寒かった去年の冬によく来ていた「ろしあ」は、
迷子の「ぼろみあ」と違って、本物の野良猫でした。
シマシマで、顔がでっかくて、たくましいというか
大胆不敵な猫で、人が見ていないと猫穴から
「ずいっ」と入ってきて、台所でごみをあさったり、
うちの猫のごはんの残りを食べたり、
棚の上から丸ごとの食パンを落としてかじったり、
ときにはストーブのそばで朝まで寝ていたりしました。
で、気づかれると「ずでででっ」と漫画のドラ猫のように逃走。
うちの猫たちは、初めは警戒してたのですが、
そのうちすっかり慣れてしまったらしく…
真鈴なんかもう好奇心のカタマリ娘だから、
「ねーねー、おじちゃん、また来たのー?」なんて
わざわざ出ていってご挨拶してたくらいです。
当時、わが家の警備は、唯一のおとなのオスである
(といっても fixed なんですが)こだまが担当していました。
こだちゃんは、太っている上に、微妙にペルシャ混じりのため、
正面から見るとライオンみたいに立派に見えます。
(ほんとは尻尾も短く寸詰まりなんですけどね)
だからたいていのよそ猫は「顔で」追い払えたのです。
でも、本来フレンドリーでおとなしい性格なので
実戦には弱く、ろしあに何度か負けたみたい。
それでみずからの限界を悟ったのか、
ろしあの侵入を黙認するようになりました。
うちに入ってきてさかんにくしゃみをしていたろしあが、
そのウイルスをみんなにばらまき、
おかげで茶々姫が死にそうになった話は前に書きました。
(お茶々は1年たってもくしゃみと涙目が完治しないです)
夏がくる前に、ろしあは渡り鳥のように忽然と姿を消し、
そのあと来たのが「べいるーと」…
(すみません、ネーミングに意味はありません。
アメリカでハリケーンに人名をつけるようなものです)
せっかく名前をつけたのに、すぐ来なくなっちゃったな。
このあいだから、また別の猫の声がときどき聞こえます。
まだよく顔を見ていないけど、「ぱれすちな」だろうか。
おーい、ぱれすちな。
うちの子たちに悪いこと教えちゃいけませんよ。