女性陣に圧倒的な人気がある東野圭吾さん、ブログ仲間でもigaigaさんや玉茶丸さんが彼の書評を載せていたが、先日みつまめさんが大絶賛していた「容疑者Xの献身」を読むことが出来た。図書館で予約していたのだが、なんと2週間弱で廻ってきた。巡り会わせと云うか運が良かったのだ。<o:p></o:p>
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実を言うと、この本を読み出して半分くらいのところまでは読むのが億劫になっていた。母子家庭を襲うあまりにもやるせない、救いようがないシチュエーションに辟易したのだ。弱い立場の人間を極限まで追い詰めてもさらに骨の髄まで食いちぎろうとする人間性のかけらだに持ってない悪逆非道の男という、私がもっとも忌み嫌う情景に、私の神経が耐え切れないという心配までしたのです。 必殺仕事人に始末されるべき男を、その場の成り行きで防衛しただけで、罪に問われるおののき・・・彼女たちに明るい未来を描くことが出来ない場面だという想いから、もう本を読む気力がなくなってきたのです。
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この時点で妻に東野圭吾さんの印象を尋ねると、「手紙」でもそうだったが、暗い描写が多いという意見が返された。だから私には向いていないだろうとも言った。さすがに、私の性格を見抜いているのです。
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けれども、探偵ガリレオは先日読んでいたので、ガリレオ助教授の怜悧な、それでいて人情味がある性格に淡い期待を持って、どのような結末になるのだろうか、と読み進めたのでした。
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そう、容疑者Xの行動をすべてつまびらかに推理しつつも、最後はハッピーエンドに何とか結びつけるのではないかと。
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そして、ラストの4分の1は、息を切らせたランナーのように、夢中で読んだのです。大どんでん返しがあるとigaigaさんも述べていたし、それが何なのかを知りたかった・・・。ガリレオ先生はどのような行動をとるのだろうか、と。
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読み終えて、溢れ出る涙と、深いしじまの中からかすかに聞こえる魂の叫びを聞いたように思えました。そして、やるせないため息をついたのです。
ネタばれですけど、私の想いです。
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このような事件が本当にあった時、そしてそれを裁判官として判断せよと言われた時、私はどのように判断するのか、皆目わかりません。人間とは不思議な生き物です。心の琴線に触れ、互いにハーモニーを共有することが出来る人たちはすばらしいと思います。
最後の場面で、刑務所で心静かに時を過ごす覚悟をしていた石神氏が、靖子さんが出頭したことを聞いて号泣しました。 せっかくの計画が無駄になった、と嘆いたためではないと思います。この瞬間、二人は確かにハーモニーがつながったのだと信じたいのです。<o:p></o:p>