2歳坊やのお父さんからご質問をいただきました。
*『いそげ!きゅうきゅうしゃ』31ページの親子と、『はしれ!たくはいびん』30・31ページの親子は同一なのでしょうか? よく似ていて気になっています。
(これは閑猫堂へのご質問ではなく、出版社に寄せられた愛読者カードに書かれていたものです。ときどき編集者さんからまとめてコピーがどっさり送られてくるのですが、個人情報の部分は含まれていないので、直接お返事ができず…すみません。同じ疑問をお持ちの方もいらっしゃるかと思うので、ここに書いておきます)
さて、『いそげ!きゅうきゅうしゃ』の31ページというのは、
これですね。
入院しているおじいちゃんのお見舞いに来たところ。
そして、『はしれ!たくはいびん』の30・31ページは、
おじいちゃんの畑でとれたりんごが宅配便で届いたところ。
あ、そうですね。お父さん、お母さん、男の子、女の子。どう見ても同じ家族。
ですが…ここからが、ちょっとややこしいんだな。
入院しているおじいちゃんの家は、
これ。
おばあちゃんが119番に電話して、ここから救急搬送されたのね。
玄関横の表札には「大井」とあります。
で、りんごのおじいちゃんの家は、
これ。
うしろにりんごの木があって、門柱には「小倉」と。
この2軒の家、くらべて見ると、すごく似てるでしょう。
門の有無とか、こまかい相違はあるけれど。
そして、小倉さんちのおじいちゃんとおばあちゃんは、
こんな感じ。
じつは『たくはいびん』から『きゅうきゅうしゃ』まで12年あいており、その間に同じシリーズで6冊の乗り物絵本を描いています。
メインのストーリーとは別に、あっちの車がこっちにも出てくる、こっちの人があっちにも…という仕掛けが、このシリーズの特徴なのですが、これは文章担当の仕事ではなくて、すべて「絵を描く人」におまかせです。
描く人の頭ん中にはこまかい設定があるらしいのですが、そのときの気分でなんとなく描いちゃうこともあるので、いつどこに何を描いたか、なぜ描いたか、ということが、巻を重ねるうちに、次第にごちゃごちゃになってきましてね…。
『きゅうきゅうしゃ』で搬送される役は、途中まではりんごの「小倉さん」の予定だったんだけど、そうするとここはりんごのとれる北国の町になり、家の周囲の風景も『たくはいびん』と一致させなければならず、他の場面とうまく合わない点が出てきたため、やっぱり別人にしようと、「大井さん」に変更した。
ということだったのではないかしら。
うーん、よくおぼえてないけれど。
その結果として、「小倉さんと大井さんが結婚して男の子と女の子が生まれた」という家族設定になってしまったわけ。
テキトーな作者ですみません。でも、こまかいところまで気にとめていただいて、ほんとにありがとうございます。
<おまけ・その1>
りんごのおじいちゃんが「小倉さん」なのは、取材させてもらった運送会社の創業者にちなんで、だそうです。こたつにクロネコもいるし(笑)。
救急搬送のおじいちゃんが「大井さん」なのは、「おーい、助けてくれー」の「おーい」だって、描いた人が申しております。ほんとかなあ。
<おまけ・その2>
同じく偕成社の『ティラノサウルスのはらぺこないちにち』(左)と『トリケラトプスのなんでもないいちにち』(右)の裏表紙。
博物館で恐竜の骨格標本を見ている、この親子も、もしかしたら同じかも。髪型がちょっと違うけど。