歴代のスルタンが居城とした「トプカプ宮殿」は、70万平方㎞(東京ドームの約15倍)もの広大な敷地を誇り、4つの庭園に分かれ、それを取り囲む建物が現在、博物館として利用されている。 宮殿は、小さな建物と数多くの部屋で連なる構造となっているが、これは中央アジアの遊牧民的な伝統に基くものだとの説明を受けた。
第一の庭の奥に外廷の正門(「挨拶の門」)があり、博物館への入場口になっている。第二の庭正面奥に内廷の正門(「幸福の門」)がある。 外廷は行政と公式行事、内廷は、君主の私生活の場として使われた。
第3庭園にある宝物館には、大きなエメラルドをはめ込んだ短剣や、86カラットの巨大ダイヤ等、目を見張る宝石類が陳列されており、見学の人で長蛇の列が絶えなかった。高価な宝物類を見る度に、略奪の歴史が重なり気が重く、見入る妻を残して庭園へ逃げ出した。
三方をボスポラス海峡とマルマラ海、金角湾に囲まれた丘の上に位置する宮殿からの景色は素晴らしい。海峡を行き交う船の多さは、オスマン帝国時代の繁栄を物語るようで、往時を想像し、圧倒される思いだった。