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「ピーターラビット2/バーナバスの誘惑」(2021年、アメリカ、オーストラリア、イギリス)

2021年07月14日 | 映画の感想・批評
世界的に大人気の童話「ピーターラビット」シリーズ(ベアトリス・ポター作)、2018年公開に続き、2作目の実写版。
続編ははずれが多いけれど、それなりに楽しかったし、ウサギのもふもふ感は本当によく表現されていて、おもわず触りたくなる。動物と人間の動きがとてもスムーズで、本もののウサギたちが走り回っているのかしらと錯覚するくらい。
そして、前作でも思ったこと。マクレガー氏がピーターに飛び蹴りされ、ボコボコにされるシーンを、俳優さんはひたすらグリーンシートの前で脳内補完しながら演じていたのかと思うと、頭が下がる。1作目ほどはひどい目に合わずに済んだことは良かったのだけれど。

冒頭に、うさぎのピーター兄妹と従兄たちを可愛がってくれる大好きなビアが晴れて、マクレガー氏と結婚式を挙げる。そこでの誓いの言葉は「ピーター達の良き親になる」というもの。ピーターはとりあえずは祝福するが、マクレガー氏はピーターにばかり厳しいし、悪さをしていないのに、誤解されてばかり。
ビアの描く童話とイラストが大手出版社に見いだされ、夫妻とピーター一家は列車で都会にお出かけすることになる。
ゼリービーンズを食べ過ぎると危険になることも知っておこう。列車の窓から外を見るには遠くに視線を飛ばすことも覚えておこう。

ピーターは都会でギャングうさぎのバーナバスに出会う。
マクレガー氏に叱られてばかりでふてくされていたピーターは、「人間をからかうのが楽しい!」と浮かれているうちに、バーナバスの窃盗団の仲間にされていく。「みんなのためになる正義の計画」とバーナバスに説得され、ついには妹たちや仲間の動物たちも街に呼び寄せ、とんでもない事件に巻き込んでしまう。

ピーターは本当にワルになってしまったの?

ビアとマクレガー夫妻の助けを借りて、仲間の動物の救出作戦劇は、痛快アクション!
ビア自身が自分のイメージと違っていても「これが売れて、動物たちとの生活が守れるなら」と編集者たちに書かされたスパイアクションそのもの。
無事に仲間の動物たちみんなを救出し、悪党一味のバーナバスから盗品も取り戻し、元のお店に返すことができ、めでたしめでたし。
「これからはちゃんと家族に相談するよ」と、素直に謝るピーター。
ビアもマクレガー氏も、ピーター達をペットとしてではなく、大切な子どもたちとして扱う。人も動物も家族のように思いあう温かさこそが、この作品の良さ。
ピーターの悪ぶる姿に、思春期の子どもを重ねてズキっと思う親世代や、理解されずに拗ねてしまっても、ちゃんと家族に守られている幸せを子どもたちも感じ取ることができそう。自分らしさを大切に、それを認められることで成長できる、大人も子どもも、人も動物も。

しんどい時は笑える作品を見るべきと勧められて観た「地獄の花園」がことごとくすべって、自分らしくない選択をしたことにも怒りがわいてきた先月。
「ピーターのおかげで、気持ちは晴れました」、めでたしめでたし。
(アロママ)

監督:ウィル・グラック
脚本:ウィル・グラック、パトリック・バーリー
原作:ベアトリクス・ポター
撮影:ピーター・メンジース・ジュニア
出演:ローズ・バーン、ドーナル・グリーソン、デビッド・オイェロウォ、マーゴット・ロビー、エリザベス・デビッキ