さんちゃんが外から帰ってゴハンをねだりに来ると、
きなこ、必ずついてきます。
くずもちを買うとついてくる黄な粉の袋みたいに。
でっかいさんちゃんに、体重は半分以下のきなこちゃん。
ジンベイザメにひっつくコバンザメのよう。
食べるだけ食べさせているとおなかをこわすので、
さんちゃんにゴハンを出し、きなこには出さないことがあります。
「さんちゃんが残したら食べていいよ」
そう言ったら、そばでじいっと待っている。
待ちきれないらしく、その距離が30センチ、20センチ、
10センチと縮まり、そして…
おおっ!?
きなこ、さんちゃんの頭を叩いた!
こわごわ、というよりは「おいコラ」的な軽いパンチ。
どうなることかと見ていましたら…
おおっ!?
さんちゃん、おこりません。
まったく何事もなかったように食べ続けています。
いったんは後退したきなこ、ふたたび接近して、
「おいコラ」
「まだかコラ」
「よこせコラ」
計4回叩かれたさんちゃん、お皿に半分ほど残し、
もう満腹という顔で、悠然と立ち去ります。
その間、きなこには目もくれず。
…そして、しばらくしたら、わたしのところへ来て、
「きなちゃんにとられたー、とられたー」
と情けない声で訴えるのでありました。
よしよし。
(それにしても、きなこは強いなあ。
そのうち我が家で最強の猫になってしまうかも…)