2021年の日本映画「護られなかった者たちへ」を観に行った。
東日本大震災から10年を経た仙台で、全身を縛られたまま放置され餓死させ
られるという残忍な連続殺人事件が起きた。被害者の2人は誰もが慕う人格者
で、怨恨の可能性は低いと見えた。捜査は難航するが、担当刑事の笘篠誠一郎
(阿部寛)は被害者2人がかつて同じ福祉保健事務所で同時期に勤務していたと
いう共通項を見出し、やがて1人の男に行き当たる。その容疑者は、別の事件
で服役し、出所したばかりの利根泰久(佐藤健)という男。笘篠は利根を追い詰
めていくが、決定的な証拠が掴めないまま、第3の事件が起きようとしていた。
中山七里氏の小説を瀬々敬久監督により映画化した社会派ミステリー。とても
おもしろかった。廃アパートなどで全身を縛られ放置され、餓死させられると
いう奇妙で残酷な殺人事件が続けて起こる。被害者たちは同じ福祉保健事務所
に勤めていたが、どちらも人格者、善人として知られる人物で、怨恨が理由と
は考えにくかった。しかし刑事の笘篠たちは事務所で彼らの仕事内容を聞くう
ち、生活保護の実態とその闇を目の当たりにする。そして利根泰久という男が
捜査線上に浮かび上がる。利根は過去に福祉保健事務所に放火して逮捕され、
服役を終えて出所したばかりだった。
被害者たちが同じ福祉保健事務所に同時期に勤務したことがあるという共通点
から、この事件は生活保護を巡るトラブルが原因ではないかと推測され、警察
は過去に被害者たちと揉めたことのある人々を調べることになる。警察の捜査
ってすごいなと思う。生活保護の申請のトラブルなんて一体どれだけあるのだ
ろう。それを1人1人しらみつぶしに調べていくのだから、想像しただけでも
めまいがしそうな作業だ。東日本大震災の後、仕事や家や家族を失った人たち
が生活保護の申請に押し寄せた。申請が通った人、通らなかった人、諸事情で
申請を取りやめた人、色々いるだろう(震災関係なく生活保護はそういうもの
であるが)。中には事務所の職員を恨む人もいると思う。怨恨ではないと思わ
れた連続殺人事件が怨恨によるものとの見方が濃厚になってきたのだ。
容疑者となった利根やその周囲の者に笘篠は何度も事情を聞きに行くが、次第
に人格者だと言われていた被害者たちの別の顔が見えてくるのだった。とは言
え彼らは善人ではないかもしれないが悪人でもない。決めつけることはできな
いのだ。彼らなりに罪悪感を抱えて生きている。人の世を生きる難しさという
のだろうか、割り切れないものがたくさんあるのだ。その現実に悲しくなる。
利根もある事情から被害者たちを恨んでいた。だから事務所に放火したのだっ
た。利根は生後すぐに捨てられ、ずっと養護施設で育った孤独な青年である。
友達はいたかもしれないが家族などいない。その利根がやっと家族と呼べる存
在を、自分の居場所を見つけられたと思ったら、不幸な出来事に遭遇してしま
う。
利根役の佐藤健の演技が素晴らしい。映画が始まって間もなくこの人の顔のア
ップのシーンがあるのだが、目力がすごい。この人と柳楽優弥は目力がすごい
なあと思う。ナイフのように切れそうな鋭さなのだ。孤独で世をすねたような
利根を全身で体現しており、アカデミー賞ものの熱演だった。笘篠刑事役の阿
部寛もいい。彼は震災で妻子を亡くしており、あまり表情はないのだがやはり
孤独さの表現が秀逸だと思った。重たくて悲しい物語だが、ラストに少しだけ
救いがあるのが良かった。笘篠が利根に向けた言葉に胸を打たれる。
猫って何故かパソコンの前で寝るよね。
カジカジ。
