先記事で紹介していたヨットのオーナー、O君がいよいよ今日までの出社なので、最後の雄姿拝見と激励に彼の職場を訪ねた。実は同じ社内とは言いながら、2年近くも足を踏み入れていない。直接には関係ない職場であるのと、女性パートさんたちのメッカでもあり、踏み込むのがなんとなく気恥ずかしかったのだ。例のマドンナ「あややさん」が働いているところでもある。
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昼休みは女性たちで溢れ返っていると分かっていたので、午後一番に出かけた。 2年も来ていない間に作業室の配置が変っており、まごついていると、あややさんが私を見かけて可愛い笑顔で挨拶してくれたのが嬉しかった。相変わらず愛嬌があって若々しい。丸いめがねの下から、いたずらっぽい目で私を見つめていた。いくつなのだろうか! 30代じゃないと思うのだが。
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O君は冷房が効いた作業室のコーナーを仕切った休憩室の一角に机を構えて悠然とPCを眺めていた。休憩室には中央にテーブルが置かれ、窓際に給湯設備が備えられ、茶器セットなどが水屋のなかにきれいに整理されていた。さすが、女性たちの溜まり場だ。なんだか、おやつの甘い匂いまでが感じられる気がした。
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O君に、未練はないか尋ねた。返事は、もう2度と働くことはないでしょう、だった。来週からのヨットの旅に思いを馳せている様子だ。 冬の間、ヨットは乗れないだろうというと、畑を借りて野菜を作る!という。さすが、山育ち。自然と向き合って生きてゆく気概に溢れていた。
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60代になって、残りの人生をどうするか、個人個人の想いが進むべき道を切り拓いてゆくのだろう。幸せな男だと思う、O君は。 これからも元気で酒を飲み交わしたいものだ。
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