細雪・痴人の愛

2015-07-07 11:47:39 | 読書メモ
6月~7月は谷崎潤一郎の本を2冊読みました。
「細雪」と「痴人の愛」です。
 
「細雪」は、文庫本で1,000頁近くある長編です。
時は昭和10年代、お見合いで伴侶を見つけようとする雪子(3女)の縁談と
自由恋愛派の妙子(4女)に、幸子(次女)夫婦が振り回されるという内容。
ありていに言えば、婚活小説ですが、それに阪神大水害(昭和13年)や紀元
二千六百年祝賀、亡命ロシア人の話などがからめてあるので、読者を飽き
させません。
時間つぶしとして、おすすめできる本です。
 
 
「痴人の愛」は、ピグマリオン(ジョージ•バーナード•ショー作)とマノン
レスコー(アベ•プレヴォ作)が一緒くたになったようなストーリーでした。
この本を読んでいる間中、沢田研二さんのヒット曲の一節「堕ちてゆくのも
幸せだよと」が、頭の中にこだましていました。
のような女性がいるのですね。
なりたくても、なれませんが...。
 
谷崎作品、意外と読みやすかったので、他の代表作にも挑戦してみたいと
思います。

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仏文学の翻訳がもっとあれば

2015-04-27 11:17:15 | 読書メモ
ベストセラー「21世紀の資本」は仏語で書かれているのに、
日本語版は英訳本からの重訳であることを知りました。仏語の
翻訳者が日本に居ないのならともかく、こういった状況は
やはり残念です。「21世紀」は学術書ですが、フランス文学なら
もっと翻訳されてもいいはず。なのに邦訳が少ないように思います。
ジョルジュ・サンド著「ルクレチア・フロリアーニ」はショパン
関連でどうしても読みたかった本です。これも邦訳がないので、
英語で四苦八苦しながら読みました。

とはいえ、コロ子の知っている関西の女子大二校は、仏文科の
学生募集を停止してしました。仏文科の大学院を出ても、教員
のポストは確実に減っていると思われ、これまた寂寞感が漂います。
 
コロ子は小さい頃、デュマの「三銃士」や「モンテクリスト伯」を
夢中で
読んだ覚えがあります。大人になってから読んだ本では、
コクトーの「恐るべき子供たち」が印象に残っています。昨年
山口二郎氏がこの本を下敷きに(したと思われる)コラムを
東京新聞に
書いていました。山口氏の文を読んで興味を持たれた

方は、「恐るべき子供たち」ご一読をおすすめします。

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F. Scott Fitzgerald Reading John Keats (Ode to a Nightingale)

2014-11-02 16:53:07 | 読書メモ

昨日は雨の中外出しました。
戸外を歩いている間は雨が小降りになることが多く、
ラッキーでした。
今日も曇天で湿度が高かったのですが、日中は薄日も出ました。
もう11月ですね。お年玉付き年賀状が発売されたとか。
1年経つのが早すぎっ。そう感じるのは年取ったせいかしら。
今年を振り返るのはまだ早すぎるけど、とにかくF.スコット.
フィッツジェラルドの本をたくさん読みました。
最後の長編The Love of the Last Tycoonを読み終え、感想を日記
にメモしておきたいと思いつつ、未完の作品に感想を書くのも
どうかと思い、しないことにしました。
Youtubeにフィッツジェラルドの詩の朗読がupされていました。
フィッツジェラルドの声、コロ子が想像したとおりです。

F. Scott Fitzgerald Reading John Keats (Ode to a Nightingale)


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Bilphismって

2014-08-08 09:57:58 | 読書メモ

The Beautiful and Damned
7月半ばから読み始めて、読了するのに3週間かかりました。
途中で挫折すること無く最後まで読めたのはstorytelliingが巧かった
からですが、文学作品として考えた場合、私は前作(This Side of 
Paradise)の方が上と思います。

物語は主人公アンソニーが若く美しいグローリアと結婚するまでと、
2人の
結婚生活を軸に、遺産相続問題やアンソニーの出征などを
からませてあります。
定職を持たないアンソニーと浪費家の妻グローリアのゴージャス?
(はちゃめちゃ)なライフスタイルを維持するには、祖父の遺産を相続
することが前提でした。それができないと解った時点で、方向転換が
必要でしたが、2人はそれを拒み裁判で争うことを選択します。裁判は
長引き、下級審では敗訴、時間とともに2人の生活は荒んで行きます。
最後にどんでん返しがあり、上級審で逆転勝訴し、経済的には
救われますが...。
アンソニーは祖父の財産を使い切るほど長生きできるでしょうか?

