チエちゃんの昭和めもりーず

 昭和40年代 少女だったあの頃の物語
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第18話 初 雪

2006年12月09日 | チエちゃん
 雪虫を目撃した1週間~10日後には、必ずといっていいほど初雪が降りました。チエちゃんが住む地方は根雪になるほどの雪国ではありませんが、積雪10~20㎝ぐらいの雪が一冬に10回以上は降ります。
あの頃、12月初めの初雪が、思いがけず積雪30㎝ほどの大雪になることがありました。

  ゆきやこんこ あられやこんこ
   降っては 降っては ずんずん積もる
   山も野原も 綿帽子かぶり
   枯れ木のこらず 花が咲く

      ゆきやこんこ あられやこんこ
      降っても 降っても まだ降りやまぬ
      いぬは喜び 庭駆けまわる
      ねこはこたつで 丸くなる   

 すると、担任の小木先生は急遽、時間割を変更して「4時間目は雪合戦をするぞ!」と、粋なはからいをしてくれます。
防寒着に帽子、手袋、長靴と完全武装したチエちゃんたちは校庭に飛び出します。
クラスを敵味方の半分に分け、〝始め〟のホイッスルで一斉に雪玉をぶつけ合います。始めのうちは自分で雪玉を作り、敵に投げつけるのですが、この雪玉を作っているときが格好の標的となってしまいます。熱心に雪玉を作っていると、後ろから忍び寄った敵に襟首から雪を入れられ、
 
 ひゃあ~、 ひゃっこい(つめたい)!

ということになるのです。
そのうち、チーム内で雪玉作りグループと投てき専門グループに分かれることになります。チエちゃんは雪玉作りになることが多かったけれど、ナオちゃん は男の子を相手にして全然負けていません。

 また、チエちゃんたちは日頃の憂さ晴らしに、この時とばかり敬愛を込めて、小木先生に集中攻撃をしたりしました。
こうして、雪まみれで校庭を走り回った4時間目はあっという間に終わってしまいます。

 このあと、ストーブの周りに濡れた防寒着を並べて乾かしながら、給食を食べた後の5時間目は気持ちよくなって居眠りが出てしまうのでした。

 また明日も雪遊びがしたいなと思っても12月はまだ地面が温かく、翌日にはもうぐちゃぐちゃになって所々その名残を残すだけの初雪なのでした。