☆復活した今朝のシェラ
「シェラちゃん、歩くのがすっかり早くなりましたね。元気になってよかったわ」
今朝、朝の散歩でときどきお会いするシェルティーのココア・ママから褒められた。ぼくも今朝のシェラの足早な動きに目を細めていた矢先だった。だが、涼しさのせいであって、新入りパピィがきたから元気になったと判断するのは早計であろう。
そのシェラのご機嫌がすこぶる悪い。原因はもちろん新入りの「ルイ」(読みやすくするために「ルイ」とカタカナ表記に変更します)の存在である。苛立っているし、不貞腐れてみたいなところもある。
今夜も、ぼくのベッドの上にいるから横に座って撫でてやりながら、少しでも覆いかぶさるような姿勢になると低く唸る。あるいは、ようやくリビングの入口まできたからというので呼んでも知らん顔で寝そべっている(写真=上)。
☆手に取るようにわかるシェラの心模様
ぼくにはそんなシェラの気持ちがぐいぐいと伝わってくる。
とにかく、鬱陶しい。存在そのものが邪魔くさくてならない。せっかく、静かに日々を送っていたのに、チョロチョロと目障りでならない。(たぶん)においも嫌でならない。
だから、なるべくケージにも近づきたくない。ウザったいから、癪に障るけど離れた部屋にいて、関わることから遠ざかっていたい。
あのチビ助は、ときどき、ケージから出されると、真っ先にやってきて、遊ぼう、遊ぼうと飛びついてくる。「あっちへいけ!」と吠えても、逃げるくせに怖がらず、喜んで走り回ってまた飛びついてくる。あいつは小悪魔だ。
シェラの気持ちはそんなところだ。
これを書いているたったいま、ぼくの部屋へ入ってきた。のぞくことはあるが、ぼくが部屋にいるときは入ってこない。それなのに驚いたことに入ってきたのである。「父さん、あの小悪魔をなんとかしてよ」とでもいいたかったのだろうか。
ぼくはシェラの頭を撫でながら、「少しの辛抱だからかんべんしてくれよ。そのうち、おとなしくなるからさ」といいながら詫びた。
ルイが「おとなしくなる」という約束に自信はない。しかし、もう少し成長したら、序列だけはわからせてやろうと思っている。そして、自分がシェラの下位に位置する存在であることをわからせるのである。
すでに体力が衰えているシェラが力でそれを示すのはかなり困難だろう。それなら、ボスたるぼくがルイにしっかり教えてやろうと思っている。
☆まだ外の世界が怖いルイ
一昨日以来、ルイはすっかりわが家になじんでしまった。昨日はしばしぼくとふたりだけで過ごす時間があって、そこでぼくはルイに対してだれがボスかをキッチリ教え込んだ。
ルイもさすがにオス犬である。シェラやむぎがパピィのころには見られなかったようなやんちゃぶりを発揮はしても、強い相手に対する服従心はかなり強い。すでにぼくへの反応は一目置いているのがわかる。
これから、ボスのぼくはルイに対して、「おまえよりもシェラのほうが上位にあるのだ」と教え込んでやるつもりでいる。
今朝の散歩にもルイをトートバッグに入れて連れていった。途中、きれいな道の一部で少し歩かせてみた。においを嗅ぐのに懸命になっていたシェラは、横からルイが顔を突っ込んできてびっくりしたが、吠えて追い払ったりはしなかった。
ルイのほうも、まだ外を歩くのはおっかなびっくりで、たまたま道の悪い場所へ足を踏み入れてしまい、ぼくを見上げて助けを求めた。むろん、すぐに抱き上げてやり、ボスとしての面目躍如といったところだった。