今回The Beautiful and Damnedを読み終えたので、フィッツジェラルド
の長編の未読は「ラストタイクーン」だけに
なりました。先日ebookを
買った後、邦訳が出ていることに気づき、
翻訳で読むべきか、時間が
かかっても英語で読むべきか迷っています。
 
作品とは全然関係ないですけど、作中出て来たリステリンの話をちょ
こっと
書きます。
 
グローリアは、映画界入りを目指してテストを受けます。試験の結果を
待つ間大変ナーバスになって、口の中を噛み、皮がむけリステリンで口
すすぐと我慢できないほどひりひりする、というシーンがあります。
 
 この作品が出版された1922年にリステリンがあったのだ!
 
調べてみると、1914年にはリステリンがマウスウオッシュとして販売
されて
いたことが解りました。リステリンって、100年のロングセラー
なんですね。もちろん
当時はペットボトルには入ってなかったと思い
ます。

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4月~5月に読んだ本

2014-05-23 13:55:36 | 読書メモ

F. スコットフィッツジェラルドの俄ファンになり、村上春樹訳の短編集を
1冊、そしてデビュー作のThis Side of Paradiseを原書で読みました。
感想をちょこっと書いておきます。


冬の夢(短編集) 訳者村上春樹(中央公論社)
 
冬の夢 
村上氏の評価は高いですが、コロ子はイマイチでしたね。
デクスター、ナイーブすぎです。
 
リッツくらい大きなダイアモンド
この話、意外にリアルに感じられました。ブラドック・ワシントンみたいな人、
アメリカにはいますよ。
 
ベイビー•パーティー
最後はハラハラドキドキでした。イーディスは階段から転げ落ちないか、心配
しましたもの。マーキー夫婦は何をしに来たんでしょうね、読者の想像力が
かきたてられる
作品です。
 
 
This Side of Paradise
邦訳で読みたかったのですが、手に入らなかったので、iBooksでダウンロード
して読みました。著作権が切れているせいか?安いです。9作品で50円でした。
10日ほどで読了。
作品には詩が随所にちりばめられていたり、drama(戯曲)風な
チャプターが
あったりと、読者を飽きさせません。ただ、最終章で主人公
Amoryがsocialist
idealsを語るのを読んだ時、フィッツジェラルドの別の面を
見たような.....そして、
なぜこの本の邦訳が絶版となったのか解ったような気が
しました。
(なお、iBooksを読むためにOS X Mavericksをダウンロードしました。飼い主が
サポートセンターのお兄さん代わりとなって、一連の作業をしてくれました。
大変感謝しています。)

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Babylon Revisited

2014-04-11 11:15:57 | 読書メモ
フィッツジェラルドの「夜はやさし」に続いて、「グレート・ギャツビー」、
「バビロンに帰る」を読みました。
深夜まで熱中してしまったため、今日は朝からふらふらです。
村上春樹氏の日本語訳が良かったのかも知れませんが、以前ギャツビー
読んだ時に気づかなかった、灰の谷やギャツビー邸のプールが意味
するものに、思いをめぐらせました。
 
「バビロンに帰る」では、チャーリーに感情移入して泣きました。
ただし、マリオン・ピーターズの考えも理解できます。バブル経済に
無縁だった人は、バブル時代にどんちゃん騒ぎしていた人に厳しい。
バブル崩壊後の日本でも見られた光景です。
 
フィッツジェラルドの作品、もっと読んでみようと思います。
村上訳は苦痛なく読めます。
それに加えて面白いのは、訳者あとがきでしょう。

「グレート・ギャツビー」 翻訳者として小説家としてー訳者あとがき
から引用(中央公論新社 p349~350)

