アスパラ菜の花。
拾った羽。
長さ約140ミリ。というのは、ボールペンくらいの長さ。
左右非対称なのは、翼の羽だから。
小鳥にしては大きいし、軸も太くしっかりしている。
ここが都会ならハトかと思うところだけれど、そうではない。
黒く写っているけれど、カラスでもない。
(カラスはこういうのです)
光があたるとグレイがかった褐色に見える。
ノスリ、とか?
もうひとつ拾った羽。
長さ約25ミリ。
ヒヨドリ、アカハラ、シロハラ・・
たぶんそれくらいのサイズの小鳥。
それ以上はちょっと絞り込めません。
これは羽ではなくて、テイカカズラの種。
今回は落ちたばかりで、とてもきれいだった。
真横から見たところ。
『考証要集』(大森洋平 文春文庫)という本を読む。
なんとなく小難しい古典のようなタイトルですが、
「秘伝!NHK時代考証資料」というサブタイトルの通り、
NHKでドラマの時代考証を担当するディレクターさんが
書かれたもの。
これが、めっぽう面白い。
なにしろ、歴史大河ドラマなどで、うっかりしたことをやると、
すぐに視聴者からクレームが来るらしい。
だから、ちゃんとそのための専門部署があり、台本を徹底的に検討し、
各分野の専門家に問合せ、役者のせりふから、立居振舞い、
大道具小道具、ロケ地の背景に至るまでこまかくチェックしていく。
しかし、作りたいのはあくまでもドラマ、フィクションであって、
「再現映像」とは異なるもの。
だから、おはなしとして面白く、歴史的にも間違ってない、という
微妙なバランスのとり方が要求されるわけで・・
それはもう、想像しただけでも大変そうなお仕事で、ため息が出ます。
が、一方、それによって得られた膨大かつ貴重な知識が
そこには山のように蓄積されている、ということで、
それはまたちょっとうらやましくてため息が出そう。
さて、クイズです。
次のうち、江戸時代劇に出してはいけないものはどれでしょう?
1 鍋焼きうどん
2 栗饅頭
3 あんみつ
(というのが、この本の帯のキャッチコピー)
進駐軍が子どもに配ったお菓子は、
ガムならリグレイ、チョコならハーシーだとか、
人力車は空で引くより客を乗せて引くほうが楽だとか、
お江戸の長屋の懇親会で「鍋をつつく」ことはありえないとか、
ローマ古典的な姑の毒殺法とか(・・笑)
まあ、知ると面白いけれど、知らなくてもまったく
困らないようなことがぎっしり書いてあるんですけども、
その中で、あ!と思ったことが、ひとつ。
<容積の「四合」を、昔は「よんごう」ではなく「しごう」と読んだ>
宮沢賢治の「雨ニモマケズ」の一節・・
「一日ニ玄米四合ト味噌ト少シノ野菜ヲタベ」
動画サイトでいくつか朗読を聞いてみましたが、
渡辺謙さんをはじめ、みなさん「よんごう」と読んでおられます。
学校でもそう教えるだろうし、わたしもそう読んできました。
でも、以前から、読むたびに何かひっかかるものがあったのです。
よんごう、で、いいのかな、と。
それは、四合って、多いよね?ということじゃなくて、
(いや、それはまた別の問題として)
リズムが違う・・
かたく踏み固められた農道をざくざく歩いてきて、
そこだけもぐらが掘ったように地面が柔らかくなっており、
一歩ぶん、歩調が乱れる、というような、ごく小さな違和感。
「いちにちに げんまいしごうと みそと すこしのやさいをたべ」
こう読んでみると、道がぴしっと平らになる気が・・しませんか?
賢治自身が、実際にどう読み、どう読ませたかったのか、
録音もなければ振り仮名もないので、今となってはわかりませんが・・。
(たぶん、現代では、「しごう」と聴いて「四合」と理解する人は
少ないでしょうしね・・)
忠臣蔵の「四十七士」も「よんじゅうしちし」と読んでしまうと
いまいち緊張感がなく、クラス会か?みたいになってしまう。
日本語ってむつかしい。
新年早々、いろいろと目からウロコの閑猫。
(あ、「目からウロコが落ちる」って、出典は新約聖書なので
時代劇に使うのはNGだそうです)
<1月11日追記>
「四合」について、tomさんからメッセージをいただきました。
>四合(シゴウ)ですが、私は酒飲みなので違和感ありません。
>日本酒の720mlの瓶のことを四合瓶(シゴウビン)と読みますので。
なるほど、なるほど!
現在もちゃんと生きている言葉なのですね。
tomさんは福島にお住まいの方で、岩手の賢治も「シゴウ」と
読ませるつもりだったのではないかと推察して下さいました。
ちなみに、『考証要集』によれば、「四斗樽」は「よんとだる」と読む。
これは「しと」の音を嫌ったためではないか、とのこと。
Mが新しい絵本を描くため、大きい画用紙をパネルに水張りして
アトリエ内のあっちこっちに置いて乾かしている。
その上に落ちた影が不思議でキレイだったので。
標準的な15場面(32ページ)の絵本だと、
表紙、とびら、裏表紙も含め、最低18枚のパネルが必要になります。