クズは雑草としては非常にやっかいなものだけれど、
意外に上質な水玉が見られることがある。
完全な球体に近くなるのは、撥水性が高いからで、
はじくだけでなく、これだけ傾いても落ちないということは、
葉の表面に何か仕掛けがあるに違いない。
これは葉の裏から見たところ。
クズの若い葉。
金色のこまかいうぶ毛におおわれている。
こちらは成長した葉。
つやがなく、一見がさがさした感じだけれど、拡大して見ると、
表面にはやはりこまかい毛がびっしり生えている。
どうやら、これにヒミツがありそう。
「たくさんの小さい手で支える」から、水玉がまん丸くなるのだ。
しかも、その水玉が吸いつくような隙間があるから、落ちにくい。
しかしですね、この葉っぱを持ち帰り、水をかけてみても、
べしゃっと濡れるだけで、まんまる水玉は出現しない。
若い葉では一瞬水玉化することもあるが、ころがり落ちてしまい、
葉の表面にとどまってくれない。
それに、毛が生えているということなら、朝顔の葉だってそうなのに、
朝顔の水玉は見たことがない。
どこが、何が、どう違うのか。謎は深まるばかり。
クズといえば「葛の葉狐」の話が好き。
こういう異類婚姻譚というのはたくさんあるけれど、
ヒトに化けるのは鳥や魚より、やっぱり狐が良いと思う。
(狸では落語だし、蛇は怖い。
猫は・・昔話的にはどうしても妖怪系になっちゃいますね)
クズのつるは日なたを這い、灌木などがあればすかさずよじのぼる。
そこからさらに上にのび、横にひろがり、あたりを葉でおおいつくす。
日照をさえぎられた下草は枯れ、空洞ができる。
小動物には格好の逃げ道、隠れ場所かもしれない。
里と山との間にできるクズのマント群落は、
ヒトの世界とケモノの世界を仕切る幕だ。
恋しくばたずね来てみよ和泉なる信太の森のうらみ葛の葉
本日のにゃんこ。
「長すぎる」さんちゃん。
そこ、斜めだし、はみ出てるけど、いいの?
いいんだって。
ぜんぜんオッケー。