一九三〇年代の後半には『グレート・ギャツビー』は一時的に
絶版になり、
ある年の彼の印税収入総額はたったの三十三ドルに
過ぎなかったのだ! 
その一方でヘミングウェイは文化的英雄と
なり、若者たちに崇拝され、世界的に圧倒的な名声を博していた。
 しかし戦後になって、ヘミングウェイの文学的評価が徐々に
低下する(あるいはその過大評価が是正される)一方で、何人
かの文芸評論家を中心とする、
フィッツジェラルド文学のドラマ
チックな再評価運動が起こり、その結果今ではその文学的名声は
ほとんど揺るぎないものになっている。たしかに今読み返して
みると、ヘミングウェイの長編小説の経年劣化の速さには、いさ
さか驚かされるところがあるし、それに比べれば『グレート・
ギャツビー』の踏みとどまり方はまことに見事というしかない。
その芸術性はいささかのほころびもなく直立している。ヘミング
ウェイの長編小説の最高作は、僕に言わせれば『日はまた昇る』
だが、それも今となっては『グレート・ギャツビー』に比べると
明らかに一段落ちる。よく「人の評価は棺桶の蓋を閉めてみない
ことにはわからない」と言われるが、棺桶の蓋を閉めてから
ずいぶん時間が経過したあとでも、まだ評価が定まらないことも
あるのだ。
 
コロ子禿同。ノーベル文学賞選考委員、今頃後悔しているかも。

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夜はやさし

2014-03-29 09:36:36 | 読書メモ

学生時代テキストとしてBabylon Revisted(バビロン再訪)と
The Great Gatsbyを与えられ、読んだのですが、消化不良の
まま終わり、以後フィッツジェラルドの本は意識して避けて来ました。
近頃、飼い主に促されて、夜はやさし(Tender Is the Night)を
読むことに。期待はしていなかったのに、すっかりはまってしまい
ました。不思議ですね~。作品を読みながら、フォークナーの
「響きと怒り」を思い出したり、E.M.フォースターの「モーリス」
が蘇って来ました。「夜はやさし」は、これらの作品に肩を並べる名作
だと思います。

フィッツジェラルドを読みふけっている間、新聞を読むことさえ
忘れていました。
久しぶりに今朝朝刊を見ると、マスコミの関心は割烹着から
酉の市の熊手に移っていたのでした。あの大騒ぎは何だったんですかねぇ。

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2月に読んだ本

2014-03-07 10:27:51 | 読書メモ

芥川賞は純文学と聞いていたので、中々手を出す気になれ
なかったのですが、ひょんなことから鹿島田真希さんの芥川賞
受賞作「冥土めぐり」を読んでみることに。

一気に読了。無我夢中で読みました。
現代日本社会って、奈津子の母や弟みたいな人たち、思いのほか
多いですね。
コロ子の親族にも主人公・奈津子の弟に酷似した人物がいます。
奈津子の言う「あんな生活」は確かに拷問。幽霊はこちらから
振り払おうとしても、やってくるので厄介です。
幽霊の言葉を真剣に
受け止めて思い悩むのではなく、絵画を見る
ような気持ちで眺める。

これって良いかも。


最近映画化された中島京子著「小さいおうち」。
家事そっちのけで一日でイッキ読み。太平洋戦争に関して書かれた
ものはこれまで何冊か読みましたが、
銃後の生活がメインに描かれた
作品を読んだのは初めてで、とても
新鮮でした。
本格的に本土に空襲が始まるまでは普通の暮らしが
あったのだと、
意外な思いでした。

 当時のイノセンスと今のイノセンス、あまり違わないような...
そんな悪い予感が心をよぎりました。


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李歐

2013-11-18 10:15:30 | 読書メモ
先月コロ子の実家で一悶着あり、落ち込んでいたところ
飼い主が「気晴らしに読んでみたら」と言って渡してくれた
のが、高村薫著「李歐」です。
 
題名からして気が進まなかったけど、読み始めると一気に引き
込まれ、今朝洗濯物を干すのも忘れて読了しました。

読書感想文を書けと言われたら、一行で終わりです。
「千枚漬は開けたらあかん」って。

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野菊の墓に感動した頃

2012-12-02 11:10:11 | 読書メモ

コロ子の住んでいる多摩地区では、今あちらこちらに
野菊が咲いています。

これを見ると、伊藤左千夫の短編「野菊の墓」を思い出さずに
いられません
。中学生の頃、涙を流しながら読んだ本です。
時が流れ、 コロ子も変わりました。
今読むと、単純なプロットに、つい吹き出してしまいそうな気が
します。
 
中学生の頃熱心に読んだもう一冊の本、野坂昭如著「アメリカ
ひじき・火垂の墓」は、何となく
読み返す気になり、本棚から
引っ張りだしてみました。

あの頃は「火垂の墓」に感動したけれど、今は「アメリカひじき」
の方が断然出来が良いと思うし、野坂らしい
作品と思います。
 

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