10月18日、イスタンブール午前9時発の飛行機でアンカラへ移動した。わずか1時間のフライトで、サンドイッチとサラダにヨーグルト・ケーキまで出されたが、朝食を済ませており手をつけなかった。
アンカラからカッパドギアへ向かう途中、カイセリ近くにあるスルタンハヌの隊商宿(キャラヴァン・サライ)に立ち寄った。堅牢な石造りで、大小多くの部屋のほか、中庭にモスクも設けられた大きなものだった。が、整然とし過ぎていて、私が想像していたシルクロード時代のイメージとかけ離れていた。
さて、カッパドギアというと、キノコ頭をした奇岩を思い浮かべるが、首都アンカラを中心とした中央アナトリアの一地方名称だ。太古に火山噴火によって堆積した溶岩や火山灰が、長い年月をかけて浸食されて出来た奇岩群が、南北50㎞におよび点在している。そしてまた、密かにキリスト教文化が育まれた地でもある。
ギョレメ野外博物館にある30近くの洞窟教会には、多くのフレスコ画が残されており、密かに息を潜めていたキリスト教徒の信仰の深さを偲ばせる。また、 カイマクルの地下都市は、イスラム教徒の迫害から逃れて15,000人のキリスト教徒が暮らしたとされる地下8階建ての大規模なものだ。
内部は、生活空間だけでなく、ワイン貯蔵所の定温保持可能な換気設備も万全で、その技術力の高さに驚いた。
中東問題は、宗教と植民地支配の歴史的背景抜きに軽々に論じる愚を避けるべきだと改めて思った。