2019年の台湾映画「よい子の殺人犯」を観に行った。
母親と認知症の祖父と暮らすアーナン(ホアン・ハー)は、日本のアニメが大好き
なオタクだが、人と争うことが嫌いな優しい青年。ある時、彼の家に死んだ父親
の弟が恋人を連れて突然転がり込んできて、平穏だった家は緊張感に包まれる。
一方、そんな中でアーナンはオタク仲間の女の子に恋をする。彼女と仲良くなっ
ていくが、彼女との甘い夢が実現しようとした矢先、思いもよらないことが起き
る。
「台湾映画祭2021」にて鑑賞。台湾の貧困や家族関係、日本文化の浸透などに
ついて描かれていて、おもしろかった。オタク青年のアーナンは仕事が続かない
のでいつも母親に愚痴をこぼされている。いい人で祖父にも優しいのだが、母親
にだけ働かせて自分はニートというのは良くないと思う。そんなアーナンだが、
オフ会で知り合った女の子を好きになり、次第に仲良くなっていく。生活に張り
合いが出てきたアーナン。だがそんな時、死んだ父親の弟が突然家に転がり込ん
できて、居座ってしまう。母親は「ここは私たちの家よ。出ていって」と言うが、
叔父は「俺の家だ」と言って家の中で傍若無人に振る舞う。叔父はギャンブルで
借金を作って家賃が払えなくなったのでアーナンの家に来たのだが、母親はそれ
を見抜いていた。
アーナンの家庭は複雑である。アーナンが小学校3年生の時、父親は長男と共に
自殺し、それから母親と父方の祖父と暮らしてきた。父親は生活苦のために自殺
したようだが、どうして長男だけを道連れにしたのかよくわからない。アーナン
は兄が死んで以来、精神的な成長が止まってしまったように見える。日本アニメ
に夢中になったのも兄の影響で、それだけ兄の存在は大きかったのだろう。叔父
はアーナンの趣味が子供っぽいとバカにし、暴力を振るい、家を好き勝手に使う。
母親の「お父さんが生きていたらこんなことはさせなかったのに」という言葉が
悲しい。
アーナンはオタクらしく気持ち悪さが強調されている。好きな女の子にもらった
コアラのマーチの1粒をティッシュに大切に包んで、帰りの電車の中でニヤニヤ
しながら食べるシーンなんか本当に気持ち悪い。でもアーナン役のホアン・ハー
は髪型や行動や仕草で気持ち悪さを表現しているが、よく見ると普通にイケメン
である。それにしてもアーナンが好きになった女の子は強引でワガママだなあと
思った。私だったら付き合いたくない。アーナンのしたミスを「裏切り」と言っ
て怒るなんて、自己中心的すぎる。アーナンがかわいそうだった。
終盤物語は大きく動き、アーナンと彼女の関係もだが意外な展開になる。ラスト
はどうなったのかはっきりと描かれていない。私が想像している通りだとしたら
少しは救いがあるのかもしれないが。いや、その方が救いがないのだろうか。悲
しくてやりきれない物語だった。台湾映画は本当におもしろい。台湾映画祭は嬉
しいのだが、香港映画祭も開催して欲しいなあ。
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母親と認知症の祖父と暮らすアーナン(ホアン・ハー)は、日本のアニメが大好き
なオタクだが、人と争うことが嫌いな優しい青年。ある時、彼の家に死んだ父親
の弟が恋人を連れて突然転がり込んできて、平穏だった家は緊張感に包まれる。
一方、そんな中でアーナンはオタク仲間の女の子に恋をする。彼女と仲良くなっ
ていくが、彼女との甘い夢が実現しようとした矢先、思いもよらないことが起き
る。
「台湾映画祭2021」にて鑑賞。台湾の貧困や家族関係、日本文化の浸透などに
ついて描かれていて、おもしろかった。オタク青年のアーナンは仕事が続かない
のでいつも母親に愚痴をこぼされている。いい人で祖父にも優しいのだが、母親
にだけ働かせて自分はニートというのは良くないと思う。そんなアーナンだが、
オフ会で知り合った女の子を好きになり、次第に仲良くなっていく。生活に張り
合いが出てきたアーナン。だがそんな時、死んだ父親の弟が突然家に転がり込ん
できて、居座ってしまう。母親は「ここは私たちの家よ。出ていって」と言うが、
叔父は「俺の家だ」と言って家の中で傍若無人に振る舞う。叔父はギャンブルで
借金を作って家賃が払えなくなったのでアーナンの家に来たのだが、母親はそれ
を見抜いていた。
アーナンの家庭は複雑である。アーナンが小学校3年生の時、父親は長男と共に
自殺し、それから母親と父方の祖父と暮らしてきた。父親は生活苦のために自殺
したようだが、どうして長男だけを道連れにしたのかよくわからない。アーナン
は兄が死んで以来、精神的な成長が止まってしまったように見える。日本アニメ
に夢中になったのも兄の影響で、それだけ兄の存在は大きかったのだろう。叔父
はアーナンの趣味が子供っぽいとバカにし、暴力を振るい、家を好き勝手に使う。
母親の「お父さんが生きていたらこんなことはさせなかったのに」という言葉が
悲しい。
アーナンはオタクらしく気持ち悪さが強調されている。好きな女の子にもらった
コアラのマーチの1粒をティッシュに大切に包んで、帰りの電車の中でニヤニヤ
しながら食べるシーンなんか本当に気持ち悪い。でもアーナン役のホアン・ハー
は髪型や行動や仕草で気持ち悪さを表現しているが、よく見ると普通にイケメン
である。それにしてもアーナンが好きになった女の子は強引でワガママだなあと
思った。私だったら付き合いたくない。アーナンのしたミスを「裏切り」と言っ
て怒るなんて、自己中心的すぎる。アーナンがかわいそうだった。
終盤物語は大きく動き、アーナンと彼女の関係もだが意外な展開になる。ラスト
はどうなったのかはっきりと描かれていない。私が想像している通りだとしたら
少しは救いがあるのかもしれないが。いや、その方が救いがないのだろうか。悲
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しいのだが、香港映画祭も開催して欲しいなあ。
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