私の趣味の一つが囲碁、将棋。日曜の昼間はNHK杯将棋や囲碁を観戦することにしている。出かけるときは、当然ビデオに吹き込む。プロの差し手を見ていると、それだけで自分が上達したかのような気がして嬉しい。特に次にどう指すか、私の考えと差し手が一致していたときは、一人で悦に入っている。単純なものだ。
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7月に着任した新社長、囲碁7段格くらいの実力で、親会社内でも1番強いと噂されていた。私も会社では囲碁ナンバーワンでは有るが、噂話を聞いた限りでは私より2段は強い気がしていた。先日、50周年記念パーティで社長と話をする機会があり、昼休みに対戦することにしていたが、何しろ社長は忙しい。ずっとのびのびになっていたのだが、先日昼休みの少し前に社長から電話があった。「今日は空いているから、厚生棟で打ちましょう!」
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そそくさと昼食を終え、対局開始。私が2子を置いた。これくらいの実力差だろうと。私の実戦は博多でHさんと時々打つくらいで、本格的対戦、それも強豪相手はずいぶん久しぶり。武者震いというか、体が震える思いだった。
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そして勝負は、あっけなく終わった。序盤そうそうに急場の手を逃したのだ。それを上手が見逃さなかったので、それからは後手後手に廻る羽目に陥いり、2子置いた効力を発揮することなく破れてしまった。見た目には五分の戦いだが、最終盤の寄せでは明らかに上手の方が強いので、中盤まで互角では勝てないのだ。
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それにしても、やはり序盤は大場よりも急場。社長の的確な急所の一手に戦意が急激に萎えてしまった。やはり、日頃強豪と打ってないために感覚にずれが生じていたのだ。これくらいでOKだろう、じゃ勝てない。
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負けはしたが、久しぶりに囲碁の本格派と対戦できたことで、私の気力にも火がついた。やはり、強い人と打つのは嬉しいし楽しい。打てば響くような感覚は新鮮で充実感が溢れる。沈滞していた頭脳の活性化にも繋がる。世界がまた明るくなってきた。
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