2年に一回関西で開かれる夏の展覧会が終わった。
思い返せば昨年の秋からここまで休みなく絵を描いてきた。
ちょっと一休みしようではないか。
山のギャラリーに12日間滞在して東京に帰ってくると、落ち着かない。
いいもの食べて、いい水浴びて、すっかりその気になってしまったのか。
空っぽの冷蔵庫を開け閉めし、ご飯作るためにスーパー行かなきゃとか思うと、
なんだかどっと疲れた。
ああ、こりゃあグロいアート映画でも観て心整えないといかんなぁと思い、
展覧会から帰った次の日にクローネンバーグ監督の最新作
『クライムズ・オブ・ザ・フューチャー』の座席を予約した。
元々観たくて本まで買ったのに忙しくて観に行けてなかったのだ。
私の好きなヴィゴ・モーテンセンも出ているしね。
して電車の時間が近づいていたので、
鏡で身だしなみチェックをしたらTシャツが汚れているではないか。
急いで替えの服を漁るも展覧会後なので洗濯が間に合っていない。
しょうがないのでハンガーにかかっていた派手なシャツを着て走って家を出た。
どうにか電車には間に合って、しばしぼーっとしていると聞き覚えのない駅名がアナウンスされた。
路線図を調べるとどうやら反対の電車に乗ってしまったらしい。
気づいたのは二駅過ぎてからだった。
とりあえず次の駅で降りてホームのベンチに座った。
どう考えても間に合わない。
湿気まとわりつく9月の夕方、10年前にやめたのにタバコでも吸いたい気分だった。
今日はそういう日なんだ、うん。
最寄の駅に帰ってくると雨が降り出した。
私は負けません。
折りたたみ傘があるもんねー!
そして家に着くと、眼鏡を忘れていたことに気がついた。
乱視なので映画館では眼鏡が必須なのだ。
結局何がどうなってもクローネンバーグの映画を観る日じゃなかったんだと妙に納得したのだった。
チケット代もったいなかったけど、教訓さ。