ベルのしっぽで遊ぶノエル。ちょいちょい。
東日本大震災から10年を経た仙台で、全身を縛られたまま放置され餓死させ
られるという残忍な連続殺人事件が起きた。被害者の2人は誰もが慕う人格者
で、怨恨の可能性は低いと見えた。捜査は難航するが、担当刑事の笘篠誠一郎
(阿部寛)は被害者2人がかつて同じ福祉保健事務所で同時期に勤務していたと
いう共通項を見出し、やがて1人の男に行き当たる。その容疑者は、別の事件
で服役し、出所したばかりの利根泰久(佐藤健)という男。笘篠は利根を追い詰
めていくが、決定的な証拠が掴めないまま、第3の事件が起きようとしていた。
中山七里氏の小説を瀬々敬久監督により映画化した社会派ミステリー。とても
おもしろかった。廃アパートなどで全身を縛られ放置され、餓死させられると
いう奇妙で残酷な殺人事件が続けて起こる。被害者たちは同じ福祉保健事務所
に勤めていたが、どちらも人格者、善人として知られる人物で、怨恨が理由と
は考えにくかった。しかし刑事の笘篠たちは事務所で彼らの仕事内容を聞くう
ち、生活保護の実態とその闇を目の当たりにする。そして利根泰久という男が
捜査線上に浮かび上がる。利根は過去に福祉保健事務所に放火して逮捕され、
服役を終えて出所したばかりだった。
被害者たちが同じ福祉保健事務所に同時期に勤務したことがあるという共通点
から、この事件は生活保護を巡るトラブルが原因ではないかと推測され、警察
は過去に被害者たちと揉めたことのある人々を調べることになる。警察の捜査
ってすごいなと思う。生活保護の申請のトラブルなんて一体どれだけあるのだ
ろう。それを1人1人しらみつぶしに調べていくのだから、想像しただけでも
めまいがしそうな作業だ。東日本大震災の後、仕事や家や家族を失った人たち
が生活保護の申請に押し寄せた。申請が通った人、通らなかった人、諸事情で
申請を取りやめた人、色々いるだろう(震災関係なく生活保護はそういうもの
であるが)。中には事務所の職員を恨む人もいると思う。怨恨ではないと思わ
れた連続殺人事件が怨恨によるものとの見方が濃厚になってきたのだ。
容疑者となった利根やその周囲の者に笘篠は何度も事情を聞きに行くが、次第
に人格者だと言われていた被害者たちの別の顔が見えてくるのだった。とは言
え彼らは善人ではないかもしれないが悪人でもない。決めつけることはできな
いのだ。彼らなりに罪悪感を抱えて生きている。人の世を生きる難しさという
のだろうか、割り切れないものがたくさんあるのだ。その現実に悲しくなる。
利根もある事情から被害者たちを恨んでいた。だから事務所に放火したのだっ
た。利根は生後すぐに捨てられ、ずっと養護施設で育った孤独な青年である。
友達はいたかもしれないが家族などいない。その利根がやっと家族と呼べる存
在を、自分の居場所を見つけられたと思ったら、不幸な出来事に遭遇してしま
う。
利根役の佐藤健の演技が素晴らしい。映画が始まって間もなくこの人の顔のア
ップのシーンがあるのだが、目力がすごい。この人と柳楽優弥は目力がすごい
なあと思う。ナイフのように切れそうな鋭さなのだ。孤独で世をすねたような
利根を全身で体現しており、アカデミー賞ものの熱演だった。笘篠刑事役の阿
部寛もいい。彼は震災で妻子を亡くしており、あまり表情はないのだがやはり
孤独さの表現が秀逸だと思った。重たくて悲しい物語だが、ラストに少しだけ
救いがあるのが良かった。笘篠が利根に向けた言葉に胸を打たれる。
猫って何故かパソコンの前で寝るよね。
カジカジ。
ベルのしっぽで遊ぶノエル。ちょいちょい。