チエちゃんの昭和めもりーず

 昭和40年代 少女だったあの頃の物語
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タクシー

2009年10月10日 | チエの玉手箱
 5月に野暮用で横浜へ行った折、福島駅までタクシーを予約した。
以前なら、横浜くらい車で出かけたに違いないのだが、主人の体調を考慮して新幹線を利用することにしたのだ。
そうなると、駅までの移動手段を考えなければならない。
同居している息子は仕事なので、当てにならない。
路線バス?も考えたが、やはり、少しでも歩く距離を少なくしたいことからタクシーを選んだのだった。

 そのタクシーは、予約時間の10分前に我が家へと到着し、来訪を告げるチャイムを鳴らした。
玄関に出てみると、運転手さんは「予約時間より早めに来ましたので、どうぞごゆっくり、お支度してください。それまでお待ちしています。」と言うので、もうすっかり出かける準備はできていたのだが、焦らずにもう一度、戸締りの点検をする余裕ができた。

 いざ、タクシーに乗り込もうとすると、車外で待っていた運転手さんが乗降ドアを開けてくれ、私たちが乗り込むと丁寧にドアを閉めたのだった。なんとなく高級車に乗るようないい気分がした。
私たちがシートに落ち着くと、車をスタートさせた運転手さんが話しかけてきた。
「今どき、珍しいでしょ?」
私たちが何のことか分からないでいると、「ウチのタクシーは自動ドアじゃないんですよ。」
ああ、先の行動はそういうことだったのかと理解した。
「経費削減で、自動ドアを止めたんですよ。それで、本来のサービスをすることにしたんです。」
「じゃあ、いちいち外へ出てドアを開けるの大変ですね?」
「いやぁ、仕事ですから。ご迷惑を掛ける分、ウチのタクシーは料金が安いんですよ。」

普段車を使っている私は、タクシーに乗る機会は滅多にないのだが、気持ちの良い思いをした。
自動ドアは便利なものではあるけれど、それがないことによって運転手さんの心遣いが感じられた。

 もちろん、駅に着いた時には、私たちより一足先に下りてドアを開けてくれたのだった。



今回の記事は、『タクシー運転手、明番の戯言。』さんのブログを拝見して、書かせていただきました。