歩くたんぽぽ

たんぽぽは根っこの太いたくましい花なんです。

ニシコリケイの闘い

2016年05月30日 | 日記
スポーツ観戦は好きだ。

両親の影響である。

しかし熱狂する程のめり込む訳でもない。

入れこんだスポーツがあるというよりは、

そのとき面白ければ観るといった感じだ。

ミーハーでいいとこ取りなのは何に関しても同じ。

昨年は何といってもラグビーワールドカップに胸を熱くし、

つい最近ではサッカー岡崎の属するレスター優勝に湧いた。



自主的にスポーツ観戦した最初の記憶は高校三年生の夏、

甲子園のハンカチ王子とマーくんの戦いだったかもしれない。

見始めるとなんだって面白いのだけど、

観る気がない時は人に誘われても全く心揺れない。

自分勝手だけどいつも応援している訳ではなく、

目に留まったら単発的に応援するのだ。



ここ数日はテニスの全仏に注目していた。

錦織圭は今回とても調子がいいらしく期待が集まっていた。

4強のフェデラー、クレーコートの覇者ナダルはいないが、

グランドスラムであることには間違いない。

しかし結果は4回戦敗退

3回戦ベルダスコ戦はタフなフルセットを制し、

4回戦フランス勢唯一残ったガスケとの戦い。

強かった、1-3でベスト8ならず。



私は全体的になんとなく日本人選手を応援しているし、

その中でも錦織圭はなんとなく勝つものだと思っていた。

しかし負けた。

なんとなくなんていうことはないのだと反省した。

錦織選手はいつも全力で闘っているし、相手選手も全力なのだ。

なんて無責任な考え方をしていたのだろう。

当たり前の様に強いなんてこともない。

強くあるために全力なのだ。

当たり前のことかもしれないけど実感がないから気づかなかった。

錦織圭の闘いに改めて出会った2016年の全仏だった。


ガスケとの握手
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若冲断念す。

2016年05月24日 | 日記
選択の分岐点に立たされたときよく人はこのように言う。

「行動しないで後悔するより、行動して後悔しろ。」

いい方は違えどニュアンスはだいたい同じだ。



巷では4月22日から5月24日(今日)まで上野で開催された、

誕生300年記念の若冲展が話題になっている。

これは絶対に行こうと決めていた。



基本的に人気のある展覧会は会期の前半は混むので行かない。

そしてそろそろかと思って改めて調べたのが4日前、いくらなんでも遅い。

開催期間は1ヶ月と他に開催される様々な大型展覧会に比べ短かい。

焦って行く準備をしていたときにハッとした。

土日を挟んでいる、、実質的にチャンスは最後の2日しかない。

そして昨日行けず本日最終日、

公式ホームページを検索すると「待ち時間120分」と表示されていた。



上野の美術館の入園待ちには苦い思い出がある。

2012年の夏から約半年間開催された「ツタンカーメン展」に行った時のことだ。

8月後半、友達と浅草か何処かに行こうとして高速の降り口を間違え偶然行った先が上野。

その場の勢いあまりほんの軽い気持ちでツタンカーメン展に行くことにした。

それが子どもの夏休みと重なり2時間(体感)くらい炎天下で待たされたあげく、

やっと建物の中に入れたと思ったら扉で仕切られた一区画に

ぎゅうぎゅうにつめられたままそこでも長い時間待たされた。

満員電車よりたちが悪いのはどれだけ時間を要すれば解放されるのか検討もつかなかったことだ。

展覧会自体人が多すぎてろくに見れなかった。

あの時友達がいなかったらきっと途中で断念していただろう。



そういう訳で、若冲展の120分待ちには目がくらんだ。

5月だというのに気温はとても高く、私が一人で立ち向かえる状況ではない。

暑さと待つということに対する耐性が本当にか細くて我ながら情けない。

結局、若冲なんだからまだ機会はたくさんあるさと諦めてしまった。

何をするにもぎりぎりで自分でも困る。



このようにブログという形で文にしている時点でかなり後悔しているのだろう。

選択の分岐点なんて大げさな物でもないが、やっぱり行動して後悔の方がよかったかな。

まったく、なんで「後悔」というものはこうもつきないのだろうか。



とにかくはやいうちに忘れよう。

なんのこっちゃ。

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笑えない冗談

2016年05月08日 | 日記
私は変わった習性を持っている。

それはお腹がすくと頭が痛くなるというものだ。



発見したのは同居人、「お腹すいてるときいつも頭痛いって言ってるよね。」

そんな馬鹿なと思いつつ何日か経過を見ていると、言われた通りだった。

そして空腹を満たすとその頭痛はすっかりなくなっている。

それからというもの、私の冗談みたいな習性は笑いの種になっている。

余程食い意地のはったやつなのだと。



昨日のこと、またどこからともなく頭痛がやってきた。

すると示し合わせた様に今度はお腹がぐうっと鳴った。

ご飯を食べようと思ったのだが頭痛がいつもよりひどくて食欲が失せてしまった。



少し嫌な感じがしたのでダメ元でネットで調べてみると案外すぐに出てきた。

今まで特質だと思っていた症状は、食生活の不規則な人によく見られる低血糖が原因だった。

低血糖とは血糖値が正常な変動幅を超えて低いほうに傾き、それによる症状が現れた状態を言う。

簡単に言うと、生体にとってエネルギーが不足している状態を体が伝えるための症状。

以前ダイエット癖のある友人が目眩がすると言っていたのもきっと低血糖が原因なのだろう。

私はダイエットもしていないし小食でもないが、食事の時間や量、食事内容はいつもまちまちでかなり不規則と言える。

何かをしていて面倒だったり出かけていたりすると食べなくても平気だった。

しかし、実際の体は思っている以上にダメージを受けやすいということだ。



