アヤコちゃん、元気だべが? 今日も戸が閉まってる・・・
整形外科へ向かう途中、母の友だちの家の前を通った時のことである。
アヤコちゃんは、あんなじっちのどこがよかったんだべ!?
結婚もしないで、げんやんっていう歳の離れた人と一緒に暮らしてたんだよ。
げんやんには本妻さんがいて、アヤコちゃんはお妾さんだな。
おらいには車がなくてどごにも行けないだろうからって、よおぐアヤコちゃんに誘わっち、あっちこっちに連れていってもらったげんちょも、げんやん、年取ってるくせに車飛ばすから、おっかなくて嫌だった。
アヤコちゃんがなんでげんやんと知り合ったかっていうとな。
アヤコちゃんは学校を卒業してすぐに、げんやんがやってた建設会社の事務員に就職したんだと。
そんで、東京だの、名古屋だの、大阪だのあっちこち出張があったらしくて、そん時いつもアヤコちゃんを連れて出かけたんだと。
そしたら、出張先では同じ旅館に泊まる訳だべ。自然とそうなっちまったのかなぁ~
アヤコちゃんの家は、母親も村長さんのお妾さんだったんだよ。
ホラ、今信用金庫になってる所に旅館があってな。母親はその旅館をやってたのよ。
あの家は二代続けて、2号さん。なんでだかねぇ~
ほんでも、アヤコちゃん家はお金持ちでな。セーラー服着てたんだよ。
あの頃、セーラー服着てる人は何人もいねがった。
わだしなんて、貧乏だったがら、ツギアテだらけの着物にもんぺで学校に通ってたんだよ。
あの家はさ、げんやんがアヤコちゃんと住むために建ててくっちゃ家なんだ。
大工さまだがら、全部自分で建てたのさ。
げんやんが死んだとき、げんやんの息子のお嫁さんから
「他所の女と暮らしているような人は、うちのお墓に入れることはできません」って言われて、
アヤコちゃん、げんやんを自分の家のお墓に入れたんだよ。
まったぐ、アヤコちゃんときたら、結婚もしないで・・・
そういう生き方もアリだと思うよ。
他人にどう見られようと自分を通すって、なかなかできない。
アヤコちゃんは母の一番のお友だちらしい。