昨日 NHKラジオ・夕方ニュースに大沢真理氏(東京大学教授)が
出演され、お話されました。興味深かったので、メモします。
日本の格差はどこまで広がっているか 格差問題を考える
・日本の格差の現状
日本の貧困率は、一億層中流と言われた80年代でも(国際的に
見て)低くはなく、その後着実に上昇してきた。結果として米国に
次ぐ貧困率の高い国になった。要因として、金融の自由化と経済の
グルーバル化などが挙げられる。同時に、資産を持っている人、
高所得者、企業の税負担を軽くし、その分消費課税や社会保険料
負担が増大したためである。しかも、日本の社会保険料負担は逆進性
があるため、低所得者にはより重い負担となっている。
・格差が拡大すると、社会にどういう問題が出て来るか?
格差が大きい社会では、恵まれた人々でさえ健康寿命が短くなる、
という研究結果が出ている。高所得者は「いつ足をひっぱられるか、
蹴落とされるか」に苛まれ、恵まれない人々には「自分は虐げられて
いる」という意識がひろがり、他人を信頼しにくい社会が醸成される。
それは、災害などからの回復力の低下ももたらす。格差の大きな社会
の問題は、決して恵まれない人だけの問題ではない。ここが重要。
「努力した人が報われる社会」という主張があるが、努力をする
ための足場さえ与えられていない子供たちがいる。
努力は何の土台もなしで出来るわけがないのだ。
OECDの調査によると、格差が拡大すると経済成長が阻害されることも
明らかになった。原因は、恵まれない人々が自分や子供の教育・訓練に
投資する余裕が乏しくなり、進学できたとしてもアルバイト等に忙殺され
ドロップアウトしてしまう。結果的に社会全体の人材が薄くなり成長率が
下がるというもの。
・格差是正のためにどういう対策が必要か?
ピケティは資産、資産所得に累進的な課税を提案しているが、
日本では、株の売買差益にかかる税がとても優遇されているので、
これを是正するのはありかも。恵まれない人々へ、児童手当、家賃補助
の充実も有効。