最近体について思うことが2つある。

1つ目は、体は人によって全然違うということ。

歯医者に行ってよく言われるのが、自分の歯に合った歯ブラシを使ってくださいということ。

そうしなければ、どんなに高い歯ブラシを使っても意味がないらしい。

つまり、大切なのは自分の体を知ること。


そして2つ目は、改善のためには続けることが大切だということ。

人は安易に即効性を求め急激な変化を持ち込もうとするが、それでは結局続かない。

ほとんど運動をしてこなかった人が、体力をつけるために毎日10キロ走るというのは無理がある。

走りたいのであれば走れる距離を走ること。

一番の目的は、少しずつでもいいから続けるということなのだ。

いずれも当たり前のことだが、自分で実感しない限り改善しようなどとなかなか思えない。



どんな些細なことも意外と見過ごさない方がいいかもしれない。

びくつく必要はないけれど、悩みの原因が分かったのなら解決したいものだ。

低血糖になりやすい私の場合はまずブドウ糖をかじるところから。

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ジェノサイド

2016年05月03日 | 日記
2016年5月3日午前5時。

長い旅が終わった。

読んでいた本を枕の横にゆっくり置いて目を閉じた。

瞼の裏によみがえる様々なシチュエーション。

銃撃音が響き渡るコンゴの森。

実験道具が敷き詰められた町田のぼろアパート。

ホワイトハウス内、楕円形の執務室に集まる大統領日例報告のメンバー。



2011年に角川書店から出版されたベストセラー小説『ジェノサイド』を読んだ。

友人のきっての勧めで読むことになった。

実を言うと3年前くらいに借りていたのだがなかなか読む気になれず今になってしまったのだ。



第65回日本推理作家協会賞長編及び連作短編集部門受賞をはじめ、たくさんの賞を受賞してかなり話題になった本のようだ。

これ以下はネタバレになるので読む予定の人は注意してほしい。



ホワイトハウスの大統領日報で持ち上がった謎の議題、

それは『人類絶滅の可能性 アフリカに新種の生物出現』というものだった。

新種の致死性ウイルスかはたまた別の生き物か、見えない脅威が超大国に立ちはだかる。



民間軍事会社で傭兵として働く一人のアメリカ人。

彼には不治の病に侵された一人息子がいた。

治療費はいくらあっても足りなかった。

そんな彼の下に舞い込んできた破格の仕事、それはアフリカの原住民族の村を強襲するという任務だった。



大学教授の父を亡くした薬学を学ぶ冴えない大学院生。

父の死後、嫌っていた父から届いた一通のメール。

生前、自身の身の危険を察していた父から課せられた一つの大役、

それはある不治の病を治す薬を1ヶ月でつくるという途方ないものだった。



戦争心理学への強い探究心を持ったアメリカの若き研究者。

人並みはずれた知能を有するその青年は、ワシントンD.C.に本拠を置く「シュナイダー研究所」に入所することになった。

様々なシンクタンクがある中で、シュナイダー研究所は情報戦略を受け持っていた。

表向きは民間経営のPR会社だったが、最大の顧客はCIAと国防総省だった。



一見無関係に思えるいくつもの物語が大きな謎をはらんだまま平行線上を進んでいく。

そしてそれぞれの行動の意味がある一点に結びつくとき、一気に物語が加速していく。

もし各主体の行動が全て一つの大きな力によって導かれたものであったとしたら。

もしその存在が人智を超えた未知の何かであったとしたら。



大きなテーマとして作中に横たわっている「ジェノサイド(大量虐殺)」。

唯一同種殺しをする生物としての人類の獣性。

繰り返してきた歴史、個がもつ人間としての自覚をもとに語られる人類の抗えない性。

作品に登場するアメリカ大統領は名前こそ違うがイラク戦争を主導したブッシュを模していることは疑いようがない。

登場人物の目線を通し読者も一緒になって権力者の暴力性・残虐性を観察することができる。

しかしその観察は権力者が凡庸だということを暴くと同時にあなたも一緒だという痛烈なメッセージを投げかけてくる。



もう一つのテーマは人類の進化である。

人類が進化する可能性はあるのか、進化した人類とはどのような存在なのか。

SF小説は今まで避けてきたが、この本が面白いのは作者の提示する進化の可能性が現実味を帯びているからだ。

進化論を学んだことがないので、現実的なところは分からないが少なくとも読者の知的好奇心を揺さぶる程の説得力がある。



このような小説は今まで読んだことがない。

理解出来ないほどの高度な言葉の応酬が、読む者にたまらない刺激を与えてくれる。

徹底した調査と途方ない作者の勉強の下に成り立っていることが容易に想像でき、まさに感服だ。



個人的には、超大国への最大の脅威が暗号を解読できる知力という点に脱帽。

軍事的な物理的対戦よりも、知的攻防の方が断然面白い。

さらには人間の知力の限界の説明に素数の謎とリーマン予想を持ってきたところは最高だった。



膨大な情報量がありながら、ひとつひとつを飛散させることなく確実に物語の終焉につなげてくる作者がすごい。

はじめは少し入りにくいかもしれないが、ある程度進むと止まらなくなる。

全体的に面白く満足の行く作品だった。

その上で少しだけ不満を言うと、現実の合衆国より少し甘い部分が合ったような気がするということ。

本当のところは知らないけれど。



人類に対する厳しすぎる程の作者の考察が一部で批判を生んでいるようだけど、

今まで見てみぬふりをしてきた問題に向き合わされるというのは大事な機会だと思う。

どんなに見繕っても正当化だけはできないからね。

そういう視点をガキ臭いと罵る先には、自己防衛があるとしか思えない。



長くなってしまったけど、はっきり言ってこの小説おすすめです。

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