歩くたんぽぽ

たんぽぽは根っこの太いたくましい花なんです。

ほうれい線と落語の日

2021年05月31日 | 演芸
今日朝起きると鼻からくっきりと一本の線が伸びていた。

んっ?いやいやまさか、だって昨日までなかったじゃん。

これほうれい線に似てるけど、、、いやほうれい線以外の何者でもないような。

でもまだそういうのはっきり出る歳じゃないでしょ?

というかほうれい線てある日突然できるものなの?

一応少しだけ思い当たる節があるからそれにかけてみよう。

ということでほうれい線は一旦放置して絵を描くことにした。



基本的に絵を描いている時はラジオをかけているけど、

ごくたまにどうしてもラジオを聞きたくない時というのがある。

真新しい情報を受け付けないのだ。

そういう時は音楽をかけたりするんだけど、今日はそれもいまいち。

ということで久々に落語を聞くことにした。



私は落語ファンだけど落語通ではない。

だからというわけじゃないけど、やっぱり有名な人の確実な落語は好きなのだ。

いつなんどき聞いてもスッと入ってくるのが、名人桂米朝の落語だ。

中でも特に好きなのが「地獄八景亡者戯」。

初めてこのとっつきにくい漢字を見た時は動揺したけど、

読み方がわかればこっちのもの、語呂が気持ちよくて連呼したものだ。

じごくはっけいもうじゃのたわむれ。

研究家としての顔も持つ米朝が過去の文献から再編したものなんだとか。

文字通りあの世での亡者の戯れが描かれており、こんな陽気なあの世なら悪くないかもなんて思わせてくれる。

地獄行きの男たちが大鬼に食べられてお腹の中で悪さする描写なんか分かっていても吹き出してしまう。

絵本にしたら子供が喜びそうだけど権利とかあるのかな。

米朝の落語を聞いている時は、ゆるやかに幸せ。

ユーチューブの流れに身を任せ、次から次へと聞いていく。




「らくだ」という有名な演目がある。

らくだと呼ばれていた男が死に、

ガラの悪い兄貴分が葬式をあげるために居合わせた屑屋を巻き込んでむちゃくちゃするが、、、という話だ。

いろいろな人で何度も聞いてきたけれど今まであまりピンとこなかった。

それが今回米朝の「らくだ」で初めて面白いと思えた、これは発見!

長いし爆発的に面白いわけではないのだけど、度々「んふっ」って気持ち悪い声出して笑ってた。

屑屋の酒癖が悪く、酒を飲むとガラの悪い兄貴分との立場が逆転するところなんか絶妙。

米朝のらくだが良いのか、私の心境の変化なのか、違う人のらくだを聞いて検証せねば。



「貧乏花見」「狸賽」「百人坊主」と聞いて体が温まってくる。

バカバカしくて可笑しくて、なんか幸せ。

落語ってやっぱり最高だ。

明日は人情物聞くのもいいかもな。



夜恐る恐る鏡を覗くとくっきりとあったほうれい線が消えていた。

よかった〜〜ばんざ〜〜い!

起きた時手が頬の上にあったからその重さであとがついたのだろう。

落語はいっぱい聞けたし、らくだは好きになるし、ほうれい線は消えたし今日は多分良い日だと思う。

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ヤクザと家族 The Family

2021年05月26日 | 映画
TBSラジオの「東京ポッド許可局」でこの映画の話をしていなかったらきっと観なかった。

あのおじさんたちは最高だ。



観てから10日も経ったのに、未だに余韻を引きずっている。

「面白かった」と手放しで賞賛できるような映画ではない。

苦しい、でも観てよかった。

おすすめです。

今Netflixで観れるので是非。

以下ネタバレあり。





『ヤクザと家族 The Family』

監督:藤井道人
脚本:藤井道人
製作:佐藤順子、角田道明、岡本圭三
製作総指揮:河村光庸
出演者:綾野剛、舘ひろし、尾野真千子、北村有起哉、市原隼人、磯村勇斗



「新聞記者」が日本アカデミー賞最優秀作品賞に輝いた藤井道人監督が、時代の中で排除されていくヤクザたちの姿を3つの時代の価値観で描いていくオリジナル作品。これが初共演となる綾野剛と舘ひろしが、父子の契りを結んだヤクザ役を演じた。1999 年、父親を覚せい剤で失った山本賢治は、柴咲組組長・柴崎博の危機を救う。その日暮らしの生活を送り、自暴自棄になっていた山本に柴崎は手を差し伸べ、2人は父子の契りを結ぶ。2005 年、短気ながら一本気な性格の山本は、ヤクザの世界で男を上げ、さまざまな出会いと別れの中で、自分の「家族」「ファミリー」を守るためにある決断をする。2019年、14年の出所を終えた山本が直面したのは、暴対法の影響でかつての隆盛の影もなくなった柴咲組の姿だった。(映画ドットコムより引用)



