猫のひたい

杏子の映画日記
☆基本ネタバレはしません☆

見知らぬ乗客

2021-04-17 22:46:23 | 日記
1951年のアメリカ映画「見知らぬ乗客」。

テニス選手のガイ・ヘインズ(ファーリー・グレンジャー)は浮気性の妻ミリアム
(ケイシー・ロジャース)と離婚し、交際中の上院議員の娘アン・モートン(ルー
ス・ローマン)と再婚したいと望んでいた。ある日ガイは列車の中で見知らぬ男
ブルーノ・アントニー(ロバート・ウォーカー)から話しかけられる。ブルーノは
何故かガイの事情をよく知っており、彼の父親を殺してくれるなら自分がミリア
ムを殺そうと交換殺人を持ち掛ける。ガイは冗談だと思い取り合わなかったが、
その後ブルーノは本当にミリアムを殺害し、ガイにも殺人を実行するよう付きま
とうようになる。

太陽がいっぱい」で有名なパトリシア・ハイスミスの小説を映画化した、アル
フレッド・ヒッチコック監督作品。知らない男から交換殺人を提案された男の恐
怖を描いている。テニス選手のガイはある日列車の中でファンだという男ブルー
ノから話しかけられる。自分の私生活についてよく知っており、馴れ馴れしいブ
ルーノにガイは不快感を抱く。そしてブルーノは自分がガイの妻を殺すからガイ
に自分の父親を殺してくれと話す。ガイは相手にせずに列車を降りるが、数日後
妻のミリアムが殺されたことを知る。やがてガイの元に「約束通りミリアムを殺
したから今度は俺の父親を殺してくれ」という脅迫状が届くようになる。
交換殺人というのは完全犯罪になりやすいだろう。被害者と加害者の間に全くつ
ながりがないのだから。ガイはブルーノの冗談だと思っていたことが現実になり、
恐怖を覚える。警察に行こうとするが、ブルーノから「嘱託殺人だと思われるぞ
」と言われ窮地に陥る。そしてブルーノは何度も脅迫の手紙を送りつけたり、ガ
イの近くに現れたり、ガイの身近な人たちにまでガイの友人を装って接触してき
たりして、ガイは気が気でない。こういうハラハラする演出はやっぱりヒッチコ
ックはうまいなあと思う。観ていて緊張感が途切れない。
やがてガイの恋人のアンはブルーノに不審なものを感じるようになり、ガイを問
い詰める。ガイはアンに打ち明けるが、解決策は浮かばず、ブルーノの脅迫はエ
スカレートしていく。この映画には大きな見どころがいくつかあり、1つはガイ
のテニスの試合のシーンだろう。ブルーノの家に行こうとしているガイは早く試
合を終わらせたくて必死になる。解説者の「ガイ・ヘインズはいつもとは違う攻
めのテニスをしています」という言葉にもガイの焦りは表現されていて、ガイと
一緒にドキドキしてくる。それからブルーノがライターを側溝に落としてしまい、
手を突っ込んで取ろうとするがなかなか取れない、というシーンもブルーノの焦
りをこちらも同時に感じるようである。
そしてクライマックスの遊園地の回転木馬のシーンは圧巻。ヒッチコック映画の
中でもハラハラ感は屈指ではないだろうか。回転木馬であんなに迫力あるシーン
を思いつくなんてすごいと思う。無関係の人が1人死んだのはちょっときつかっ
たが。あのシーンは結構長く、どういう結末を迎えるのだろうと観ていたが、結
末をあっけないと感じる人もいるかもしれない。でも私はあのあっけなさもいい
と思った。サスペンスの見本のような映画で、とてもおもしろかった。


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