲しいと思っており、ジーナは医師から角膜移
植手術を勧められる。片目なら見えるようになる可能性が高いと言われており、
ジーナは子供のためにもと不安を抱えながらも手術を受ける決心をする。手術
は成功し、ジーナは片目の視力を取り戻した。ジェームズに「あなたの顔が見
えるわ」と言って喜ぶジーナ。しかし退院して帰宅したジーナは、自宅の内装
なども想像していたものとは違うことに戸惑う。そんなジーナの様子にジェー
ムズは不安を覚える。
盲目の妻を支えることに喜びさえ感じていた夫が、妻の片目が見えるようにな
ったことにより、疑心暗鬼になっていく様子を描いた映画。嬉しいはずのこと
なのに、夫婦関係は次第に均衡が崩れていくのだ。ジーナは今まで着ていた地
味な服を処分し、流行のファッションに関心を持ち、髪をブロンドに染めたり
して外出することを楽しむようになる。ジェームズは特に何も言わなかったが、
本心ではそれを不満に思っている。ジーナが自分の介助なしに行動できるよう
になったことで、ジーナが自分から離れていくような不安を持っているのだ。
そしてジェームズは恐ろしい行動に出る。
この映画の怖いところは、ジーナとジェームズは決して喧嘩をしたり怒ったり
せずに、お互いの秘密に気づいていながらそれを口にしないところだ。知って
いるけど言わない、知らないふりをするというのは観ていてなかなかスリリン
グである。そして2人の行動や心情が明確に描写されておらず、多分こうなん
だなと推測するような展開が観ている側の不安を煽ってまた怖いのだ。ジェー
ムズのある行為にジーナは気づいているが、ひと芝居打つことにする。
子供がなかなかできないのでジェームズは1人で検査に行くのだが、不妊の原
因が自分にあることを知ってショックを受ける。だがそのことを彼はジーナに
は言わない。そしてジーナは浮気をしてしまい、妊娠する。どちらの子かわか
らないと思いながらも、ジェームズに「妊娠したの」と嬉しそうに報告するシ
ーンはゾッとする。ジーナはジェームズが不妊であることを知らないのだから。
結局ジェームズは初めからジーナの視力が戻らない方がいいと思っていたのだ
と思う。ジーナの世話をするのがジェームズの生き甲斐だったのだろう。2人
の飼い犬に関するエピソードもジェームズの歪んだ性格を表している。犬にま
で嫉妬するのか。ジェームズはジーナを自分の世界に閉じ込めておきたかった。
「かごの中の瞳」というタイトルはそういう意味なのだろう。なかなかおもし
ろい映画だった。


良かったらこちらもどうぞ。マーク・フォースター監督作品です。(フォース
ター監督はドイツ出身です)
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コメント (4)
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