となりの山の斜面のあちこちに点々と咲いていた花。
草丈は10数センチ。とても小さくて細いけれど、
茎はかたくてしっかりしている。
花の色が萩に似ている。
ヤハズソウやコマツナギのような雰囲気もある。
ということは、マメ科だな。
と思ったけれど、花の形がどうもマメと違う。
左右にひらいた2枚の花びら。
こういう形の花は、他に見たことがない。
帰ってすぐ植物図鑑を調べたが、それらしいのに行き当らない。
何の仲間か、せめて科名ぐらい見当がつかないと、
調べるのにたいそう時間がかかる。
名前をつけるなら、なんとかハギ、のような気がするけれど、
「ハギ」だけでは検索範囲が広すぎてどうにもならない。
年に一度くらい、こんなことがある。
こうなると、わかるまで気になって眠れないのである。
手元の図鑑を1ページずつめくっていってもピンとこないので、
Mのアトリエに写真の図鑑を借りにいったら、
ちょうど一番見たい「山の花」の巻が欠けていた。
あきらめきれず、「野の花」の巻をぱらぱらめくっていたら、
「あれ? これだ!」と。
(ヒトは「山」と思っているが、植物的にみれば「野」に近いらしい)
ヒメハギ。
萩とはまったく関係ない、ヒメハギ科の植物。
「初めて見た人はたいていマメ科植物だと思う」と書いてある。
そうだよねー。やっぱり思うよねー。
(この「フィールド百花」というシリーズは、解説が面白く、
臨場感があって納得できるところが、わたしには使いやすい。
すでに絶版なのは残念です)
やれやれ、これですっきり・・のはずなのだが、何かひっかかる。
ヒメハギ?
ほんとに、初めて見た、のかな? 26年も住んでいて?
うーん、もしかして、と古いファイルをあさってみたら、
こんなのが出てきましたよ。
ヒメハギと、書いてあるじゃないですか。自分の字で。
日付は1986年5月。
この頃はまだ花の写真を撮る趣味はなかった。
可愛い花で、珍しかったので、描いておこうと思った、らしい。
その後、わたしは見ていなくても、ヒメハギは、
ずっとそこにいて、毎年ちゃんと咲いていたのだ。
そういえば・・と、ぼんやり記憶がよみがえる。
当時も、いろいろ調べて、どうしてもわからず、
たまたまめくった「野の花」でやっとわかった・・ような・・。
26年後に、まったくおんなじことを繰り返しているとは。
とほほ。
ところで、ヒメハギをみつけたのは、
ウンゼンツツジを見に行く途中のこと。
公園などによく植えられている園芸品種のツツジ(サツキ)は
大きくて色がきついのであまり好みでない。
山に自生するツツジのなかまは、もっと控えめで軽やかだ。
中でもウンゼンツツジは花も葉も小さく、薄いピンクが
ひなあられのようで、とても可愛らしい。
毎年、「あ、咲いてるな」と思うけれど、場所が悪いので、
これまで花の時期にそばまで行ったことがなかった。
なにしろ、離れたところからは見えるのだけれど、
斜面の下まで行くと見えなくなる。
方向音痴で有名な閑猫がたどりつける可能性は
限りなくゼロに近い。
ということで、「このあたりの山に詳しいガイドさん」に
助けをもとめることにした。
「じゃあ、この橋渡って。左にずーっと行って。ずーっと。
はい、そこから右に上る。そうそう、もっと上。もーっと上!」
と、川岸から遠隔操作(?)してもらって、なんとか到着。
岩の上にはりつくように生えている。
すでに盛りをすぎ、花のふちが茶色くなっているのが惜しい。
大きく写っているけれど、花は直径1~2センチほど。
下にはたくさん散っていて、ぎりぎりまにあったというところ。
来年は、もうちょっと早く来てみましょう。
(追記: これを長いあいだ「コメツツジ」と覚えていたのだが、
調べてみると、コメツツジはもっと高山の植物らしい。
このピンクのは、通称コメツツジと呼ばれることも多い
「ウンゼンツツジ」らしい、ということがわかった)
本日のにゃんこ。
おつかれさまのレアル・マドリード。
(相変わらずMは「バルちゃん」と呼ぶのですが、
それはバルセロナじゃなくてお相撲の把瑠都のこと)