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「身代わり忠臣蔵」(2024年 日本映画)

2024年03月06日 | 映画の感想・批評
 タイトルに「忠臣蔵」と付いているが、あの有名な“忠臣蔵”を、独自の視点で描くオリジナルストーリー。実は吉良上野介には身代わりがいて、その身代わりがお家存続の危機に対して、大芝居をやってのけるというストーリーである。“忠臣蔵”は赤穂側の目線で描いていると思っていたが、吉良側の目線で描いていたのに驚いた。
 従来通り(?)、嫌味たっぷりの吉良上野介(ムロツヨシ)が、江戸城内で赤穂藩主浅野内匠頭から切りつけられる。浅野内匠頭は即刻切腹。赤穂藩は取り潰し。でも、喧嘩両成敗のはずが、吉良上野介にはお咎めなし。それに怒った大石内蔵助(永山瑛太)はじめ赤穂浪士達が、幕府にお家存続の願いを出すが、聞き入れられず。討ち入りを予想した幕府は、吉良上野介を江戸城外に引っ越しさせる。後は、お前が何とかしろということ。さあ、そこで、身代わりの登場である。ここからが本格的なオリジナルストーリー。身代わりは吉良上野介そっくりの弟吉良孝証(ムロツヨシ二役)である。天性の明るいキャラと人間味溢れる視点で、幕府を騙してお家存続させる・身内を騙して兄の身代わりをする・敵の筈の大石内蔵助と共謀し討ち入りを中止させる、この3つの問題に挑むことになる・・・。
 本来の“忠臣蔵”の登場人物は同じでも、筋書きはかなり違う。よくここまで奇想天外なストーリーが出来たなと感心した。ベースは残しつつも、全くのオリジナルと言っても良い。原作も脚本も担当したのは、『超高速!参勤交代』や『引っ越し大名!』の脚本も担当された土橋章宏氏。この2作品は未見なので、是非、観てみたい。ただ、ラストに討ち取った吉良の首をラグビーボールに置き換えるシーンは、少し悪ふざけが過ぎた感があった。 
 ムロツヨシのテレビで見るキャラクターと役柄が一致しているので、安心して観られる。演技ではなく、本人のキャラクターそのままという感じ。2時間笑って、時にはほろりとして、映画を楽しむには間違いのない1本。また、CMで度々見る林遣都を映画館で観るのは初見だと思うが、キャラクターと風貌が合っていて、とても良かった。
 余談ですが、背中を斬られることは恥と捉えられることを始めて知った。相手に背中を向けたというように捉えられるということらしい。そういえば、木村拓哉主演ドラマ「教場」でも同セリフがあった。侍イズム警察イズムなのか。真偽の程は分からない。
(kenya)

監督:河合勇人
原作:土橋章宏『身代わり忠臣蔵』
脚本:土橋章宏
撮影:木村信也
出演:ムロツヨシ、永山瑛太、川口春奈、寛一郎、森崎ウィン、本田力、星田英利、板垣瑞生、廣瀬智紀、濱津隆之、加藤小夏、野村康太、入江甚儀、野村麻帆、尾上右近、橋本マナミ、林遣都、北村一輝、柄本明