あけましておめでとうございます!
シネマ見どころをご覧いただきありがとうございます。
年始早々の当番に、緊張もしつつ、今年も好き放題にアロママ節で感想を書かせていただきます。
お正月と言えば寅さん!
本作が50本目!
かつてはお盆とお正月の、年二本を公開していたというのだから、驚きです。
気づいたら、いつでも寅さんが傍にいたような・・・・・リアルに観てきた世代の端くれ。
全作品を見たわけではないし、特に満男と泉の物語をすっぽり抜かしていたので、ほう、こういう青春時代を過ごしていたのか、満男君!
と、弟か甥っ子の成長を見るような感覚になりました。
物語は現代。
寅さんの甥っ子の満男は6年前に妻を亡くし、中学3年生の娘ユリとマンションで暮らしています。この娘ユリちゃんが何ともいい子!パパ思いだし、家事もちゃんとやってのける。寝坊したパパを起こしてくれるし、居眠りしたパパにパジャマを持ってきてくれる。さすが、さくらさんの孫娘!
さくらおばあちゃんとのやり取りも温かい。お布団に一緒にくるまってじゃれている姿は幼くして母を亡くした娘と、静かに母替わりを務めてきた祖母との時間を見事に背景に取り込んでいる。
反発したであろう満男と父博の関係性も温かい。それもこれも、困った時に必ず「助けてくれる」伯父の存在の大きさを想わせてくれる。
第1作あたりで、若き博とその父の確執が描かれていたらしいので、ぜひDVDで観てみたい。あの志村喬が父親らしい。知性ある人として描かれた博がなぜ高卒で町工場に勤めることになったのか、ああ、無性に知りたい!
綺羅星のごとく、懐かしい女優さんたちが登場してくる。過去作品の全員が登場したのだろうか!
個人的に、芸者のぼたんさんが顔を見せてくれたのがうれしくてたまらない。太地喜和子、大好きでした。
現役の人として、リリーこと浅丘ルリ子が登場。出演回数が一番多く、しかも一番寅さんと近かったとも言える存在。
なのに、実はリリーさんの映画も観ていない!
寅さんを語るには私はふさわしくないかもしれない。
しかし、そんなことをすっとばかしてでも、初めて寅さんを知る人にでも、この作品は寅さんの入門にもなりえる。
そんな普遍性を持っているとも思う。
吉岡秀隆、それほど好きではなかったが、今作品は彼の積み重ねの上にこそ在るので、彼以外には演じられない。もちろん、両親のさくらと博も。
かくも長い時間を現役で俳優をやってきた出演者たちに敬意を感じるし、衰えることのない創作意欲と日本の家族の普遍性を見せてくれる監督にも拍手を贈りたい。
リアル我が家はお正月らしいことは一つもせず、いつも以上にグダグダ。これがいいのかどうなのか、大いに疑問に思いつつ、それでも2019年の大晦日に(28日にも息子と観たのだけど)、一人静かに「寅さん」を見られたことは良かった!自分へのご褒美にしようと思いました。
2020年、今年もいっぱーい、いい作品に出会いたいです!
(アロママ)
原作、監督 山田洋次
脚本 山田洋次、朝原雄三
撮影 近森眞史
出演 渥美清、倍賞千恵子、吉岡秀隆、後藤久美子、前田吟、他