猫のひたい

杏子の映画日記
☆基本ネタバレはしません☆

スマイルコレクター

2021-10-22 21:57:07 | 日記
2007年のフランス映画「スマイルコレクター」。

ドライブ中に男性をはねてしまった失業者2人組は、男性が持っていたバッグ
から200万ユーロもの大金を発見する。その金は、数日前に誘拐された少女の
ための身代金だった。2人はその金を隠し、男性の遺体を遺棄する。事件の翌
朝、少女は現場近くの廃屋で死体となって発見される。少女の遺体には80年
代に流行したアナベル人形と同じドレスが着せられ、その口元には謎の微笑が
浮かんでいた。プロファイリングを得意とするリューシー巡査長(メラニー・
ロラン)は新米だが、人手不足のため事件の捜査に駆り出される。リューシー
は独学で習得した知識を駆使し、ひき逃げ事件と誘拐殺人事件の犯人像を割り
出していくが、新たに少女が誘拐される。

フランス版「羊たちの沈黙」とも言えるサイコ・サスペンス。実力派美人女優
メラニー・ロランが主演を務めている。この映画かなりおもしろかったのだが、
邦題で損をしていると思う。「スマイルコレクター」なんてB級映画みたいな
タイトルのせいで見過ごされがちなのではと思う。リストラされて憂さ晴らし
にドライブしていた男性2人は、夜道で男性をはねて死なせてしまう。被害者
は大金を持っており、彼らは警察に連絡するか迷った挙句、その200万ユーロ
をくすねてしまう。翌朝誘拐されていた少女が遺体となって発見される。被害
者の男性は少女の父親で、身代金を運ぶ途中だったのだ。
リューシー巡査長はプロファイリングの専門家ではないが、独学で習得し得意
としていた。フランス版「羊たちの沈黙」というよりオマージュと言った方が
いいかもしれない。リューシーは猟奇殺人事件マニアで、その関係の本をたく
さん持っており、家を訪れた同僚は驚く。トマス・ハリスの「羊たちの沈黙」
を持っているのもいい。リューシーが何故そんなに猟奇殺人に興味を持ってい
るのかは次第にわかってくる。ハリウッド映画のような迫力や緊迫感はなく、
淡々と進んでいくが、見応えがある。ただフランス映画らしく説明不足なとこ
ろはあると思う。リューシーが少女誘拐事件の本当の目的は身代金ではないと
何故わかったのか、私にはよくわからなかった。他にも想像力で補うしかない
ようなシーンは多い。
リューシーは着実に犯人へと近づいていくが、その過程で自身の過去のトラウ
マと向き合わなければならなくなる。そして誘拐犯にもトラウマがあった。ひ
き逃げ事件と誘拐事件が複雑に絡み合い、主人公刑事と誘拐犯それぞれの子供
の時のトラウマもポイントになっており、とてもおもしろい。何が犯人を犯行
に駆り立てるのか。「羊たちの沈黙」でジョディ・フォスターが演じたクラリ
スにも子供の時のトラウマがあった。幼い頃の体験というのは大人になっても
こうも人生に影を落とすのか、と思うと悲しい。犯人は割と早くにわかるが、
新たに誘拐された少女をいかにして救うのか、リューシーはクラリスばりの活
躍を見せる。動物虐待のシーンは作り物とわかっていてもきつい。でもフラン
ス映画にしてはラストはすっきりと終わって救いがあった。




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