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『なまえのないねこ』(町田尚子・絵 小峰書店 2019年)のポルトガル語版ができました。
《GATO QUE QUERIA TER UM NOME》
直訳すると「なまえがほしかったねこ」かな。
リスボン旧市街にある Alma dos Livros という出版社から。
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フランス語版につづいて、またまた表紙ががらっと変わりました。
この絵は、本文中で最も大事なシーンであり、最も人気の高い絵でもあるので、いきなり表紙で使っちゃっていいのかなあと思いましたが、そういうふうに感じること自体が日本的なのかもしれない。
きりっとした横顔にブルーグリーンの背景色、そこに白と黄色の文字を配したら、この子はすっかりポルトガルの猫になりました。
さて、例によって、猫たちの名前はどうなっているか、見てみましょう。
靴屋のレオは、そのまま Leão =ライオン。本にゃん「たてがみがあるから」と言ってます。
本屋のげんたは、Mestre =先生。たくさんの本囲まれているから賢いというイメージかな。この「先生」はあらたまった敬称というより、親しみをこめた愛称のようです。
八百屋のチビは…Piolho =シラミ。え~、たしかにシラミは「ちっちゃい」けど、それ猫につけるかね? うん、たぶんあちらではべつに悪い感じの言葉ではないんだろうな。
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蕎麦屋のつきみは、Luna =月。パスタが好き、だそうです。そばもうどんも、パスタといえばパスタか。
パン屋のクララとハイジは、Côdea =パンの皮と Miolo =パンくずのコンビ。黒板の手書き文字もちゃんとポルトガル語に。
喫茶店のミミorしろまるは、Chá =お茶と Panqueca =パンケーキ。ストレートだね。店内で呼ぶとオーダーとまぎらわしいかも(笑)。
お寺のじゅげむは、Pérola =真珠。「特別な猫にぴったりの名前」とのことで、お寺が特別なのか、真っ白でオッドアイだからか、そこまでは書かれていませんが、良い名前をもらいました。
犬のタローは Bolinha =小さいボール。モコは Pompom =ポンポン。
…という感じで、このあたりは原文にこだわりすぎず、ポルトガルの子どもたちが絵を見て名前を聞いて楽しめるように訳していただいています。
さてさて、主人公のキジトラは、どんな名前をもらったでしょうか。
スペイン語のライム、フランス語のキウイにつづいて…
«São verdes como uma ervilha!»
Erviha エルヴィーリャ=えんどう豆。なんと、グリンピースちゃん!になったのでした。
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カバーなし。裏表紙にはAmazonのレビューをはじめ、宣伝文句がいっぱい。
結局、原本の表紙と裏表紙の絵はどこにも使われなかったわけで、そこはちょっと寂しいけれど、ポルトガルの人々に愛される絵本になりますように。そして、ポルトガルのストリートキャットたちも幸せに暮らせますように。
https://www.bertrand.pt/livro/o-gato-que-queria-ter-um-nome-fumiko-takeshita/29428360
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あちらの書店でも良い評をいただいています。(「マグニフィコ!」しかわからない・笑。あとはグーグル君で)