猫のひたい

杏子の映画日記
☆基本ネタバレはしません☆

蛇男

2022-08-26 22:22:22 | 日記
2006年のフランス映画「蛇男」。

写真家のヴァンサン(イヴァン・アタル)は資産家の娘と結婚しているが、離婚
協議中だった。ある日、撮影予定のモデルの代わりに別のモデルがやって来る。
後日、ヴァンサンは彼女からレイプ未遂で訴えられ逮捕されるが、訴えは取り
下げられる。後に彼女は再びヴァンサンの前に現れ、ヴァンサンは彼女を問い
詰めるが、彼女はヴァンサンの目の前で転落死してしまう。疑いをかけられる
のを避けるためにヴァンサンは車で逃げるが、途中で後続の車にぶつけられる。
車を運転していたのはヴァンサンの旧友ジョゼフ(クローヴィス・コルニヤッ
ク)だった。ジョゼフは再会を喜ぶが、ヴァンサンが自分の車のトランクを開
けるとモデルの死体が入っていた。そこへ警官が声をかけてくるが、ジョゼフ
は機転を利かせてヴァンサンを助ける。翌朝ヴァンサン宅から車と死体が消え
ており、ジョゼフから自分が死体を処理したという電話が入る。それからジョ
ゼフは度々ヴァンサンの家を訪れるようになり、ヴァンサンの妻とも親しくな
る。ところがジョゼフはヴァンサンに大金を要求してくるようになる。

ホラー映画のようなタイトルだが、サスペンス・ミステリーである。写真家の
ヴァンサンは子供の親権を巡って妻と離婚協議中だった。ある日の撮影で、予
定していたモデルとは別のモデルがやって来る。モデルはヴァンサンを誘惑し、
ヴァンサンが応じようとすると、彼の首に爪で傷をつけた。後日モデルはヴァ
ンサンをレイプ未遂で訴え、彼は逮捕されてしまう。しかしその後モデルは訴
えを取り下げる。このヴァンサンという男、最初からあまりいい印象がない。
離婚協議中にモデルに誘惑されてその気になるって(レイプ未遂はしていない
が)、かなり尻軽ではないのか。絶対離婚に不利になるのに。
その後モデルは再び現れ、ヴァンサンが問い詰めていると、彼はめまいや幻覚
を起こして意識を失い、その間にモデルとのスキャンダラスな写真を撮られて
しまう。意識を取り戻したヴァンサンがモデルを追うと、彼女は階段を踏み外
して転落死してしまう。そして車で逃げているとトランクに彼女の死体が入っ
ていて驚いたりと、踏んだり蹴ったりである。それを救ったのは、後ろから車
をぶつけてきた中学の同級生・ジョゼフだった。ヴァンサンは最初わからなか
ったが、ジョゼフに「ヴァンサンじゃないか!」と声をかけられて思い出す。
車をぶつけたことを謝り、翌朝ヴァンサンの車は消えていた。ジョゼフは電話
で「死体は自分が処理した。車は修理に出した」と言った。
ジョゼフはその後ヴァンサンの家に遊びに来るようになり、妻も交えて中学時
代の思い出話に花を咲かせるが、ジョゼフもかなりうさんくさい。中学なんて
もう20数年も前のことをそんなに話したいものだろうか。私なら昔の同級生
に会ってもあいさつして終わりである。面倒くさい。しかしジョゼフはやがて、
ヴァンサンに大金を要求するようになる。ヴァンサンとモデルのスキャンダル
写真を見せ、警察にモデルの死体を発見させ、ヴァンサンを殺人犯に仕立て上
げる。だがヴァンサンはジョゼフに脅迫を受け続けるうちに、それが本当は金
目当てではないことに気づく。ジョゼフの目的は復讐だった。
そこへ来て「蛇男」というタイトルの意味がわかってくる。蛇のようにしつこ
く、じわじわとヴァンサンを締め付けるジョゼフ。ジョゼフの恨みは一言で言
うと「いじめ」だった。いじめというものはした方は忘れても、された方はず
っと覚えているものだ。それがちょっとした冗談のようなものであったとして
も。ジョゼフも20数年に亘る恨みだった。ヴァンサンは警察でそのことを話
していたが、本当に反省しているのだろうか、と思った。そしてヴァンサンは
警察でも何でもない普通の人だがアクションシーンがすごい。活躍しすぎとい
うか。特に畳み掛けるような終盤は目が離せなくておもしろかった。ただ、主
人公であるヴァンサンにあまり同情できなかったのが残念だった。




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コメント (6)
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