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「美女と野獣」(2017年 アメリカ映画)

2017年06月11日 | 映画の感想・批評


 18世紀のフランスで誕生した「美女と野獣」の物語は、時代を超えて文学や映画、TVドラマ、舞台、バレエなど様々な形で感動を生み出してきたが、なかでも印象深いのは1991年に公開されたディズニーのアニメーション版。アカデミー賞作品賞にノミネートされたほか、オリジナル作曲賞,主題歌賞の2部門を受賞。その曲はブロードウェイミュージカルとして舞台化された時にも使われ、今回の完全実写版で3度目のご披露となるが、全く色あせることはなく、だれもが親しみを込めて口ずさんでしまう。♪BEAWTY AND THE BEAST~~♪と。これぞまさしく名曲だ。
 主役のベルを演じるのはエマ・ワトソン。ハリー・ポッターシリーズのハーマイオニー役として10年間活躍し、エマ・ワトソン=ハーマイオニーという感があったが、27歳のレディに美しく成長した現在、このベル役も、彼女の代表作として人々の記憶に深く残ることになるだろう。それほど役になりきっている。また、野獣に扮するダン・スティーヴンスをはじめ、ルーク・エヴァンス、ユアン・マクレガー、イアン・マッケラン、エマ・トンプソンなど、イギリス出身の舞台経験が豊富な演技派たちが脇を固めていて、この作品の重厚度を高めている。
 4半世紀も前のアニメ作品が今なぜ実写化なのか、監督のビル・コンドンは、それはこの25年間の映像テクノロジーの進化が与えてくれたものだと語っている。今が絶好のタイミングだというのだ。特にあの野獣が実写化されたらどのようになるのか興味津々だったのだが、何でも野獣に関しては、同じシーンを体全体の動きと、顔の表情だけに分けて2度撮影し、デジタル処理したそうで、何とも自然な仕上がりに感心させられた。その青い瞳に吸い込まれるように魅了されていくベルに共感しつつ、ラストはベルの愛を受け止めて、原作通りイケメン王子にめでたく変身!別に野獣のままでも十分心は通じ合っていたはずだが・・・、そこは定石破りとはいかなかったようだ。
 とにもかくにも、興行的には大成功で、興行収入も本年度初の100億円を突破。さあ、どこまで記録を伸ばせるか楽しみだ。
(HIRO)
 
原題:BEAUTY AND THE BEAST
監督:ビル・コンドン
脚本:ステファン・チボスキー、エヴァン・スピリオトプロス
撮影:トビアス・シュリッスラー
作曲:アラン・メンケン
作詞:ハワード・アシュマン、ティム・ライス
出演:エマ・ワトソン、ダン・スティーヴンス、ルーク・エヴァンス、ケヴィン・クライン、ユアン・マクレガー、イアン・マッケラン、エマ・トンプソン