罪を犯した18、19歳を「特定少年」として厳罰化する改正少年法が先日成立した。

成人年齢が18歳に引き下げられることに整合性をもたせた形だ。

とても今っぽい。

龍谷大学教授の浜井浩一さんは少年法は再犯を防止するという意味においてうまくいっていたと言う。

厳罰化することで少年たちの更生の機会はは失われる可能性がある。

「犯罪者は裁かれるべきだ」

正しい、けど、彼らを取りこぼしたのは今の社会であり大人たちだ。

「自己責任」とか「自業自得」と声高に叫ぶ大人は、細い糸がどこかで自分に繋がっていることに気づいていない。

入管法改正案にしても、日本はとことん時代に逆行している。

これほど他者に対して厳しいのはなぜなんだろう。

片一方の理性が暴走している。

彼らもまた社会の被害者なのか。

そもそも時代は福祉的に成熟していくという考え自体が幻想にすぎないのかもしれない、と最近は思う。



ヤクザもチンピラも詐欺師もみんな「反社」でひとくくりにされる現代。

暴対法成立後、暴力団の徹底排除によって独自の社会を持つヤクザにも法律が通用するのだと知った。

かつて隆盛を誇ったヤクザは今どうしているのだろう、ふとそう考えることがある。

ヤクザ、ヤクザっていうけど実はその存在については映像の中でしか知らない。

この映画を観たとて、結局映画の中の話にすぎない。

「知らない」という残酷さが確実に私の中にある。

それでも、この映画が突きつける厳しさから目を背けてはいけないのだと思う。



この映画はイメージの肥大化したヤクザという存在を嫌という程一人の人間として描くことで、

誰もが心の奥に抱えて見ないふりをしている矛盾や不条理を浮き彫りにする。

折り合いのつかない倫理と感情の間を行き来させ困惑させるのだ。

善も悪も見失う迷宮だ。

答えを決めれば楽になれるかもしれないけど、この不毛な揺れに決着をつけてはいけないような気がする。



何と言ってもヤクザのありようが激変した2019年の物語が胸を打つ。

「家族」というキーワードが人々のつながりを強調する。

組員のほとんどいなくなった柴咲組、

女と子ども、

柴咲組をやめたかつての仲間、

ずっと通った食堂の女将と成長した息子。

つきまとう元ヤクザという看板に苦しめられ、切っても切れないつながりの中で人を傷つけ自分も傷つけられる。

「ヤクザ辞めても、人間として扱ってもらうには5年かかるんです。口座も、保険も、家も」

服役して法律的に罪を償ったとしても社会的制裁は免れない。



最後、最大の暴力でもって若者を守ったってのがね、もう心の中ぐちゃぐちゃ。

自分がどうなろうともヤクザの業を自分の代で終わらせようとしたのだろうか。

もしかしたらあのラストは一時代を築いたヤクザという存在への幕引きと鎮魂の意もあるのかもしれない。

ラストの翼の大人びた表情が印象的だった。

エンドロールとともに静かに流れはじめるmillennium paradeの『FAMILIA』が物語をそっと抱きしめる。

映画を観ているときは緊張感でこわばった心が『FAMILIA』によって少しずつほどかれていく。

涙もろい私だが、この曲がなって初めてほろり。

映画を観た後で、ぜひこの曲のMVを観て欲しい。

少しだけ救われた気持ちになるから。





綾野剛が思いの外良かった。

『ロンググッドバイ』以来のはまり役ではないかと。

19歳時の山本賢治があまりに美しくてびっくり。

俳優陣がみんな素晴らしかった〜。

久々の日本映画だったけど、捨てたもんじゃないかもね。

いや、最近日本映画ばっかだったわ。
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土が水を飲む

2021年05月06日 | 日記
4月半ばから植物たちの植え替えをちまちま始めて、

やっと今日すべての植え替えを完了した。

ギュウギュウで窮屈そうだった子たちを株分けしたり、

大きくなった子たちを葉挿ししたり挿し木したりしていたら、

鉢がどんどん増えていって大変なことに。

ここにきて2年ほどサボっていたツケを払うことに。

また引越しの環境変化でいくつかの株が冬越しできず枯れてしまった。

よって新しい仲間をいくつか迎えることになりそれらの植え替えもやることに。

植え替えが必要な株が想像以上に多くて鉢や土を用意するのに手間取った。

奥にしまっていた鉢を出してきたり、大きい鉢はコーナンで買ってきたり、

小さい鉢は百均で土に還るプランターを買ったりしてどうにか数を揃え、

土は足りなくなるたびにホームセンターやスーパーへ行って買い足した。





ガステリア、根はあまりいじらないほうがいいのだけど株分けのためすっきりさせた。


ガジュマル、大きな鉢を買ってきてそのままのテンションで夜に植え替え。


ジュウニノマキ、すごく小さかったのにこんなに大きくなってまぁ。


途中経過でこの数。



昨日は大きな姫キリン、フィカスフォレア、楊貴妃の扇、熊童子、

今日はハオルチア・緑玉と新しく買ってきたハオルチア・玉扇の植え替えをした。

これにて半月に渡った植え替えを完了!




全然水をあげていないのにプリプリの緑玉。



そして締めくくりにすべての株にたっぷり水をあげた。

2つのバケツを3往復させてやっと終了。

乾いた土に水をあげるとゴクゴクって土が水を吸い込む音が聞こえる。

まるで土が水を飲んでいるようで、たまらなく好きな時間。

なんだかこっちまで潤うような気分にさせてくれる。

まだ植え替えたばかりで根が定着していないし傷ついているから、

これからしばらく我慢の時間だけどそこから回復していく姿がまた楽しみ。



















もちろん君との時間も大事だよ。

どうやったらそんなことになるのやら。

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夜の風

2021年05月06日 | 日記
ゴールデンウィーク最終日の夜、

街はゴーストタウンのように静まり返っていた。

その中を自転車で全力疾走する。

連休中の人の多さに辟易していたので、爽快だった。

車通りも少なく車道を堂々と走る。

天気が崩れかけて空はずんぐり重い。

私は湿り気のある空気を切り裂いてずんずん進む。

横から吹いてくる風はビュービュー鳴っていて、

気を抜くと自転車ごと流されそうになる。

この感じワクワクしちゃう。

なんだか物語が始まりそうな予感。

実際は目当ての食パンを手に入れるために、

閉店間際のスーパーへ駆け込んだときの話なんだけどね。



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