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時悠人chosan流処世術

★行政組織の縊路

2008-02-22 14:43:04 | 日記・エッセイ・コラム

 海上自衛隊のイージス艦「あたご」と漁船清徳丸の衝突事故は、緊張感が欠如している現政府の象徴的出来事と言っても過言ではない。海上保安庁に最初の連絡が入ってから、防衛大臣・総理大臣へと報告があがるのに、なぜ長時間要したのか?これは行政組織特有の多段階で複雑な指揮命令系統に根ざしている。

 10年前、ロシア船ナホトカ号の重油流出事故が発生した時、自民党幹事長加藤紘一氏が、北陸へ視察にきた。東京へ帰る間際、小松空港で三国や輪島、珠洲等の被災地の町長とのバーチャル対談を企画した。地元電話局の協力を得て、平成8年に社運をかけて世に問うた「コーラスライン」(多地点同時電話会議システム)を無償提供した。

 超多忙な幹事長は、わずか5分足らずの時間だったが、現地の行政責任者と同時に会議ができ、思わず「これ、本当にライブなの?」と、側近に確認したそうだ。この成果に意を強くし、石川県や福井県の自治体に「緊急連絡体制は、コーラスラインで」と売り込んだが、返答は、「行政には行政の緊急連絡系統図があり、何の不都合もない」とそっけなかった。

 事故が発生した時の第一報は、事実の伝達だ。関係者が多く、複雑多岐にわたる行政組織では、多段階な連絡系統図は時間のロスを招くだけ。高度情報社会の命は、迅速な情報伝達であることを為政者はこの機会にかみしめて貰いたい。

 蛇足ながら、その後、携帯電話を無償貸与したドコモは感謝状を贈られたが、私の会社には何の返礼もなかった。携帯電話は、移動しながら連絡でき便利だというのが最大の理由だった。ただ、私自身が、「どんな時代になっても、原始的な伝達手段の音声はすたれない」と確信をもったことを記憶している。