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「インディ・ジョーンズと運命のダイヤル」(2023年 アメリカ映画)

2023年07月19日 | 映画の感想、批評


 ハリウッドスターの中でお気に入りは誰?と聞かれると、最初にあげられるのが「ブリット」や「栄光のル・マン」がかっこよかったスティーブ・マックイーン。その後「明日に向かって撃て」を観てロバートレッドフォードのファンになり、「スター・ウォーズ」シリーズでハン・ソロ役に注目した後、「インディ・ジョーンズ」シリーズが決定打となってハリソン・フォードに落ち着いた。それから後は“ファン”だといえるスターに出会うことはなくなったが、(それだけ年をとったということか・・・)そのインディ・ジョーンズが15年ぶりにスクリーンに帰ってきた。すでに本年度カンヌ国際映画祭でワールドプレミアが行われた時、「エブ・エブ」で主演男優賞を受賞したキー・ホイー・クアン(第2作「魔宮の伝説」で共演)をハリソンが祝福に駆けつけるというサプライズシーンが話題になり、公開が待ち望まれていたのだが、ファンにとって大満足のできだったか、否か??
 今回の舞台はまず、第二次世界大戦真っ只中の1944年に始まる。その時インディは宿敵ナチス・ドイツの城に囚われていたのだが、ハリソン・フォードがとてつもなく若い、若い!!どのようにして撮ったのだろう?特殊メイクでもしているのだろうかと思ったが、その動きや声は明らかに本人。後から知ったのだが、この若きインディの再現は最新のデジタル技術で実現できたそうで、ルーカスフィルム社が保有する「インディ・ジョーンズ」「スター・ウォーズ」出演当時の数百時間分の映像を検索して、撮影当時79歳のフォードが演じた映像をもとに、角度や明るさが一致するショットを探し出して活用したそうだ。これが今.ハリウッドの俳優組合が問題視して、ストライキにまで発展しているAI技術のことかと納得。もちろん、今回ハリソンはその発想に驚かされると共に、非常に魅力的に活用されたと判断してOKを出したとか。
 その後舞台は25年後の1969年に。インディも70歳、今や定年退職を迎える身に。この設定なら、ハリソンも現実の姿で大丈夫だ。しかし、世の中は彼をゆっくりさせてはくれなかった。旧友の娘ヘレナ・ショウが現れ、亡き父親の人生を狂わせた歴史を変える力を持つ”運命のダイヤル”を一緒に探し出してほしいというのだ。ところがこの“運命のダイヤル”を探していた人物が他にもいたから面白くなってくる。ナチス崩壊後にアメリカに渡り、NASAのエンジニアとして活躍中のユルゲン・フォラーが、ヒトラーが犯した失敗を修正し、歴史を変えようとしていたのだ。このような人物は、実際にもいたようで、優秀な頭脳が有効活用されるのは非常にいいことなのだが、”よりよい世界”とはいかなるものかを冷静に考えて行動してほしいもの。
 この“運命のダイヤル”、時空を越えるにしてはいささかちゃちな物に見え、また行った先も予想外でびっくりなのだが、考古学者にとって、時空を越えた実際の姿を自分の目で確かめることができるというのは夢のまた夢、ついに望みが叶った瞬間だったに違いない。
 今回は監督を降り、製作総指揮に回ったスティーヴン・スピルバーグをはじめ、1作目から製作総指揮を務めるジョージ・ルーカス、音楽担当のジョン・ウィリアムズと、そうそうたるレジェンド達に見守られ、大役を任されたジェームズ・マンゴールド監督、これがインディ・ジョーンズの最後の冒険とばかりにノンストップで山場をいくつも用意。中にはこれまでの作品を思い起こさせる場面も巧みに入れて、ファンには特盛りの大サービス!!
 インディ、お疲れ様です。これからは愛する人とゆっくり人生を楽しんで・・・おっと、インディの冒険は終わっても、ハリソンの俳優としての冒険はまだまだ続く。これからも楽しみにしてます、往年のファンより!!
 (HIRO) 

原題:Indiana Jones and the Dial of Destiny
監督:ジェームズ・マンゴールド
脚本:ジェームズ・マンゴールド、ジェズ・バターワース、ジョン=ヘンリー・バターワース、デヴィッド・コープ
撮影:フェドン・パパマイケル
出演:ハリソン・フォード、フィービー・ウォーラー=ブリッジ、マッツ・ミケルセン、ジョン・リス=ディヴィス、アントニオ・バンデラス、カレン・アレン