勿忘草 ( わすれなぐさ )

「一生感動一生青春」相田みつをさんのことばを生きる証として・・・

13回忌

2012-06-17 23:20:27 | Weblog
 その日の朝まで仕事の図面を描いていた兄が突然倒れ、帰らぬ人となったのは12年前。肝臓がんの手術をし、入退院を繰り返しながらも明るく振舞い、周囲を笑わせていた兄に、がん患者の暗さなどどこにも見当たらなかった。娘の結婚式でバージンロードを歩く兄の顔は、多少黒ずんでいたものの、嬉しさに満ち溢れていた。兄が倒れたのはその一ヵ月ほど後のことだった。手当ての甲斐もなくその日のうちのお別れとなったのだ。


 実家で行われた兄の13回忌の法要を済ませ、歩いて数分程の墓地でのお参りは総勢14人。兄の家族、兄弟とその連れ合いに欠けた者はいない。


 早朝に降っていた雨も上がり、心配された天気は回復し、墓参り後の会食も弾む話に時間が経つのも忘れるほど。賑やかなことが好きだった兄も、細い眼を更に細めてどこかで見ていたに違いない。


 人は二度死ぬ、といわれる。一度目は肉体が滅びた時。二度目は、誰からも忘れ去られ、思い出してくれる者がいなくなったその時、永遠の死が訪れるのだと。墓地から見える秩父連山の山々が、時を経ても昔のままの姿を見せていた。兄の明るい笑顔のように。。。